西岡研介 @birikskさんが
この事件に関して
――〈産経新聞は、自らの胸に手を当てて「報道機関を名乗る資格があるか」を問うてほしい〉〔11:09 - 2018年1月30日〕――
とツイートされている。
津田大介@tsudaさんによると、
――産経高木那覇支局長は以前もネットの情報だけをソースにやらかした報道してる→https://buff.ly/2Emcfkn 産経は他社と比べて沖縄に人員やコストを割いてないので低コスト体質&広告目当てでネット最適化&イデオロギーの3つが組み合わさりこういう酷い記事ができたのだろう。〔11:19 - 2018年1月30日 〕――
とのことだ。参考までに、
以前やらかした誤報も紹介しておく
(下記〔資料-2〕参照)。
この記事のどこが誤報かと言えば、
大袈裟氏の
弁明の取り上げ方が歪んでいるということだろう。
産経では、
「ダンプカーをよけたときに棒が当たりそうになり、とっさに取り上げただけ」
となっている。
同じであるはずの状況を、
田中龍作氏は、
次のように報じる。
ちょっと長いが、背景の理解も大切と思うので、
そちらの記述も含めて引用する。
―― 機動隊は座り込みの住民を力ずくでゲート前から排除する。警備というには度を越した暴力も時にある。排除のもようを撮影されることを警察は極度に嫌う。アツシこと仁尾淳史などは、住民排除に取り掛かる前に機動隊から退けられる。
逮捕当日、ツイキャス配信していた大袈裟の顔面すぐ前に交通警察用の停止棒(合図棒、誘導棒とも呼ばれる)が迫ってきた。
「危ない」。大袈裟は反射的に停止棒を払いのけた。払いのけた勢いでつかんだ。停止棒は10秒足らずで機動隊に返した。
警察は間髪を入れずに大袈裟をゲート内に押し込んだ。人目につかないようにするためだ。ゲート内は米軍の敷地である。
「撮らないで。ここは基地内だから」。警察は執拗に撮影させまいとした。それでも撮影を続けた大袈裟は逮捕された。それも警察にとって手っ取り早い現行犯逮捕だ。
沖縄県警は大袈裟の身柄をいったん那覇地検に送ったが、検察は裁判所に勾留請求できなかった。不当逮捕の動かぬ証拠だ。――
☆ 記事URL:http://tanakaryusaku.jp/2017/11/00016940
この状況説明の違いが何より雄弁に
産経の憶測に基づく取材態度を語っている。
<追記>
産経のねつ造記事について、
きっこ @kikko_no_blogさんが
リテラの記事(下記〔資料-3〕参照)を紹介しつつ、
こんなコメント。
――沖縄二紙を批判するために捏造記事を垂れ流すなんて、さすがは安倍政権の広報誌だな。小学校の壁新聞のほうが遥かに信頼できる。〔22:56 - 2018年1月30日 〕――
また、続いて、同氏は、
―― 産経新聞は何かと言えば朝日新聞の誤報を批判するが、間違いを訂正して謝罪しただけでも朝日新聞のほうが遥かにマシだ。産経新聞はかつて小沢一郎の陸山会事件に関して事実無根のデマを報じたが、その内容がデマだと分かった後も、一度たりとも訂正も謝罪もしていない。〔23:39 - 2018年1月30日 〕――
とコメント。
「デマ記事」を垂れ流すのは、
記者としての誇り、
そして
「訂正、謝罪がない」ということの方は、
記者である以前に、
その人間性が問われているんではないかと思うな。
〔資料〕
「「米兵が救助」米軍否定 産経報道「沖縄2紙は黙殺」 県警も「確認できず」 昨年12月自動車道事故 」
琉球新報(1/30(火) 6:04配信)
☆ 記事URL:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180130-00000005-ryu-oki
昨年12月1日に沖縄自動車道を走行中の米海兵隊曹長の男性が、意識不明の重体となった人身事故で、産経新聞が「曹長は日本人運転手を救出した後に事故に遭った」という内容の記事を掲載し、救出を報じない沖縄メディアを「報道機関を名乗る資格はない」などと批判した。しかし、米海兵隊は29日までに「(曹長は)救助行為はしていない」と本紙取材に回答し、県警も「救助の事実は確認されていない」としている。産経記事の内容は米軍から否定された格好だ。県警交通機動隊によると、産経新聞は事故後一度も同隊に取材していないという。産経新聞は事実確認が不十分なまま、誤った情報に基づいて沖縄メディアを批判した可能性が高い。産経新聞の高木桂一那覇支局長は「当時のしかるべき取材で得た情報に基づいて書いた」と答えた。
昨年12月9日に産経新聞の高木支局長は、インターネットの「産経ニュース」で「沖縄2紙が報じないニュース」として、この事故を3千字を超える長文の署名記事で取り上げた。「日本人運転手が軽傷で済んだのは曹長の勇気ある行動があったからだ」と紹介し、沖縄メディアに対し「これからも無視を続けるようなら、メディア、報道機関を名乗る資格はない。日本人として恥だ」と断じた。
同12日には産経新聞本紙でも「日本人救った米兵 沖縄2紙は黙殺」という見出しで、曹長の回復を祈る県民の運動と共に報じている。ネットでは県内メディアへの批判が集中し、本紙にも抗議の電話やメールが多数寄せられた。
しかし海兵隊は現場で目撃した隊員の証言などから1月中旬、「(曹長は)他の車両の運転手の安否を確認したが、救助行為はしていない」と回答。県警交通機動隊によると、事故で最初に横転した車の運転手は当初「2人の日本人に救助された」と話していたという。
海兵隊によると、曹長は意識を回復しリハビリに励んでいるという。産経ニュースはその後、曹長の回復や事実誤認については報じていない。
批判を受けて琉球新報は高木支局長に(1)どのように事実確認をしたのか(2)県警に取材しなかったのはなぜか(3)沖縄メディアには取材したのか―の3点を質問した。高木支局長は23日に取材に応じ「当時のしかるべき取材で得た情報に基づいて書いた」と答えた。
海兵隊、投稿を訂正 「誤った情報の結果」
事故は昨年12月1日午前4時50分ごろ、沖縄市知花の沖縄自動車道北向け車線で発生した。最初に左側の車線で追突事故が発生し軽自動車が横転した。追突現場の後方で停車した別の車に曹長の運転する車が接触し、さらに後ろから米軍の貨物車が衝突した。その後、後方から追い越し車線を走ってきた米海兵隊員の運転する乗用車に、路上にいた曹長がはねられた。
米海兵隊第3海兵兵站(たん)群の英語ホームページ記事によると、曹長は接触事故後に現場にいた別の隊員に近づき無事を確認した後「自分の車を動かすよ」と言って離れた直後にはねられたという。
在日米海兵隊のツイッターでは12月、曹長へ回復を祈るメッセージを送る県民の運動について発信する際に「多重事故で横転した車から県民を救出した直後に車にひかれ」と、救助したと断定した書き方をしていた。その後、このツイートは「多重事故で車にひかれ意識不明の重体になった」と訂正された。
海兵隊は取材に対し「事故に関わった人から誤った情報が寄せられた結果(誤りが)起こった」と説明している。
<視点>事実確認を最重視
本紙は12月2日付朝刊で事故の発生と曹長の男性が意識不明の重体で搬送されたことを報じた。インターネットの産経ニュースの報道後「なぜ救助を伝えないのか」という意見が本紙に多く寄せられた。
続報を書かなかった最大の理由は、県警や米海兵隊から救助の事実確認ができなかったからだ。一方で救助していないという断定もできなかった。海兵隊は、現場にいた隊員の証言から「他の車の運転手の状況を確認はしたが救助行為はしていない」と回答したが、曹長が誰かを助けようとしてひかれた可能性は現時点でも否定できない。
曹長自身も接触事故を起こしてはいるが、あくまでも人身事故の被害者であり、一時は意識不明に陥った。救助を否定することでいわれのない不名誉とならないか危惧した。
それでも今回報道に至ったのは、産経新聞が不確かな「救助」情報を前提に、沖縄メディアに対して「これからも無視を続けるようなら、メディア、報道機関を名乗る資格はない。日本人として恥だ」と書いたことが大きい。産経新聞の報道が純粋に曹長をたたえるだけの記事なら、事実誤認があっても曹長個人の名誉に配慮して私たちが記事内容をただすことはなかったかもしれないが、沖縄メディア全体を批判する情報の拡散をこのまま放置すれば読者の信頼を失いかねない。
曹長の回復を願う家族の思いや県民の活動は尊いものだ。しかし、報道機関が報道する際は、当然ながら事実確認が求められる。最初に米軍側が説明を誤った可能性を差し引いても、少なくとも県警に取材せずに書ける内容ではなかったと考える。
産経新聞は、自らの胸に手を当てて「報道機関を名乗る資格があるか」を問うてほしい。(本紙社会部・沖田 有吾)
琉球新報社
〔資料-2〕
「辺野古で逮捕された「大袈裟太郎」容疑者 基地容認派も知る“有名人”だった」
産経新聞(2017.11.10 14:38 )
☆ 記事URL:http://www.sankei.com/affairs/news/171110/afr1711100055-n1.html
沖縄県警が9日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設への抗議活動中に、公務執行妨害と窃盗の疑いで現行犯逮捕した男(35)は、基地容認派の間でも名が知られた、いわくつきの人物だった。
逮捕容疑は9日午前9時ごろ、移設先に隣接する米軍キャンプ・シュワブのゲート前で、交通整理をしていた県警の30代男性警察官から、合図灯1本を奪い取って職務を妨害したとしている。約20メートル逃走した後、近くにいた警察官らに取り押さえられたという。
東京都出身とされるこの男は「大袈裟太郎(おおげさたろう)」と名乗り、ラッパー、人力車夫、政治活動家などさまざまな顔を持つ。園子温監督がメガホンをとった映画「TOKYO TORIBE」での端役ながら俳優デビューも果たしたとされる。
政治的な活動は、昨年夏の参院選と東京都知事選での左派系候補の支援から始め、沖縄でも全国から集う左翼活動家とともに東村高江でのヘリパット建設に対する抗議活動を展開。辺野古でも基地建設反対の声を上げていた。記者が書いた記事についても「悪意がある」とツイッターに意味不明な投稿をしていた。
「偏向報道」著しい沖縄県紙には「ラップで平和訴え 不条理に言葉で対抗」という見出しの記事で英雄扱いされたこともある。
しかし法を逸脱して傍若無人に振る舞う左翼・反基地活動家にあって、わけても「大袈裟太郎」容疑者の評判は基地容認派の間で散々だった。
「高江を皮切りに辺野古でも暴力の限りを尽くし、その過激さから仲間割れを起こし、善良で穏健な仲間たちの離反を招いた」
「沖縄県民は、こうした外来過激派にずっと翻弄され続けている」
「相手が無抵抗だと罵声を吐いて挑発し揚げ足をとり、いざ検挙となると急に縮み上がって主張を引っ込める小心者。こんな輩が社会を荒らしている」
同容疑者の行状をよく知る農場経営の依田啓示さん(44)=東村=は自身のフェイスブックにこう投稿した。
逮捕の瞬間は「大袈裟太郎」容疑者の仲間がネットで中継したが、「朗報」に接した良識派の県民たちはネット上で「沖縄県警はいい仕事をした」「天誅(てんちゅう)が下った」「沖縄から追放、強制送還すべき」などと声を上げた。
ちなみに「大袈裟太郎」容疑者は名護署の調べに対し「ダンプカーをよけたときに棒が当たりそうになり、とっさに取り上げただけ」と話し、容疑を否認しているという。(那覇支局長 高木桂一)
〔資料-3〕
「産経新聞はやっぱり“ネトウヨまとめ”だった! デマ常習者を情報源に沖縄二紙を攻撃するも県警に否定される醜態」
リテラ(2018.01.30)
☆ 記事URL:http://lite-ra.com/2018/01/post-3768.html
「デマ製造新聞」「ネトウヨまとめ新聞」と揶揄される産経新聞が、またもインチキ記事を掲載・拡散していたことがわかった。この事実を伝えたのは、本日付の琉球新報だ。
問題となっているのは、昨年12月1日に沖縄市知花の沖縄自動車道で起こった米軍の人身事故にかんするニュース。翌2日に琉球新報は、県警交通機動隊の情報をもとに〈米海兵隊曹長の男性(44)が前方の車と接触事故後、車外に出たところ米海兵隊2等軍曹(28)の乗用車がはねた。曹長の男性は頭蓋底骨折などのけがを負い、意識不明の重体で、本島中部の病院に搬送された〉と報道。沖縄タイムスも同様に伝えている。
だが、同月9日になって、産経ニュースが「【沖縄2紙が報じないニュース】 危険顧みず日本人救出し意識不明の米海兵隊員 元米軍属判決の陰で勇敢な行動スルー」という6ページにもわたる長文の記事を配信し、〈クラッシュした車から日本人を救助した在沖縄の米海兵隊曹長が不運にも後続車にはねられ、意識不明の重体となった〉と報道。日本人を救出した曹長はヘクター・トルヒーヨ氏だとして、トルヒーヨ曹長の妻・マリアさんのFacebookの投稿と、米第三海兵遠征軍の担当官のコメントをその裏付けとしていた。
そして、産経記事では、この「事実」を伝えない琉球新報と沖縄タイムスの2紙をこのように批判したのだ。
〈「米軍=悪」なる思想に凝り固まる沖縄メディアは冷淡を決め込み、その真実に触れようとはしないようだ〉
〈沖縄県のメディアはなぜ、こうも薄情なのだろうか。それでも事故後、この「報道されない真実」がネット上でも日増しに拡散されている。「続報」として伝えることは十分可能だが、目をつぶり続けているのである〉
さらに、新報・タイムスが12月1日に米軍属による女性強姦殺人事件の公判で無期懲役となった件を1面トップで伝えたことを取り上げ、〈被告が「元米軍属」「元海兵隊員」ではなく「日本人」だったら、どうだったろう〉などと言い出し、〈米軍の善行には知らぬ存ぜぬを決め込む〉と非難。以下のようにまくし立てた。
〈「報道しない自由」を盾にこれからも無視を続けるようなら、メディア、報道機関を名乗る資格はない。日本人として恥だ〉
報道機関を名乗る資格はない、日本人の恥──。この記事が配信されるや否や、ネット上では新報・タイムスを批判する投稿が相次ぎ、「偏向報道の実態」として拡散。さらに産経は12月12日に本紙でも「車事故で男性助け…自身は、はねられ重体 日本人救った米兵 沖縄2紙は黙殺」と同様の論調の記事を掲載した。
しかし、この産経が事実として断定的に伝え、沖縄2紙の批判材料にした「トルヒーヨ曹長が日本人を救出した」という話を、当の米海兵隊ならびに沖縄県警が否定。米海兵隊は琉球新報の取材に対して「(曹長は)救助行為はしていない」と回答し、沖縄県警も「救助の事実は確認されていない」としたのだ。
●産経はデマをもとに「報道機関を名乗る資格はない」と沖縄2紙を攻撃
しかも、県警交通機動隊は〈産経新聞は事故後一度も同隊に取材していない〉としている。つまり、沖縄2紙に「報道機関を名乗る資格はない」とまで言い切っていたのに、産経は県警に事実確認の取材さえしていなかったというのだ。
琉球新報によると、産経が嘘の記事で2紙をバッシングして以降、〈本紙にも抗議の電話やメールが多数寄せられた〉という。それでも続報を書かなかったのは、〈県警や米海兵隊から救助の事実確認ができなかった〉〈一方で救助していないという断定もできなかった〉からだ。そして、米海兵隊がその事実を否定していたとしても〈曹長が誰かを助けようとしてひかれた可能性は現時点でも否定できない〉〈救助を否定することで(引用者注:曹長にとって)いわれのない不名誉とならないか危惧した〉という。これは報道機関として真っ当な慎重さだろう。
だが、琉球新報は今回、〈沖縄メディア全体を批判する情報の拡散をこのまま放置すれば読者の信頼を失いかねない〉と判断。記事のなかで、産経にこう呼びかけている。
〈曹長の回復を願う家族の思いや県民の活動は尊いものだ。しかし、報道機関が報道する際は、当然ながら事実確認が求められる。最初に米軍側が説明を誤った可能性を差し引いても、少なくとも県警に取材せずに書ける内容ではなかったと考える。
産経新聞は、自らの胸に手を当てて「報道機関を名乗る資格があるか」を問うてほしい〉
産経が好んで用いる言葉を使うなら、まさしく「大ブーメラン」である。県警取材さえ怠り、しっかり裏付けもとっていない情報を事実として伝えたことはもとより、それを沖縄メディア批判の道具にしたことは卑劣としか言いようがないだろう。
だが、こうした事実を突きつけられてもなお、産経は開き直っている。一連の記事を執筆した産経新聞那覇支局長である高木桂一氏は、琉球新報の取材に対し、こう述べているのだ。
「当時のしかるべき取材で得た情報に基づいて書いた」
この期に及んで、よくもこんな態度でいられるものかと思うが、気になるのは「しかるべき取材」という部分だ。県警にも取材していなかったのに、一体、何を取材したというのか。
じつは、産経が「トルヒーヨ曹長が日本人を救出した」と伝えた昨年12月9日より以前に、これを事実としてネット上に拡散していた人物がいる。それは、これまで数々の沖縄デマの発信源となってきた「ボギーてどこん」こと手登根 安則氏という人物だ。
●産経新聞の情報源は基地反対派のハーフ暴行デマを拡散したあの人物か
手登根氏といえば、2015年に「基地反対派がハーフ女児を暴行した」という八重山日報が報じたデマ記事の発信源となった人物(詳しくは過去記事参照)。先日、南城市長選で落選した古謝景春氏が流した「基地反対派の言動によって海保職員2人が自殺した」というデマを拡散させたり、また、BPOが「重大な放送倫理違反があった」と判断した『ニュース女子』(DHCテレビ)の沖縄デマ回にも証言者として登場。「普天間基地の周辺で見つかった茶封筒」のカラーコピーを見せ、番組は「反対派は日当を貰ってる!?」などと煽った。手登根氏の番組内での証言はあきらかに日当デマを主張するものであり、過去にも日当デマを吹聴してきた事実もあるのだが、手登根氏はBPOの聞き取り調査で「茶封筒の中身は交通費だと思っており、自分は反対派が手当をもらっていると言ったことはない」などと言い訳している。
そして、この手登根氏が、産経が記事にする6日前の12月3日、ツイッター上にこのような投稿をおこなっていた。
〈金曜日に沖縄自動車道で起きた大事故において事故に遭った方を救出中の海兵隊員が後続車にはねられ重体となっています。この勇敢なる彼とご家族のために 一刻も早い回復を願い共に祈って頂けませんか。彼の名前は、Hector Trujillo さんです。〉
この手登根氏の投稿には、病院で治療を受けているトルヒーヨ曹長と思われる男性の写真も付けられている。じつはこの写真は妻マリアさんがFacebookに投稿したものと同一だった。琉球新報の取材で海兵隊は「事故に関わった人から誤った情報が寄せられた結果(誤りが)起こった」と説明しているが、事故後まもないこの時点では情報が錯綜していたのだろう。
だからこそ、琉球新報は裏付けがとれないままでは記事にできないと判断したわけだが、産経の高木那覇支局長は県警に裏取りもせず、家族と米第三海兵遠征軍の担当官の証言だけで事実と断定したのだ。
しかも、高木支局長は、手登根氏のツイートを最初の「元ネタ」にした可能性が高い。というのも、高木支局長は、つい先日も手登根氏と同様に沖縄デマ発信源となっている人物の主張に基づいて記事を書き、配信した"前科"があるからだ。
●沖縄を「偏向報道特区」よばわりした産経・那覇支局長のネトウヨネタ依存
それは昨年11月9日、沖縄の現状を発信してきたヒップホップミュージシャンの大袈裟太郎氏が、米軍キャンプ・シュワブのゲート前で不当逮捕されたときのこと。翌10日に高木支局長は産経ニュースに「辺野古で逮捕された「大袈裟太郎」容疑者 基地容認派も知る"有名人"だった」という署名記事を執筆。問題は、高木支局長が記事でコメントを紹介した人物だ。高木支局長は〈容疑者の行状をよく知る〉人物として依田啓示氏のFacebook投稿から「沖縄県民は、こうした外来過激派にずっと翻弄され続けている」などと紹介している。
しかし、この依田氏もまた沖縄デマの発信源として有名な人物で、『ニュース女子』では「(高江では反対派が)救急車を止めて、現場に急行できない事態が、しばらく、ずーっと続いていたんです」と証言。これをBPOの調査は〈救急車が、抗議活動に参加する人々によって妨害された事実は確認できない〉と結論づけている。
ようするに、高木支局長はこうした沖縄デマ発信源をニュースソースにして沖縄の基地反対派を貶める記事を発信。その上、今回発覚したように、虚偽の情報によって沖縄2紙へのバッシングを垂れ流してきたのだ。全国紙の記者だというのに、そのやり口はネトウヨそのものではないか。
実際、高木記者は那覇支局長に就任してから5カ月目となる昨年10月に出演したネット番組「チャンネル Ajer」で、こんなことを語っている。
「こちら(沖縄)の状況ですね、とくにメディアの状況について、いろいろ目にしてたんですが、まあ、まさにこの5カ月、(沖縄に)来てビックリした。もう、やはりこんなにすごいのかと」
「(前任の長野にも)信濃毎日新聞という手の付けようもない(笑)偏向的な新聞があるんですが、まったく信濃毎日新聞なんてかわいいもんで、ホントちょっとね、これはなんとかしないといけないと私、ひとりでも立ち上がらないといけないと」
「はっきり言ってここ(沖縄)は『偏向報道特区』だと」
「偏向報道特区」などと攻撃していた当の本人が、偏向どころか虚偽のニュースを伝えていた──。まったく呆れてものが言えないが、しかし、これは何も高木支局長ひとりではなく、産経新聞全体の体質の問題だ。
●悪質デマ連発の産経新聞に「新聞社」を名乗る資格なし
本サイトではこれまでも産経がいかにフェイクニュースを垂れ流してきたのかを数々取り上げてきたが、それは2ちゃんねるの書き込みをもとに北朝鮮のミサイル発射のデマを予告したり、森友問題で辻元清美衆院議員にかんするネット上の流言飛語をそのまま記事化したりと枚挙に暇がない上、ひとつひとつの悪質性も全国紙とは思えないものばかりだ。実際、産経の顔とも言うべき政治部編集委員である阿比留瑠比氏は、辻元議員の阪神大震災時のデマを記事にした件や、Facebookに小西洋之参院議員を誹謗中傷する記事を投稿した件の裁判でともに敗訴している。
ところが、このデマ製造新聞を、よりにもよってこの国の総理は贔屓にし、先日も平昌五輪開会式出席について独占インタビューさせたばかり。安倍首相をひたすらもち上げ、安倍首相に批判的なメディアや問題はデマを使ってでも潰そうとする。──これが「社会の公器」がやることなのか。
今回の問題発覚によって、産経がしょせん「ネトウヨまとめ」に過ぎないことがはっきりしたように、もはや産経に「報道機関を名乗る資格」はない。ところが、産経の記事は全国紙の報道としてYahoo!ニュースなどでも取り上げられ、ネット上で真実として拡散されている。この現実こそ、なんとかしなくてはならないだろう。
(編集部)
この事件に関して
――〈産経新聞は、自らの胸に手を当てて「報道機関を名乗る資格があるか」を問うてほしい〉〔11:09 - 2018年1月30日〕――
とツイートされている。
津田大介@tsudaさんによると、
――産経高木那覇支局長は以前もネットの情報だけをソースにやらかした報道してる→https://buff.ly/2Emcfkn 産経は他社と比べて沖縄に人員やコストを割いてないので低コスト体質&広告目当てでネット最適化&イデオロギーの3つが組み合わさりこういう酷い記事ができたのだろう。〔11:19 - 2018年1月30日 〕――
とのことだ。参考までに、
以前やらかした誤報も紹介しておく
(下記〔資料-2〕参照)。
この記事のどこが誤報かと言えば、
大袈裟氏の
弁明の取り上げ方が歪んでいるということだろう。
産経では、
「ダンプカーをよけたときに棒が当たりそうになり、とっさに取り上げただけ」
となっている。
同じであるはずの状況を、
田中龍作氏は、
次のように報じる。
ちょっと長いが、背景の理解も大切と思うので、
そちらの記述も含めて引用する。
―― 機動隊は座り込みの住民を力ずくでゲート前から排除する。警備というには度を越した暴力も時にある。排除のもようを撮影されることを警察は極度に嫌う。アツシこと仁尾淳史などは、住民排除に取り掛かる前に機動隊から退けられる。
逮捕当日、ツイキャス配信していた大袈裟の顔面すぐ前に交通警察用の停止棒(合図棒、誘導棒とも呼ばれる)が迫ってきた。
「危ない」。大袈裟は反射的に停止棒を払いのけた。払いのけた勢いでつかんだ。停止棒は10秒足らずで機動隊に返した。
警察は間髪を入れずに大袈裟をゲート内に押し込んだ。人目につかないようにするためだ。ゲート内は米軍の敷地である。
「撮らないで。ここは基地内だから」。警察は執拗に撮影させまいとした。それでも撮影を続けた大袈裟は逮捕された。それも警察にとって手っ取り早い現行犯逮捕だ。
沖縄県警は大袈裟の身柄をいったん那覇地検に送ったが、検察は裁判所に勾留請求できなかった。不当逮捕の動かぬ証拠だ。――
☆ 記事URL:http://tanakaryusaku.jp/2017/11/00016940
この状況説明の違いが何より雄弁に
産経の憶測に基づく取材態度を語っている。
<追記>
産経のねつ造記事について、
きっこ @kikko_no_blogさんが
リテラの記事(下記〔資料-3〕参照)を紹介しつつ、
こんなコメント。
――沖縄二紙を批判するために捏造記事を垂れ流すなんて、さすがは安倍政権の広報誌だな。小学校の壁新聞のほうが遥かに信頼できる。〔22:56 - 2018年1月30日 〕――
また、続いて、同氏は、
―― 産経新聞は何かと言えば朝日新聞の誤報を批判するが、間違いを訂正して謝罪しただけでも朝日新聞のほうが遥かにマシだ。産経新聞はかつて小沢一郎の陸山会事件に関して事実無根のデマを報じたが、その内容がデマだと分かった後も、一度たりとも訂正も謝罪もしていない。〔23:39 - 2018年1月30日 〕――
とコメント。
「デマ記事」を垂れ流すのは、
記者としての誇り、
そして
「訂正、謝罪がない」ということの方は、
記者である以前に、
その人間性が問われているんではないかと思うな。
2018年1月31日未明 記
〔資料〕
「「米兵が救助」米軍否定 産経報道「沖縄2紙は黙殺」 県警も「確認できず」 昨年12月自動車道事故 」
琉球新報(1/30(火) 6:04配信)
☆ 記事URL:https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20180130-00000005-ryu-oki
昨年12月1日に沖縄自動車道を走行中の米海兵隊曹長の男性が、意識不明の重体となった人身事故で、産経新聞が「曹長は日本人運転手を救出した後に事故に遭った」という内容の記事を掲載し、救出を報じない沖縄メディアを「報道機関を名乗る資格はない」などと批判した。しかし、米海兵隊は29日までに「(曹長は)救助行為はしていない」と本紙取材に回答し、県警も「救助の事実は確認されていない」としている。産経記事の内容は米軍から否定された格好だ。県警交通機動隊によると、産経新聞は事故後一度も同隊に取材していないという。産経新聞は事実確認が不十分なまま、誤った情報に基づいて沖縄メディアを批判した可能性が高い。産経新聞の高木桂一那覇支局長は「当時のしかるべき取材で得た情報に基づいて書いた」と答えた。
昨年12月9日に産経新聞の高木支局長は、インターネットの「産経ニュース」で「沖縄2紙が報じないニュース」として、この事故を3千字を超える長文の署名記事で取り上げた。「日本人運転手が軽傷で済んだのは曹長の勇気ある行動があったからだ」と紹介し、沖縄メディアに対し「これからも無視を続けるようなら、メディア、報道機関を名乗る資格はない。日本人として恥だ」と断じた。
同12日には産経新聞本紙でも「日本人救った米兵 沖縄2紙は黙殺」という見出しで、曹長の回復を祈る県民の運動と共に報じている。ネットでは県内メディアへの批判が集中し、本紙にも抗議の電話やメールが多数寄せられた。
しかし海兵隊は現場で目撃した隊員の証言などから1月中旬、「(曹長は)他の車両の運転手の安否を確認したが、救助行為はしていない」と回答。県警交通機動隊によると、事故で最初に横転した車の運転手は当初「2人の日本人に救助された」と話していたという。
海兵隊によると、曹長は意識を回復しリハビリに励んでいるという。産経ニュースはその後、曹長の回復や事実誤認については報じていない。
批判を受けて琉球新報は高木支局長に(1)どのように事実確認をしたのか(2)県警に取材しなかったのはなぜか(3)沖縄メディアには取材したのか―の3点を質問した。高木支局長は23日に取材に応じ「当時のしかるべき取材で得た情報に基づいて書いた」と答えた。
海兵隊、投稿を訂正 「誤った情報の結果」
事故は昨年12月1日午前4時50分ごろ、沖縄市知花の沖縄自動車道北向け車線で発生した。最初に左側の車線で追突事故が発生し軽自動車が横転した。追突現場の後方で停車した別の車に曹長の運転する車が接触し、さらに後ろから米軍の貨物車が衝突した。その後、後方から追い越し車線を走ってきた米海兵隊員の運転する乗用車に、路上にいた曹長がはねられた。
米海兵隊第3海兵兵站(たん)群の英語ホームページ記事によると、曹長は接触事故後に現場にいた別の隊員に近づき無事を確認した後「自分の車を動かすよ」と言って離れた直後にはねられたという。
在日米海兵隊のツイッターでは12月、曹長へ回復を祈るメッセージを送る県民の運動について発信する際に「多重事故で横転した車から県民を救出した直後に車にひかれ」と、救助したと断定した書き方をしていた。その後、このツイートは「多重事故で車にひかれ意識不明の重体になった」と訂正された。
海兵隊は取材に対し「事故に関わった人から誤った情報が寄せられた結果(誤りが)起こった」と説明している。
<視点>事実確認を最重視
本紙は12月2日付朝刊で事故の発生と曹長の男性が意識不明の重体で搬送されたことを報じた。インターネットの産経ニュースの報道後「なぜ救助を伝えないのか」という意見が本紙に多く寄せられた。
続報を書かなかった最大の理由は、県警や米海兵隊から救助の事実確認ができなかったからだ。一方で救助していないという断定もできなかった。海兵隊は、現場にいた隊員の証言から「他の車の運転手の状況を確認はしたが救助行為はしていない」と回答したが、曹長が誰かを助けようとしてひかれた可能性は現時点でも否定できない。
曹長自身も接触事故を起こしてはいるが、あくまでも人身事故の被害者であり、一時は意識不明に陥った。救助を否定することでいわれのない不名誉とならないか危惧した。
それでも今回報道に至ったのは、産経新聞が不確かな「救助」情報を前提に、沖縄メディアに対して「これからも無視を続けるようなら、メディア、報道機関を名乗る資格はない。日本人として恥だ」と書いたことが大きい。産経新聞の報道が純粋に曹長をたたえるだけの記事なら、事実誤認があっても曹長個人の名誉に配慮して私たちが記事内容をただすことはなかったかもしれないが、沖縄メディア全体を批判する情報の拡散をこのまま放置すれば読者の信頼を失いかねない。
曹長の回復を願う家族の思いや県民の活動は尊いものだ。しかし、報道機関が報道する際は、当然ながら事実確認が求められる。最初に米軍側が説明を誤った可能性を差し引いても、少なくとも県警に取材せずに書ける内容ではなかったと考える。
産経新聞は、自らの胸に手を当てて「報道機関を名乗る資格があるか」を問うてほしい。(本紙社会部・沖田 有吾)
琉球新報社
〔資料-2〕
「辺野古で逮捕された「大袈裟太郎」容疑者 基地容認派も知る“有名人”だった」
産経新聞(2017.11.10 14:38 )
☆ 記事URL:http://www.sankei.com/affairs/news/171110/afr1711100055-n1.html
沖縄県警が9日、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設への抗議活動中に、公務執行妨害と窃盗の疑いで現行犯逮捕した男(35)は、基地容認派の間でも名が知られた、いわくつきの人物だった。
逮捕容疑は9日午前9時ごろ、移設先に隣接する米軍キャンプ・シュワブのゲート前で、交通整理をしていた県警の30代男性警察官から、合図灯1本を奪い取って職務を妨害したとしている。約20メートル逃走した後、近くにいた警察官らに取り押さえられたという。
東京都出身とされるこの男は「大袈裟太郎(おおげさたろう)」と名乗り、ラッパー、人力車夫、政治活動家などさまざまな顔を持つ。園子温監督がメガホンをとった映画「TOKYO TORIBE」での端役ながら俳優デビューも果たしたとされる。
政治的な活動は、昨年夏の参院選と東京都知事選での左派系候補の支援から始め、沖縄でも全国から集う左翼活動家とともに東村高江でのヘリパット建設に対する抗議活動を展開。辺野古でも基地建設反対の声を上げていた。記者が書いた記事についても「悪意がある」とツイッターに意味不明な投稿をしていた。
「偏向報道」著しい沖縄県紙には「ラップで平和訴え 不条理に言葉で対抗」という見出しの記事で英雄扱いされたこともある。
しかし法を逸脱して傍若無人に振る舞う左翼・反基地活動家にあって、わけても「大袈裟太郎」容疑者の評判は基地容認派の間で散々だった。
「高江を皮切りに辺野古でも暴力の限りを尽くし、その過激さから仲間割れを起こし、善良で穏健な仲間たちの離反を招いた」
「沖縄県民は、こうした外来過激派にずっと翻弄され続けている」
「相手が無抵抗だと罵声を吐いて挑発し揚げ足をとり、いざ検挙となると急に縮み上がって主張を引っ込める小心者。こんな輩が社会を荒らしている」
同容疑者の行状をよく知る農場経営の依田啓示さん(44)=東村=は自身のフェイスブックにこう投稿した。
逮捕の瞬間は「大袈裟太郎」容疑者の仲間がネットで中継したが、「朗報」に接した良識派の県民たちはネット上で「沖縄県警はいい仕事をした」「天誅(てんちゅう)が下った」「沖縄から追放、強制送還すべき」などと声を上げた。
ちなみに「大袈裟太郎」容疑者は名護署の調べに対し「ダンプカーをよけたときに棒が当たりそうになり、とっさに取り上げただけ」と話し、容疑を否認しているという。(那覇支局長 高木桂一)
〔資料-3〕
「産経新聞はやっぱり“ネトウヨまとめ”だった! デマ常習者を情報源に沖縄二紙を攻撃するも県警に否定される醜態」
リテラ(2018.01.30)
☆ 記事URL:http://lite-ra.com/2018/01/post-3768.html
問題が指摘された産経新聞の沖縄報道(「産経ニュース」より)
「デマ製造新聞」「ネトウヨまとめ新聞」と揶揄される産経新聞が、またもインチキ記事を掲載・拡散していたことがわかった。この事実を伝えたのは、本日付の琉球新報だ。
問題となっているのは、昨年12月1日に沖縄市知花の沖縄自動車道で起こった米軍の人身事故にかんするニュース。翌2日に琉球新報は、県警交通機動隊の情報をもとに〈米海兵隊曹長の男性(44)が前方の車と接触事故後、車外に出たところ米海兵隊2等軍曹(28)の乗用車がはねた。曹長の男性は頭蓋底骨折などのけがを負い、意識不明の重体で、本島中部の病院に搬送された〉と報道。沖縄タイムスも同様に伝えている。
だが、同月9日になって、産経ニュースが「【沖縄2紙が報じないニュース】 危険顧みず日本人救出し意識不明の米海兵隊員 元米軍属判決の陰で勇敢な行動スルー」という6ページにもわたる長文の記事を配信し、〈クラッシュした車から日本人を救助した在沖縄の米海兵隊曹長が不運にも後続車にはねられ、意識不明の重体となった〉と報道。日本人を救出した曹長はヘクター・トルヒーヨ氏だとして、トルヒーヨ曹長の妻・マリアさんのFacebookの投稿と、米第三海兵遠征軍の担当官のコメントをその裏付けとしていた。
そして、産経記事では、この「事実」を伝えない琉球新報と沖縄タイムスの2紙をこのように批判したのだ。
〈「米軍=悪」なる思想に凝り固まる沖縄メディアは冷淡を決め込み、その真実に触れようとはしないようだ〉
〈沖縄県のメディアはなぜ、こうも薄情なのだろうか。それでも事故後、この「報道されない真実」がネット上でも日増しに拡散されている。「続報」として伝えることは十分可能だが、目をつぶり続けているのである〉
さらに、新報・タイムスが12月1日に米軍属による女性強姦殺人事件の公判で無期懲役となった件を1面トップで伝えたことを取り上げ、〈被告が「元米軍属」「元海兵隊員」ではなく「日本人」だったら、どうだったろう〉などと言い出し、〈米軍の善行には知らぬ存ぜぬを決め込む〉と非難。以下のようにまくし立てた。
〈「報道しない自由」を盾にこれからも無視を続けるようなら、メディア、報道機関を名乗る資格はない。日本人として恥だ〉
報道機関を名乗る資格はない、日本人の恥──。この記事が配信されるや否や、ネット上では新報・タイムスを批判する投稿が相次ぎ、「偏向報道の実態」として拡散。さらに産経は12月12日に本紙でも「車事故で男性助け…自身は、はねられ重体 日本人救った米兵 沖縄2紙は黙殺」と同様の論調の記事を掲載した。
しかし、この産経が事実として断定的に伝え、沖縄2紙の批判材料にした「トルヒーヨ曹長が日本人を救出した」という話を、当の米海兵隊ならびに沖縄県警が否定。米海兵隊は琉球新報の取材に対して「(曹長は)救助行為はしていない」と回答し、沖縄県警も「救助の事実は確認されていない」としたのだ。
●産経はデマをもとに「報道機関を名乗る資格はない」と沖縄2紙を攻撃
しかも、県警交通機動隊は〈産経新聞は事故後一度も同隊に取材していない〉としている。つまり、沖縄2紙に「報道機関を名乗る資格はない」とまで言い切っていたのに、産経は県警に事実確認の取材さえしていなかったというのだ。
琉球新報によると、産経が嘘の記事で2紙をバッシングして以降、〈本紙にも抗議の電話やメールが多数寄せられた〉という。それでも続報を書かなかったのは、〈県警や米海兵隊から救助の事実確認ができなかった〉〈一方で救助していないという断定もできなかった〉からだ。そして、米海兵隊がその事実を否定していたとしても〈曹長が誰かを助けようとしてひかれた可能性は現時点でも否定できない〉〈救助を否定することで(引用者注:曹長にとって)いわれのない不名誉とならないか危惧した〉という。これは報道機関として真っ当な慎重さだろう。
だが、琉球新報は今回、〈沖縄メディア全体を批判する情報の拡散をこのまま放置すれば読者の信頼を失いかねない〉と判断。記事のなかで、産経にこう呼びかけている。
〈曹長の回復を願う家族の思いや県民の活動は尊いものだ。しかし、報道機関が報道する際は、当然ながら事実確認が求められる。最初に米軍側が説明を誤った可能性を差し引いても、少なくとも県警に取材せずに書ける内容ではなかったと考える。
産経新聞は、自らの胸に手を当てて「報道機関を名乗る資格があるか」を問うてほしい〉
産経が好んで用いる言葉を使うなら、まさしく「大ブーメラン」である。県警取材さえ怠り、しっかり裏付けもとっていない情報を事実として伝えたことはもとより、それを沖縄メディア批判の道具にしたことは卑劣としか言いようがないだろう。
だが、こうした事実を突きつけられてもなお、産経は開き直っている。一連の記事を執筆した産経新聞那覇支局長である高木桂一氏は、琉球新報の取材に対し、こう述べているのだ。
「当時のしかるべき取材で得た情報に基づいて書いた」
この期に及んで、よくもこんな態度でいられるものかと思うが、気になるのは「しかるべき取材」という部分だ。県警にも取材していなかったのに、一体、何を取材したというのか。
じつは、産経が「トルヒーヨ曹長が日本人を救出した」と伝えた昨年12月9日より以前に、これを事実としてネット上に拡散していた人物がいる。それは、これまで数々の沖縄デマの発信源となってきた「ボギーてどこん」こと手登根 安則氏という人物だ。
●産経新聞の情報源は基地反対派のハーフ暴行デマを拡散したあの人物か
手登根氏といえば、2015年に「基地反対派がハーフ女児を暴行した」という八重山日報が報じたデマ記事の発信源となった人物(詳しくは過去記事参照)。先日、南城市長選で落選した古謝景春氏が流した「基地反対派の言動によって海保職員2人が自殺した」というデマを拡散させたり、また、BPOが「重大な放送倫理違反があった」と判断した『ニュース女子』(DHCテレビ)の沖縄デマ回にも証言者として登場。「普天間基地の周辺で見つかった茶封筒」のカラーコピーを見せ、番組は「反対派は日当を貰ってる!?」などと煽った。手登根氏の番組内での証言はあきらかに日当デマを主張するものであり、過去にも日当デマを吹聴してきた事実もあるのだが、手登根氏はBPOの聞き取り調査で「茶封筒の中身は交通費だと思っており、自分は反対派が手当をもらっていると言ったことはない」などと言い訳している。
そして、この手登根氏が、産経が記事にする6日前の12月3日、ツイッター上にこのような投稿をおこなっていた。
〈金曜日に沖縄自動車道で起きた大事故において事故に遭った方を救出中の海兵隊員が後続車にはねられ重体となっています。この勇敢なる彼とご家族のために 一刻も早い回復を願い共に祈って頂けませんか。彼の名前は、Hector Trujillo さんです。〉
この手登根氏の投稿には、病院で治療を受けているトルヒーヨ曹長と思われる男性の写真も付けられている。じつはこの写真は妻マリアさんがFacebookに投稿したものと同一だった。琉球新報の取材で海兵隊は「事故に関わった人から誤った情報が寄せられた結果(誤りが)起こった」と説明しているが、事故後まもないこの時点では情報が錯綜していたのだろう。
だからこそ、琉球新報は裏付けがとれないままでは記事にできないと判断したわけだが、産経の高木那覇支局長は県警に裏取りもせず、家族と米第三海兵遠征軍の担当官の証言だけで事実と断定したのだ。
しかも、高木支局長は、手登根氏のツイートを最初の「元ネタ」にした可能性が高い。というのも、高木支局長は、つい先日も手登根氏と同様に沖縄デマ発信源となっている人物の主張に基づいて記事を書き、配信した"前科"があるからだ。
●沖縄を「偏向報道特区」よばわりした産経・那覇支局長のネトウヨネタ依存
それは昨年11月9日、沖縄の現状を発信してきたヒップホップミュージシャンの大袈裟太郎氏が、米軍キャンプ・シュワブのゲート前で不当逮捕されたときのこと。翌10日に高木支局長は産経ニュースに「辺野古で逮捕された「大袈裟太郎」容疑者 基地容認派も知る"有名人"だった」という署名記事を執筆。問題は、高木支局長が記事でコメントを紹介した人物だ。高木支局長は〈容疑者の行状をよく知る〉人物として依田啓示氏のFacebook投稿から「沖縄県民は、こうした外来過激派にずっと翻弄され続けている」などと紹介している。
しかし、この依田氏もまた沖縄デマの発信源として有名な人物で、『ニュース女子』では「(高江では反対派が)救急車を止めて、現場に急行できない事態が、しばらく、ずーっと続いていたんです」と証言。これをBPOの調査は〈救急車が、抗議活動に参加する人々によって妨害された事実は確認できない〉と結論づけている。
ようするに、高木支局長はこうした沖縄デマ発信源をニュースソースにして沖縄の基地反対派を貶める記事を発信。その上、今回発覚したように、虚偽の情報によって沖縄2紙へのバッシングを垂れ流してきたのだ。全国紙の記者だというのに、そのやり口はネトウヨそのものではないか。
実際、高木記者は那覇支局長に就任してから5カ月目となる昨年10月に出演したネット番組「チャンネル Ajer」で、こんなことを語っている。
「こちら(沖縄)の状況ですね、とくにメディアの状況について、いろいろ目にしてたんですが、まあ、まさにこの5カ月、(沖縄に)来てビックリした。もう、やはりこんなにすごいのかと」
「(前任の長野にも)信濃毎日新聞という手の付けようもない(笑)偏向的な新聞があるんですが、まったく信濃毎日新聞なんてかわいいもんで、ホントちょっとね、これはなんとかしないといけないと私、ひとりでも立ち上がらないといけないと」
「はっきり言ってここ(沖縄)は『偏向報道特区』だと」
「偏向報道特区」などと攻撃していた当の本人が、偏向どころか虚偽のニュースを伝えていた──。まったく呆れてものが言えないが、しかし、これは何も高木支局長ひとりではなく、産経新聞全体の体質の問題だ。
●悪質デマ連発の産経新聞に「新聞社」を名乗る資格なし
本サイトではこれまでも産経がいかにフェイクニュースを垂れ流してきたのかを数々取り上げてきたが、それは2ちゃんねるの書き込みをもとに北朝鮮のミサイル発射のデマを予告したり、森友問題で辻元清美衆院議員にかんするネット上の流言飛語をそのまま記事化したりと枚挙に暇がない上、ひとつひとつの悪質性も全国紙とは思えないものばかりだ。実際、産経の顔とも言うべき政治部編集委員である阿比留瑠比氏は、辻元議員の阪神大震災時のデマを記事にした件や、Facebookに小西洋之参院議員を誹謗中傷する記事を投稿した件の裁判でともに敗訴している。
ところが、このデマ製造新聞を、よりにもよってこの国の総理は贔屓にし、先日も平昌五輪開会式出席について独占インタビューさせたばかり。安倍首相をひたすらもち上げ、安倍首相に批判的なメディアや問題はデマを使ってでも潰そうとする。──これが「社会の公器」がやることなのか。
今回の問題発覚によって、産経がしょせん「ネトウヨまとめ」に過ぎないことがはっきりしたように、もはや産経に「報道機関を名乗る資格」はない。ところが、産経の記事は全国紙の報道としてYahoo!ニュースなどでも取り上げられ、ネット上で真実として拡散されている。この現実こそ、なんとかしなくてはならないだろう。
(編集部)
良くいる分断要員でしたか・・・
この件では忠太さんとも揉めましたが!?(苦笑。)
Kさんも巻き込んでしまいましたが・・・。。
うーん。
彼は、ジャーナリストとして生きようとしている。だったら僕の批判から目を逸らしてはいけない――ブロックするなどとんでもない――と、彼からすれば、とてもお節介なこと考えてました。
「分断要員」かどうかは、不明です。ただ、沖縄県民から祠を荒らすなというのに、靖国を持ち出した人だということで嫌悪感を持つ人がいるでしょう。僕が彼に言いたかったのは、その点です。彼にとっては靖国は神聖なんでしょ? しかし、あの神社、慰霊の施設じゃないという思いを沖縄の人は持っているんじゃないでしょうか。宗教に対して親和的である僕でさえ、あんなもの信仰の対象になり得ないと考えてますもの。信仰の対象になるには、ご神体が必要でしょ。戦没者の名前を書いた紙があるきりですよ。それ、ご神体になり得ますかね。仮になるとしても、紙を破られたら書き直したらいいことなんですよ。他方、祠には再生不能なものを祭ってあるんですから、汚すなということなんです。僕は、そういうことを言っていただけです。
しかし、大袈裟氏は、僕を簡単にブロックしてしまいました。三宅洋平氏がファンから「なぜ、あなたは、安倍昭恵さんと会う気になったのか」と尋ねられて、「君の一票に何の値打ちがあるんだろう。僕にとっては、君はどうでもいい人だ」などと返答している姿を見て、いっぺんに支持してやろうという気持ちが失せました。そのときと同じ疑いが生まれました。つまり、自分が納得できない、あるいは、共感できないからって心を閉ざしブロックする人ってのは、ネトウヨと変わらないのではないかということです。
※ Kさんは、その内また、コメントしてくださるでしょう。
また、私自身、あまりその辺の事情に詳しくないまま、足を突っ込んだのも良くなかったのかもしれません。この変に関してはかなり不勉強です。すみません。
けさたろうさんでなく、たしか、Kたろうさんて方からも、もしかしたらそのうち、コメント来るかもしれませんね笑