![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/78/92/e5ac298ccd1653d47b1750cef270eff9.jpg)
秋 おまえは
すみれ色の猫に似ている
しなやかな動きのなかに隠された
とがった爪のように
もの思うやさしさの中に いつも
冷たいさみしさを隠し
いつも眠っているようでいて
敏捷にえものをねらうように
静けさを身にまとっていて
すべてを冬に追いたてる
![](https://blogimg.goo.ne.jp/user_image/4a/b3/7a9d8faa65d824eee1dbee9c6222f41d.jpg)
おまえは 1匹の猫
ひたひたと音もなくいつのまにか
すぐそばまですりよってくるのに
両手に抱きしめてやろうと
ちょっとでも身をかがめれば
まるで知らん顔ですましている
夏の終わりのききょうの花に
おまえを見つけて喜んでいたのに
いつのまにか知らん顔で
草木を冬に渡してしまう
秋 おまえは
1匹の かわいい猫
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poem by ゆきやなぎ れい