シャンパンブレイク

30年以上JAL国際線客室乗務員としてフライトし現在癌の治療中。お酒大好き旅が大好き趣味はランニング~

シャンパンブレイク

2009年04月30日 | ひとりごと
シャンパンブレイク・・・・
至福の時・・・・

何も考えず・・・何も観ない・・・ただ音楽を・・・ボ~と感じているだけ・・・


そして・・・
また・・・

胃がん手術を回想する・・・


開腹手術の翌日は、普通の病院ではベッドに起き上がる練習をして、その翌日、手術後2日目に歩く練習を行うというのが定番のようです。
しかし、ここ国立がんセンターではよほどのことがない限り翌日から歩行訓練を行います。
早ければ早いほど、術後の内臓癒着の危険が減るからだそうです。

とはいうものの、まぁやればできる、意外と、ただし痛~いし、縫ったところがほころびはしないかと心配?といったところです。

体重は思いもかけず増えたもののこの日から水分も取れるし、日に日に回復して痛みも軽くなるはず・・・と、単純に思い込んでいましたが・・・

この日の夜から痛みがひどく、特に背中が痛い。
寝返りも苦しくて打てないし、何とか横向きになりつつ・・・と思うとお腹に激痛が走ります。
それなのにそれなのに・・・点滴のせいでトイレが近い。

真夜中にひとりで起き上がり、トイレに点滴のスタンドにつかまり行くのは結構辛い。
痛み止めが効いてやっと眠れそうな予感とともに・・・トイレの恐怖が湧きあがり行かないと気が済まない。
ようやくベッドに横になる頃には、もう痛み止めが切れてしまったりして・・・(気のせいかそう感じる)
あまり良く眠れないままに長い夜が終わり、朝になると少し元気になります。

そしてナースステーションまで歩き、体重を計ります。
この日も体重は減るどころか、手術前の2キロ増(1キロ減ったか?)
生まれてこのかた何日も食べ物を口にしなかったことは初めてなのに!
体重は減らない。
かなりの脂肪を蓄えているってことなんでしょうか?(ガクッ)

担当医の杉山先生が様子を見に来てくれます。
「お早うございます。どうですか?ねむれましたか?」

「いいえ。痛みがひどくて。点滴からの痛み止めもあまり効かないような?それにトイレが近くて・・・(愚痴)」

「それじゃあ飲み薬の痛み止めも処方しときましょうか。このほうが痛みに効くという人もいますから。」

「えっそうですか?ぜひお願いします。たくさん下さい。安心なので」

「10錠出しますが、1回1錠です。8時間空けて飲むようにしてください。他に変わったことはありませんか?ちゃんと歩いてますか?」

「先生!トイレに行く回数をカウントしたらかなりの距離を歩いていると思いますよ。もうサンダル履いて歩いてます。」

「頑張ってなるべく歩くようにしてくださいね。それと今朝の採血で鉄分が足りないようなので、貧血がひどくなるといけないから、鉄分を点滴します。2,3日ですが。」

「え~ 私って血が濃い方で鉄分が少ないなんて言われたことはないんですけど?」

「手術を受けるとそうなる人が多いんです。全く心配はいりませんが」

というわけで、点滴の袋がまたひとつ増えてしまった。(泣く)

午後になり(絶食中)私よりも1日早く大腸癌の手術を受けた、お隣の三枝子さんにまだ会っていなかったのでちょっと覗いて見る。

三枝子さんは大腸癌だけど、軽い方でお腹に4か所穴をあけての手術。
開腹手術ではないので私よりも元気なはずなんだけど・・・

なんだか顔色が良くないし、元気がない。
聞くと、手術をしてみたらお腹の脂肪が思っていたより厚かったことと、大腸の癌が腸の裏側にまで転移していて、癌を切り取るのにかなり時間がかかり、大手術となったそうだ。

「手術の前までに痩せなさいと言われて頑張ったのよ。これでも。でもお腹って一番痩せない部分じゃない。体重は落としたけど。思ったより皮下脂肪が厚いなんて言われて・・・だったら脂肪吸引でもしてくれればいいのに・・・」

「ホント。女性にそれはないですよね。」

「それだけじゃないのよ。5年以内に再発する可能性が80%って言われて・・・癌になっただけでもショックで、怖い手術もやっと済んだと思ったら・・・もうすぐまた再発するかと思うと・・・どうして・・・わたしが・・・」

慰める言葉に窮していると、そこへご家族の方が数名いらっしゃいましたので、ひとまずラウンジへと退散しました。

そこで三枝子さんと同室のゆう子さんも。

「昨晩は三枝子さん大変だったのよ。熱も39度以上も出たみたいで先生や看護師さんが一晩中入れ替わり立ち替わりいらして・・・
ちょっと間が空いた時にトイレに行くって立ち上がって、ふらふらと出て行きそうになったから後ろから付いて行ったら、倒れそうになっちゃって・・・心配で私が付いていったから良かったけど・・・倒れるところだったの・・・もう朦朧としちゃって・・・転移していたのがよほどショックだったのね・・・」

「可哀想に・・・じゃぁ三枝子さんもゆう子さんも昨日は眠れなかったんですね。」

「そう。三枝子さんのところに今ご家族が見えてるでしょう?手術後の説明で何を言われたのか確認のために呼んだみたい。彼女はもうすでに転移して、自分は手遅れなんじゃないか?自分には言わなかったけれど家族にはそう説明したんじゃないかって思っているみたい。この病院は本人にはっきりと告知するはずよって言ったんだけど・・・ご家族から聞かないと信じられないらしいの」

「無理ないかも知れない。あんなに癌になったことにショックを受けていて・・・完全に受け入れないままに手術した感じだったし・・・それに当初は簡単な初期の大腸癌といわれていたんですから。」

この病院に来て初めて現実を見せ付けられ、暗い気分になったのでした。








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