そびえる山のような切り株

街角に大きな木が生えている。
いわれもあるらしく、よほど昔からあるのだろうと調べてみると明治後期に植林されたものだそうだ。
そういう木は大切にされて、いかにジャマな日陰を作り出そうと、たくさんの葉を落としても誰も文句は言わない。
路さえも木を避けて敷かれる。
銘木百選といったものにも登録されて、幾世代の人とともに街に生きている。

山の木は、そうではなくて
いかに若かろうと老いていようとも
ただ風雪に耐え、広大な山の一部として景観を担っている。

広大な樹海の一部に過ぎなくても
老いて、その身の大半を失いながらも
古木は威厳を持って山のようにそびえ続ける。

エゾリスもエゾシカもヒグマも
そんなことにはお構いなしだろうけれど
人は何か感じるものだ。

目に映るものを師とし
そして糧とする
人は食べものだけでは生きていけないのだから。