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植草一秀さん / 「沖縄差別・沖縄蔑視安倍政治を容認するのか」

2018年01月28日 15時59分12秒 | 沖縄問題
〔資料〕

「沖縄差別・沖縄蔑視安倍政治を容認するのか」

    植草一秀の『知られざる真実』(2018年1月28日 (日))

☆ 記事URL:http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/2018/01/post-90b8.html

1月25日の衆院本会議で、日本共産党の志位和夫委員長が代表質問で沖縄県内での米軍機事故続発について安倍首相を追及した際、自民党の松本文明内閣府副大臣が「それで何人死んだんだ」とヤジを飛ばした。

松本副大臣は翌日の26日、やじを飛ばしたのは不適切だったとして安倍晋三首相に辞表を提出した。

日本共産党の志位委員長は松本副大臣の辞任について、「辞めれば済むというものではない。こんなとんでもない人物を副大臣に任命した首相の責任が厳しく問われる。沖縄に対する安倍政権の強権と無法がああいう発言につながった」とコメントした。

安倍政権の沖縄に対する姿勢が改めて問われることになった。

このなかで、1月28日、名護市長選が告示された。投票日は2月4日。

奇しくも立春の選挙になる。新しい春に、沖縄県名護市の主権者がどのような判断を示すのか。沖縄県のみならず、オールジャパンの注目を集める選挙になる。

今回の名護市長選の最大の争点は名護市にある辺野古海岸での米軍基地建設の是非である。

過去20年間に5回実施された名護市長選で、新基地建設の是非が争点になってきた。

最初の3回は建設容認・推進派が勝利し、直近2回は反対派の稲嶺氏が連勝している。

20年前の1998年は自民党政権の時代で、橋本政権が普天間基地返還で米国と合意し、その延長線上で辺野古での米軍基地建設の方針が定められた局面で行われた選挙である。

2002年、2006年と、基地建設容認派の自民党系の候補が勝利したが、2009年に鳩山政権が樹立されて以降、状況が大きく変化した。

2010年2月の選挙は、鳩山政権が誕生した直後の選挙だった。

稲嶺進氏が米軍基地建設反対を訴えて勝利した。

鳩山政権は普天間の県外、国外移設方針を断念したが、鳩山首相はその責任を取って辞任した。後継政権の菅直人政権、野田佳彦政権が辺野古米軍基地建設推進に方向に舵を切り、これが第2次安倍製塩以降の政権に引き継がれている。

しかし、沖縄では辺野古米軍基地建設阻止の意思が主権者によって示され続けてきた。

2014年の名護市長選でも基地建設阻止を訴えた稲嶺進氏が再選を果たしたのである。

沖縄県の公明党は普天間飛行場の県内移設に反対の立場を表明しており、2014年の名護市長選挙では自民系の候補者の支持、推薦には回らず、自主投票とした。

ところが、今回は実質的に辺野古米軍基地建設容認、推進と見られる、自民党と維新が推薦する渡具知武豊(とぐちたけとよ)氏の推薦を決めた。

名護市における公明票は約2000票と見られており、接戦になる場合には公明党の2000票のゆくえが重要性を帯びる。

自民党は、これまでの選挙同様に「利益誘導」色の強い選挙戦を展開している。

安倍政権は米軍基地建設に反対する沖縄県に対する予算配分を削減する一方で、沖縄県や名護市を通さずに、基地受け入れを表明した名護市の三集落に対して国の補助金を直接交付するという「直接交付金」を投入してきた。

昨年末の12月29日には、菅官房長官が名護市のホテルで三集落代表(久志区長・辺野古区長・豊原区長)に対して2018年度予算でも直接交付金が確保されたことを伝えた。

露骨な札束攻勢をかけていると指摘されている。

菅氏は「政府としては最高裁の判例に従って工事を進めている。皆さんの生活環境の保全や地域の振興に関し、政府としてはできる限りの配慮を行ってきた」と述べて、基地受け入れの住民には財政資金投入などの措置を講じることを改めて強調した。

さらに、名護市内で工事が行われている「名護東道路(8.4キロ、総事業費962億円)」を視察して、未完成区間(2.6キロ)の1年半の完成前倒しと延伸調査を関係省庁に指示したことを明らかにした。

選挙に対する買収行動は公職選挙法によって禁止されているが、こうした政府の行政権限を用いた、実質的な利益誘導=買収効果のある施策は野放しにされている。

札束で頬を叩いて票を買い取る手法との批判が生じるのもやむを得ない。

菅官房長官との二人三脚ぶりを示しているのが自民党の二階俊博幹事長である。

二階俊博幹事長は1月4日に名護市に入り、渡具知候補や選対幹部の末松文信県議らとの意見交換会に出席し、

「私は土地改良事業連合会に行って来ますから、土地改良の方に声をかけて下さい。選挙で仲間が沢山いれば、何倍も力が出てきますから皆さん、よろしく」

と述べたと、ジャーナリストの横田氏が伝えている。

「全国土地改良事業団体連合会」会長の二階氏は、民主党政権が公共事業削減の一環として大幅に削減した土地改良事業予算を、安倍政権に働きかけて以前の水準にまで戻させた人物である。

土地改良事業は農地規模拡大や灌漑整備などをする農業土木事業で、この予算が選挙対策の利益誘導予算として活用されてきた経緯がある。

しかし、安倍内閣の本音は辞任に追い込まれた松本副大臣のヤジに象徴されている。

「米軍ヘリが墜落したからと言って多数の県民が死亡もしていないのに文句を言うな」という姿勢なのだ。名護市の市民は札束で頬を叩いて票を買い取るかのような安倍政権の姿勢に対して毅然とした判断を選挙結果で示すべきである。

そして、この名護市民の判断を日本全体の心ある主権者が全面的に支える必要がある。

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