のんきに介護

母親と一緒の生活で、考えたこと書きます。

メリル・ストリープ vs トランプ 政治を見た目のカッコよさで評価する危険

2017年01月09日 15時12分45秒 | ファシズム
iano
‏@ianoianoianoo さんが

こんなツイート。

――メリル・ストリープ、カッコいいなー。本当に素敵な女優さん。アメリカのトランプ支持のネトウヨが「女優は政治的な発言するな」とメリルのゴールデン・グローブ賞授賞式でのスピーチに対して呟いていて、どの国も同じだなと。〔14:29 - 2017年1月9日〕—―

この見た目の涼やかな

女優さんの何を知ってianoさんは、

トランプ支持者を

ネトウヨになぞらえているのだろうか。

一体、この人は、

反トランプ勢力が推していた

大統領候補が

ヒラリーだったという事実を知らないのだろうか。

このヒラリーこそは、

新自由主義の拠り所であり、誰よりも

安倍晋三が崇めていた人物だ。

立場性を考えると、

自分が寸分、ネトウヨと違わないのに、

ネトウヨを罵倒するなど

笑止千万だ。

たとえば、

虚構新聞と見紛うような

内容の

トランプ誹謗記事

(木村慎一 増税TPPでも破綻不可避 @1Sintyanさんのツイート〔5:05 - 2017年1月10日 〕参照)、

あるいは、

障害のある記者をからかったとみられる

次のような

彼のジェスチャーは、

むしろ、彼を

嘲笑するためにクローズアップさせ過ぎていないか。




メリル・ストリープさんは、

こう仰る

(下記〔資料〕参照)。

――誰かに屈辱的なことをする。公の場で権力を持っている人がそのような行為をした時、他のすべての人生に影響してきます。他の人たちも同じような行動をとっても良いと、許可を与えることになるからです。
無礼は無礼を招く。暴力は暴力を呼び起こす。権力者が、その地位を利用していじめをすると、私たち全員が負けることになります。――

これは、

正論だと思う。

ただ、トランプが障碍者の姿態を真似ることは、

「無礼は無礼を招く」という

メリル・ストリープの指摘が正しいとしても、

それに倍する侮辱が

トランプ氏に向けられている

実態を直視するなら、

この人を引き合いにしてトランプへの個人攻撃を熱心に

する人は、

逆に、

メリル・ストリープの批判に値する人間だということになる。

彼女が締めくくった

キャリー・フィッシャーが生前こういうことを言ったとして

紹介された

「あなたの傷ついた心を、どうか芸術に昇華して」という言葉、

しっかり味わうべきだ。

トランプのような人が相手なら

虐めに加担する

無神経が許されるわけのもんじゃない。

トランプをレイシストと嘲る人がレイシストというパラドクスを

強く感じる。

ianoさんのように

他人に平気で唾を吐ける人って存在が

僕には不思議でならない。

そもそも

米国は自国ではない。

安易に白黒を判定しないという

謙抑精神こそ

大切なのではないか。

ちなみに、

僕がイライラする本当の動機は、

ianoさんの

背後に垣間見える日本のメディアの

国内の反動的な動きに対する問題意識のなさだ。

Yasu‏@noosa_noosa さんが

こんなツイート。

――日本のメディアは、やれ韓国だ、トランプだと大騒動。貴様等の国籍は何処かと聴きたくなる。
安倍総理の友人によって構成される、有識者会議と言う肩書きを持つ民間議員の国政への介入こそが、この国の危機なのだ。
今其処にある危機を一切報じない、日本メディアの存在価値などゼロ以下である。〔6:02 - 2017年1月10日 〕――

<追記>

ianoさんと

同じような浅薄さを、

こちらは、

高名な経済学者だが、

金子勝‏@masaru_kaneko さんのツイートにも感じた。

この人は、こういう、

――グローバリズムと新自由主義の行き着いた反動が、ナショナリズム、移民排斥、保護主義、ヘイトと監視管理社会の極右ポピュリズムです。「市場に任せればうまくいく」から「お金を増やせばデフレがなくなる」「移民を排斥すれば雇用が増える」へ。単純化された言説が逆さになっただけのプロジェクト嘘。—―と。

このツイートで使われている

「反動」

という評価、正しいのだろうか。

「極右ポピュリズム」

という言葉で思い出すのは、

安倍政権だ。

しかし、この政権、トランプ政権とは

似ても似つかないだろう。

とすれば、

安倍政権に相応しい

「ヘイトと監視管理社会」という

評価は

当たらないんじゃないか

と思う。

この人も着目すべきは

日本の経済なのに、

米国の方が分析のし甲斐があるからそちらを見ている、

といった違和感を感じる。

もっとしっかり

日本人として安倍政権を批判して欲しい。

その結果、

安倍政権の“反動”として何が出てくるかってこと

提示して欲しい。

その場合、保護主義が核となった

ビジョンが生まれるなら

頭からナショナリズムだとして否定すべきではない。

また、マスコミに

調子を合わせれば孤独ではない

という感覚は分かる。

しかし、その分、真実から離れていくのではないか。

この人を見ていて、

マスコミを信頼して米国の大統領選を見ていたがために、

予測が外れた。

その失敗を認めたくない余り、

トランプの欠点を嗅ぎまわっている

知識人と同じ

ハイエナのような傲慢さを感じる。

そのような傾向は、

かつて、

小沢一郎氏をイメージだけで非難していた

メディアと何にも違わない。

2017年1月10日昼 記



<追記-2>

メリル・ストリープの演説を

ヒラリー・クリントンを支持するか否かと

切り離して考える

という人もいるだろう。

それはそれで、

個人の考えで好きにしたらいいだろう。

ただ、メリル・ストリープは、

熱烈なクリントンの応援団だったことは、

知っておくべきだろう。

2016年7月26日、

ペンシルベニア州フィラデルフィアで行われた民主党全国大会で

次のような熱弁をヒラリーのために振るった。

The Huffington Postに報告があった。

紹介する。

――「みなさんは歴史を作ってきました」と、ストリープは言った。「そしてみなさんは11月に再び歴史を作ろうとしています。なぜなら、ヒラリー・クリントンがこの国で初めての女性大統領となるからです。彼女は偉大な大統領となるでしょう。彼女が大統領になるのは、気骨と気品をもって奉仕する数多くの女性たち、それから男性たち、気骨と気品を持って奉仕する人たちが踏み出す第一歩なのです。彼女が最初の一歩を踏み出しますが、それで終わりではないのです」―—



☆ 記事URL:http://www.huffingtonpost.jp/2016/07/27/meryl-streep-hillary-clinton_n_11233456.html

「気骨と気品」を称えておられる。

しかし、それは、米国の1%のなかに保存されているもので、

99%の者に保持されてないんではないか。

そういうことからすると、

為政者足らんとする者は表面的であってもいいから、

「気骨と気品」を保て

というのは、

多分に欺瞞的なもんだ。

実際、

そのような立ち居振る舞いで

大統領候補の資格ありやなしやが論じられるというのは、

世界にとって

大変に大きな不幸ではないだろうか。

それは、

中東で雨あられのごとく降らせている

爆弾の“立ち居振る舞い”を見れば分かることだよ。

その爆弾の“立ち居振る舞い”において、

行儀が悪いことが

そのまま爆弾の威力につながるだろう。

また、

爆弾のその威力の罪深さとなると、

人間として

行儀がいい人でなく、むしろ、悪い人、

すなわち、99%の人々と共に歩む人の方が

知るのではなかろうか。

2017年1月10日夜 記



<追記ー3>

小野寺系 k.onodera @kmovie さんのツイート。

――何を勘違いしているのか、権力を盾に芸術の価値まで判断できると思っている政治家の傲慢さには呆れるけれど、メリル・ストリープをつかまえて「過大評価」というのは、トランプ批判への反撃だとしても、正視に耐えないくらい恥ずかしく、身の程をわきまえない発言だと感じた。〔9:50 - 2017年1月11日 〕―—

ここに問題にされている

政治家って

トランプだろうと

直ぐに察しがついた。

もともと、

トランプは、

ストリープのファンだった。

その証拠に

2015年8月、ハリウッド・リポーター誌のインタビューで

「お気に入りの女優はいますか」と質問された時、

トランプ氏はジュリア・ロバーツと共にストリープの名を挙げている

(The Huffington Post 記事「トランプ氏、メリル・ストリープのファンだった 「素晴らしい女優。人としても立派だ」」参照。*http://www.huffingtonpost.jp/2017/01/10/trump_n_14097588.html )。

然るに、

政治姿勢を批判されるや

悪口三昧というのは、

見苦しすぎる。

当然、

目立つわけで、

簡単に検索してみつけたのが

こちらの

The Huffington Post の記事。

「トランプ次期大統領、メリル・ストリープをこき下ろす「過大評価された女優だ」」と

見出しにある。

☆ 記事URL:http://www.huffingtonpost.jp/2017/01/09/trump_n_14068202.html

メリル・ストリープと言えば、

日本では、吉永小百合みたいなもんなんだろう。

それを

「過大評価」

と言えば、

小野寺系さんではないけれど、

「身の程をわきまえない発言だ」

という話になる。

何だか

米国の百田尚樹さんだな。

聞き流すような

器用な真似はできなかったのか――。

トランプ擁護論を

展開している身としては、

いい加減にせんかい

と思った。

しかし、それでもなお、彼を擁護するとすれば、

彼は、

彼なりに言論で

勝負しようとしていることだね。

ちなみに、

彼がストリープに批判された

障害のある記者を侮辱したものとみられるスピーチは、

次の通りだ。

物真似めいたジェスチャーは

品位を落とすだけで感心しないから止めるべきだな。

しかし、

この下品なスピーチだけで

政治家としての

彼を葬ってしまうのはやり過ぎと思う。




<追記-4>

yoyo@naha‏@orange519827 さんのツイート。

「メリル・ストリープのスピーチに多くの反論が。米国は何という国に成り果てたのか!?」なんて言ってる人はコメント読んでみて。反論してる人は差別主義者ではなくて「中東で数えきれないほどの子ども達の命を奪ったクリントンを支持するメリル・ストリープがなに戯言言ってるのか?」ということよ。〔18:10 - 2017年1月10日〕—―

2017年1月13日夜 記



〔資料〕

「ストリープさんの受賞スピーチ(全訳)」

   BuzzFeed (2017/01/09 16:09)

☆ 記事URL:https://www.buzzfeed.com/bfjapannews/meryl-streeps-speech?utm_term=.ovGDMqXVXM#.stQl3Yomo3

「今私は声が出なくなっています。お許しください。今週、悲しみで悲鳴を上げて声が枯れてしまいました。少し前には、気が動転したこともありました。だから、みなさんへのメッセージを読み上げます。

(ゴールデングローブ賞の受賞者を選定している)ハリウッド外国人映画記者協会の方々に感謝します。ヒュー・ローリーも言っていましたが、この部屋の私たち全員が、今アメリカ社会で最もけなされている部類に属している人間であることがわかります。ハリウッド、外国人、そして報道陣、です。

私たちは誰なのでしょう?ハリウッドとは何なのでしょう?ハリウッドは、あらゆるところからやって来た人が、寄せ集まって出来ている場です。私はニュージャージーの公立学校で生まれ育ち、教育されました。

ヴィオラ・デイビスはサウスカロライナ州の農地の小屋で生まれ、ロードアイランドのセントラルフォールズで育ちました。サラ・ポールソンはフロリダ州で生まれ、ブルックリンでシングルマザーに育てられました。

サラ・ジェシカ・パーカーは、オハイオ州の7、8人のきょうだいの一人でした。エイミー・アダムスはイタリアのヴェネト州ヴィチェンツァで生まれ、ナタリーポートマンはエルサレムで生まれました。この人たちの出生証明書は、一体どこにあるのでしょうか?

そして美しいルース・ネッガは、エチオピアのアディス・アベバで生まれ、ロンドンで育ちました。いえ、ロンドンではなく、アイルランドだったはずです。ルースはバージニア州の小さな町の女性の演技を評価され、ノミネートされました。

ライアン・ゴスリングはカナダ人です。そしてデーヴ・パテールは、ケニアで生まれロンドンで育ちました。デーヴは、タスマニア育ちのインド人の役を演じました。ハリウッドはよそ者や外国人だらけです。私たちが彼らを全員排除したら、アメフトやマーシャル・アーツしか観るものがなくなってしまいます。それらは芸術ではありません。

あまり時間をもらっていないので、続けます。俳優の仕事は、自分とは異なる人の人生を演じることです。そして、その人たちの人生がどういうものなのか、観客に感じさせることです。今年私は、まさにそのことを成し遂げた、数多くの力強い演技を目にしました。息を呑むほど、思いやりのある仕事です。

でも、今年、私を驚かせた演技がひとつありました。私はそれを目にして、衝撃を受けました。感激したからではありません。そのパフォーマンスには良いところはありませんでした。しかし効果的であり、果たすべき役割を果たしました。それは、それを期待していた聴衆を笑わせました。

私たちの国で、最も尊敬されている場所に立とうとしている人が、特権、権力、そして反撃する能力において、自分のほうがはるかに上回っているにも関わらず、体の不自由な記者の真似をしたのです。

私はそれを見たとき、 胸が張り裂けそうでした。私はまだ、自分の頭の中からそのときの記憶を消し去ることができません。なぜならそれは、映画の中の出来事ではなく、現実の出来事だったからです。

誰かに屈辱的なことをする。公の場で権力を持っている人がそのような行為をした時、他のすべての人生に影響してきます。他の人たちも同じような行動をとっても良いと、許可を与えることになるからです。

無礼は無礼を招く。暴力は暴力を呼び起こす。権力者が、その地位を利用していじめをすると、私たち全員が負けることになります。
ここで、報道陣の話をさせてください。 私たちには、怒りで声をあげなくてはならない事態が起きた時に、信念のある報道陣がしっかりと声をあげてくれることが必要なのです。

だからこそ、私たちの国、アメリカを建国した人たちは、憲法の中で、報道とその自由を守ることを決めたのです。だから私は、裕福なことで有名なハリウッド外国人映画記者協会と映画業界のみなさんに、ジャーナリスト保護委員会への支援を呼びかけたいのです。真実を守りながら前に進んでいくために彼らの力が必要だからです。

最後にもう一つ言わせてください。ある日、私が撮影のセットにいた時、愚痴を言っていました。撮影が長時間に渡って、夕食の時間まで続いたりしていた時です。一緒にいたトミー・リー・ジョーンズは、「メリル、俳優をやれているのはそれだけで名誉なことだよね」と言いました。

その通りです。私たちは、自分に与えられた名誉や特権、責任、他者に共感する気持ちを忘れてはいけないのです。私たちは、ハリウッドが今夜この場で褒め称えている仕事のすべてを、誇りに思うべきです。

私の友人だったレイア姫ことキャリー・フィッシャーが、生前こういうことを言っていました。「あなたの傷ついた心を、どうか芸術に昇華して」。みなさん、どうもありがとう。

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