集落の外れにある八幡神社、風が吹くと残り少なくなったイチョウの葉が舞い散る。
お堂の屋根を打つ音、バラスにぶつかる音、そして地面に落ちる柔らかな音が、時おり聞こえる。
ギンナン(イチョウの実))は美味い、茶わん蒸しではたった1粒でも存在感がある、
ここにはそれがいくらでも落ちて散らばっているのである。
ただし食すにはハードルもある、異臭が漂う果肉の中から種子を取り出さなければならない。
ウンコ臭とかぶれを避けるには、ひとそれぞれに工夫をされているが、
怠け者の私は「果報は寝て待て」、雪がとける春先の頃には種子だけになったものが散らばっている。
そしてもうひとつ法律では、
『天然果実は、その元物から分離する時に、これを収取する権利を有する者に帰属する』だそうだ。