きりかぶMANIA

旅の切り株カタログ

一本気な切り株

2011-07-05 22:00:41 | 街の切り株
【一本気】とは「頑固者」という印象がありますが具体的な意味は次のようになります。

①一途に思い込むこと。純粋で混じりけがない。
これと思ったらそのまままっすぐ突き進む性格のこと。

②相手の話を聞こうとせず、かたくなで意地っ張りなこと。



とある町の役場の前庭に大きな切り株がある。
クワガタムシ探しの子どもたちが、あまりにも根元をほじくりすぎたために木が枯れてしまい、危ないということで切り倒されたと聞いていました。
でも、この切り株、切り倒した残りにしては地中から全体が出ているようだ。
まるで切り株を置いたみたいに…。


それもそのはず。
実は、この切り株「切り株」になってからここに来たのだそうだ。
あれ?聞いてた話とずいぶん違うな…。

その辺を調べてみたり、お年寄りに聞いてみると、この木の事がわかってきた。




この木の名は『一本木』
“一本気”ではなく『一本木』と呼ばれていたのだそうです。
はるか昔、開拓の斧は多くの原生林を切り倒し、大森林は開墾されて広大な畑作地になりました。
道も木の根のように北の大地を奥深くまで伸ばされた行った時、なぜかこの木が残された。

たまたま残ったのでしょうが、広く平坦な地の上で残されたこの木は事のほか目立ったようで土地の道しるべとなり、地域の顔になるほど慕われました。
そうしてつけられた名が1本だけ残った木ということで『一本木』となった。
時には、マラソン大会の折り返し地点にも使われたらしい。



やがて一本木の脇を走る道に拡幅・舗装化の話が持ち上がります。
やむなく一本木は切り倒されることになりましたが、慕われ続けたこの木への想いにより、切り株となってこの場所に安置されました。


現在、この木のいわれを記すものは、ありませんが、切り株自身は回りの立ち木と同じ一本の木であるかのようにここで立ち続けているのです。一本気の象徴であるように…。

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2 コメント

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Unknown (とーい)
2011-07-06 12:16:54
なんともりっぱなきりかぶ、とおもって見ていました。北の大地の歴史そのものですね。

いつまでも、この木の歴史が後世に語られるといいなあ、と願っています。

来歴しらべてくださったねこんさんに感謝!
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とーい様 (ねこん)
2011-07-07 12:26:47
その辺に昔から何気なくあるものって、現在に暮らす人の知らないドラマがあるものです。
そういうものに出会えることを楽しみにしています。
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