のんきに介護

母親と一緒の生活で、考えたこと書きます。

Dan Ariely(ダン・アリエリー)/ 「なぜ人々はズルいことをしたり、時として盗みを働いても平気なのか?」

2015年06月02日 16時20分25秒 | 日々の思い
サイト「@動画」に

Dan Ariely(ダン・アリエリー)という行動経済学者の

「予想通りの不合理さ」

というテーマでのトークが紹介されてました。

☆ 記事URL:http://www.at-douga.com/?p=3652

日本人の

講義と違って話し方がうまいですな。

問題意識の発端は、

病院での火傷治療にあるようです。

以下、要点の

書き出しをします

(書き起こしではありませんので

勘違いなさいませんように)。

悩まされたのは、

看護師たちの包帯の剥し方!

彼等、彼女たちの剥し方は一気だったそうです。

死ぬほどの痛みが嫌で、

「ゆっくり剥して」

と頼んだそうです。

しかし、要望が聞き入れられることはありませんでした。

3年後、大学の研究室に

戻ってから

次の問いを立てました。

万力を買ってきて、

被験者の指を詰めながら幾通りにも

締め付け方を替え、

今の痛かった? と。

やがて補助金をもらうようにまでなり、

拷問スーツまで揃えました。

今の痛かった? と、

豪華に取り揃えた責め道具をつかって

苦痛の程度を尋ねました。

これらの実験を通して

看護師たちの考え方の誤りが分かりました。

看護師たちは、

あれだけの善意と経験を持ち合わせても

予想通り間違うことを証明したのです。

私達は、

持続時間と痛みの強さを同じ計りで計っていないようです。

もしゆっくりと包帯を剥していたら

ずっと痛みは軽減されていたでしょう。

より痛みの強い顔の方から

脚の方へ包帯を剥していたら苦痛は軽い方へ向かうのですから、

恐らく痛みも和らいだでしょう。

また途中で少し、

休憩を入れてもよかったようです。

しかし、看護師たちは知らなかったのです。

私が考えたのは、

これは、看護師たちに限ったことなのかということでした。

もっと一般的に当てはまるのではないか

と思いました。

答は、当て嵌まるってことです。

私達は、

多くの過ちを犯します。

この不合理の具体例の一つが不正行為です。

私がまず初めに興味を持ったのが

2001年のエンロン事件です。

この事件では、

何が起こったのでしょう――。

少数の悪い人間の行いなのか、

それとも人間に特有の誰もが犯しうる間違いだったのでしょうか。

そこで、いつもの通り、

単純な実験を行いました。

紙を一枚、

皆さんに配るとします。

誰もが解ける数学の問題20問が記されています。

ただし、問題を解く時間が限られています。

答案を回収します。

正解一問につき、1ドル支払います。

次に別の人にわざと不正を働くよう仕掛けておいて、

同じ試験をした後、

こう告げます。

「紙を破き、ポケットか鞄にしまってください」と。

その後で、

正解数を尋ねます。

正答率は、

4問から7問に増えました。

これは、

少数の悪人がズルをしたのではなく、

多くの人が

少しズルをしたのです。

さて、経済学の理論では

不正は単純な費用便益分析の一例です。

捕まる確率はいくらか。

不正から得られる価値はいくらか。

これらを計りにかけます。

そして罪を犯す価値があるかどうかを決めます。

そこで次の実験では

持ち逃げされる金額を変えました。

皆さんは

金額が増えるほど不正が増えると思うでしょうが

実際は違いました。

多くの人がわずかだけ盗んだのです。

このように

多くの人が経済の合理性に見合わない行動をとる。

そこで何が起きているのか

考えてみました。

思うに、

二つの力が働いています。

一つは自分の姿を鏡に映し出し、

自尊心から不正を抑えようとする力。

もう一つは、

少しだけなら不正を働いても

自尊心はまだ保てるという力です。

つまり、越えてはいけない一線を守りながら、

自分の評価を傷つけない程度に

些細な不正から何かを得ようとするのです。

これを「私的補正因子」と呼びます。

この「私的補正因子」は、

どのようにテストできるでしょう。

そこで、人々を研究室に集め、

二つの課題を与えました。

半分の人に高校時代の読んだ本を10冊、

他の人には「十戒」を思い出すようにしてもらいます。

ここでもズルをする細工をしておきます。

結果は、「十戒」を思い出すよう支持された人は、

誰も10個全ては思い出せませんでした。

無宗教者でも

バイブルに手を置き

真実を誓うと、

嘘を吐かないのと同様です。

これまでは、

「私的補正因子」が減る場合を

説きました。

では、どのような場合、増えるのでしょう。

私は、

6缶入りのコーラをあちこちの冷蔵庫におきました。

無くなるのに

そう時間を要しませんでした。

代わりに6ドルを乗せた皿を同じように冷蔵庫に置いても

一枚も減りませんでした。

これではいい社会的実験とは言えません。

報酬を

お金ではなく、

別の物で支払うことにしました。

直感で考えて下さい。

職場から、

鉛筆一本盗むときと、

ちょっと10セントほどの小銭を盗むのと

どちらが罪悪感を

より強く感じますか。

この二つには大きな違いがあります。

現金でなく

引換券であったなら

どう違うというのでしょう。

実際、不正は2倍に増えました。

ここで私が考えたのは、

この実験と証券市場との関連です。

そこで、

別の実験をしました。

大勢の学生を集めて実験協力謝金を

先に渡しました。

全員お金が入った封筒を手にします。

そして最後に

正解できなかった問題の数だけお金を返すように言いました。

結果はさほど変わりません。

不正を働く機会があると人びとはそうします。

しかも多くの人が

少しだけズルをするのです。

ただ今回の実験では

偽物の学生を一人混ぜ

30秒に立ち上がらせ、こう言わせます、

「全部正解したらどうしたらいいですか」と。

試験官は、

全部できたらそのまま帰るように言います。

さて、この偽物学生は

グループの中に溶け込み誰も演技しているとは知りません。

そして真面目に不正を行うのです。

すると、

他のグループの学生はどうするか。

もっとズルをするかしないか。

結果はこうです。

実は、着ているパーカーの色によって

違いました。

つまり、

この実験をピッツバーグで行いましたが、

そこには二つの大学があります。

カーネギーメロン大学とピッツバーグ大学です。

実験の参加者はみな

カーネギーメロン大学の学生です。

演技をしているのがカーネギーメロン大学の学生の場合、

彼は、

グループの一員であり、

不正は増えました。

しかし、ピッツバーグ大学のパーカーを着てみたら

不正は減ったのです。

これは大切なことです。

考えて見て下さい。

これは不正をしてもよいかの基準の問題なのです。

これを証券市場に当てはめると、

どうでしょう。

多額のお金を他の何かで支払うと、

つまり現実を少し曲げてみるとどうなるでしょう。

株券だとかオプションだとかありますよね、

こうして非現金なものを使うと、

人はズルをする傾向があるのではないでしょうか。

一般的には

行動経済学では次のようなことが言えます。

私達は直感にかなり頼っていて

多くの場合、その直感は間違っています。

問題は、そのような直感を省みるかどうかにあります。

自分たちが毎日の生活、ビジネス、

特に政策決定の場で

直感をどう使っているのか見るのです。

例えば、

教育制度とか、

新しい証券市場を作るときや

税制や社会福祉など

新しい政策を作るときです。

この直感を確かめる難しさは、

私自身、よく知ってます。

病院に戻って看護師たちと話したとき、

こんなことがありました。

包帯の剥し方について分ったことを教えると、

二つの面白い答えが返ってきました。

私が好きだった看護師のエティは、

看護師の気持ちを考えてないと言いました。

エティは

「あなたの痛みは当然だけど、看護師の気持ちを考えてみて。

大好きな人の包帯を取る辛さを。

しかも何度も何度も繰り返し苦しめ続けるのは

私にとっても楽なことではなかった」と。

ところが、それほど彼女を苦しめた理由は、

もっと興味深い別の点にあって

「私は他人の直感が正しいと思ったことなどなく、

自分の直感が正しいと思った」

と続けました。

もし、自分の身に置き換えてみれば、

自分の直感が間違っていると思うのは

相当に難しいことです。

そして彼女が言うには

私が自分の直感を正しいと思ったように

彼女も自分の直感を正しいと思い、

別の視点を持つことは、

ほぼ不可能だったことだったのです。

自分が間違っているかどうか

考えもしなかった。

しかし、実際には、これはよくあることです。

私達はあらゆることを強い直感を持って判断しています。

自分の能力や

これから経済がどう動くか。

しかし、この直感は、確かめてみない限り、

改善の余地はないのです。

もし、あの看護師が自分たちの直感に疑いを持つことがあれば、

私の病院生活はどれほど楽になっていたか

自分の直感をより体系的に

調べることができれば、

物事はもう少し上手く運んだのではないでしょうか。








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