Story
父親から引き継いだ司法執行官の職務を好きになれないまま長年続けてきたジャン=クロード(パトリック・シェネ)。50歳を過ぎた今、妻はとうの昔に去り、仕事を継がせるつもりの息子(シリル・クトン)ともぎくしゃくして、うまく接する事ができない。週末ごとに老人ホームにいる父(ジョルジュ・ウィルソン)を訪ねるが、最近ますます気難しく手に負えない。孤独が骨身に染みる毎日だが、職場の窓越しにいつも眺めるだけだったタンゴ教室に意を決して入門。そこで魅力的なフランソワーズ(アンヌ・コンシニ)と出会う…。(goo映画より)
2005年/フランス/ステファヌ・ブリゼ監督作品
以前、このブログで長野ではミニシアター系の映画の上映が少ないという記事を書きましが、嬉しいことに、長野でもミニシアター系映画を上映してくれる映画館を見つけました!その映画館が塩尻市にある『塩尻東座』という映画館です。
ここでは、「FROM EAST上映会」と呼ばれるミニシアター系映画の上映をレイトショーを中心に行っています。最近では「華麗なる恋の舞台で」、「幸福(しあわせ)のスイッチ」などが上映されており、早速、主人と一緒に観てきました♪(^^) 本当なら名古屋まで観に行こうと思っていた作品だったので、長野で観れるというのは助かりますね。
この「愛されるために、ここにいる」で、『塩尻東座』での3度目の鑑賞となります。フランス映画なのでお客さん入っているか、ちょっと心配だったのですが、結構賑わっていたので良かったです。映画が始まる前に、映画館のスタッフの女性が、上映される映画について簡単に説明してくれるので、そういった心づかいも嬉しいですね。
今月は、5月スペシャルとして「クイーン」を上映しています。6月以降は、「ヘンダーソン夫人の贈り物」、「赤い鯨と白い蛇」、「サン・ジャックへの道」、「ツォツィ」などの映画が随時、上映される予定です。長野のミニシアター・ファンの方、また、首都圏で上映終了のため見逃してしまった方など、ぜひ行ってみてください♪
映画館『塩尻東座』ホームページ
FROM EAST
映画館に入ると、かわいいコーギー犬が出迎えてくれますよ
評価 ★★★★★
この映画で特に感心したのは、台詞を最小限に抑えて、ショットの積み重ねとシーンの切り換えで登場人物の心境を現し、リズミカルに物語を紡いでいくところです。
特に印象に残るのは、舞台でのプロのタンゴを観に行くシーン。ジャン=クロードとフランソワーズはちょっと離れた席に座っています。官能的なタンゴの動きをみつめるジャン=クロード、そして、フランソワーズ。二人のアップを交互に映し、やがて二人の視線が絡み合う様をカメラは捉えます。このあたりは、この映画のハイライトとも言えるところで、キスなんかしなくても素敵なラブシーンが作れるという良い見本になっています。
そして場面が切り替って、二人が車に乗っているシーン。実はフランソワーズは舞台が始まる前にもう一人のダンス教室の男に食事に誘われていたのですが、二人の車のシーンに切り替ることで、’彼(ジャン=クロード)を選んだ’という印象を強める効果が得られています。
ジャン=クロードは司法執行官という職務に就いていますが、これは裁判所の決定を当事者に伝えて履行させるという、非常に無機質な仕事として描かれています。彼の私生活もそれと同じで、フランソワーズに婚約者がいた事を知った時の行動は、冷酷で機械的なものでした。しかしそんな彼も、自分を愛していたのに素直に表現できずに死んでいった父の姿を見て、自分を顧みる事ができたのですね。終盤で再び訪れた家賃滞納者のアパートでの彼の一言がキーポイントになります。
間違いに気付いた彼がダンス教室に現れるところが微笑ましかったです。
そこかしこにユーモアを交える演出も良く出来ていて、上質なワインを飲んだような気持ちにさせてくれるフランス映画でした。
評価 ★★★★★
この映画は、フランスで半年を超えるロングランを記録した作品です。
久しぶりに大人が楽しめるフランス映画を観たという感じです。この映画、上映時間は93分と短いですが、かえって無駄なシーンがなく、台詞もシンプルで、観ていてとても心地よかったですね。主人の感想と同じで、熟成された上質なワインを飲んだような気持ちになる映画でした。
50歳を過ぎ、人生にどこか疲れているような中年男ジャン=クロード。仕事、家族ともにうまくいかず、どこか孤独な毎日を送っている主人公が、健康のためにはじめたタンゴ教室で、フランソワーズという魅力的な女性と出会い、新しい人生を歩み出すという物語です。
ジャン=クロードとフランソワーズが踊るタンゴのシーンは、とても官能的でラブシーンを観ているような気持ちにさせてくれます。タンゴって情熱的な踊りというのは知っていたけど、あんなに密着して踊るんですね。踊る相手が、お互いに自分の好みのタイプだったりしたら、好きになってしまうのは仕方の無いことだな、なんて思えてしまいます。
ジャン=クロードとフランソワーズは、どちらも優しくて思いやりのある人間で、家族の前では言いたいことを我慢してしまう、自分の気持ちを抑制するようなタイプです。お互い似たような性格だったから、余計に惹かれ合ったのかもしれないですね。
その他にも、ジャン=クロードと父親、そして息子とのやり取りも切なくて、涙を誘います。父の死後、ジャン=クロードは父から愛されていた事実を知り、また職場の同僚からの働きかけによって、もう1度自分の人生を生き直そうと思い(誰かに愛されて、また愛するような人生を送りたいと思うジャン。)、フランソワーズのいるタンゴ教室に彼が姿を現すラストは感動的でした。
フランソワーズを演じたアンヌ・コンシニは、実年齢が40代と聞いてびっくり。キュートでとても魅力的な女性なので実年齢よりずっと若く見えましたね。この映画がきっかけで、映画出演のオファーが増えて、フランス映画界注目の女優の一人になったそうです。私もこの映画で彼女のファンになってしまったので、これまでの彼女の出演作をぜひ観てみたいと思いました。
映画『愛されるために、ここにいる』公式サイト
(「愛されるために、ここにいる」2007年5月 長野 塩尻東座にて鑑賞)
父親から引き継いだ司法執行官の職務を好きになれないまま長年続けてきたジャン=クロード(パトリック・シェネ)。50歳を過ぎた今、妻はとうの昔に去り、仕事を継がせるつもりの息子(シリル・クトン)ともぎくしゃくして、うまく接する事ができない。週末ごとに老人ホームにいる父(ジョルジュ・ウィルソン)を訪ねるが、最近ますます気難しく手に負えない。孤独が骨身に染みる毎日だが、職場の窓越しにいつも眺めるだけだったタンゴ教室に意を決して入門。そこで魅力的なフランソワーズ(アンヌ・コンシニ)と出会う…。(goo映画より)
2005年/フランス/ステファヌ・ブリゼ監督作品
以前、このブログで長野ではミニシアター系の映画の上映が少ないという記事を書きましが、嬉しいことに、長野でもミニシアター系映画を上映してくれる映画館を見つけました!その映画館が塩尻市にある『塩尻東座』という映画館です。
ここでは、「FROM EAST上映会」と呼ばれるミニシアター系映画の上映をレイトショーを中心に行っています。最近では「華麗なる恋の舞台で」、「幸福(しあわせ)のスイッチ」などが上映されており、早速、主人と一緒に観てきました♪(^^) 本当なら名古屋まで観に行こうと思っていた作品だったので、長野で観れるというのは助かりますね。
この「愛されるために、ここにいる」で、『塩尻東座』での3度目の鑑賞となります。フランス映画なのでお客さん入っているか、ちょっと心配だったのですが、結構賑わっていたので良かったです。映画が始まる前に、映画館のスタッフの女性が、上映される映画について簡単に説明してくれるので、そういった心づかいも嬉しいですね。
今月は、5月スペシャルとして「クイーン」を上映しています。6月以降は、「ヘンダーソン夫人の贈り物」、「赤い鯨と白い蛇」、「サン・ジャックへの道」、「ツォツィ」などの映画が随時、上映される予定です。長野のミニシアター・ファンの方、また、首都圏で上映終了のため見逃してしまった方など、ぜひ行ってみてください♪
映画館『塩尻東座』ホームページ
FROM EAST
映画館に入ると、かわいいコーギー犬が出迎えてくれますよ
評価 ★★★★★
この映画で特に感心したのは、台詞を最小限に抑えて、ショットの積み重ねとシーンの切り換えで登場人物の心境を現し、リズミカルに物語を紡いでいくところです。
特に印象に残るのは、舞台でのプロのタンゴを観に行くシーン。ジャン=クロードとフランソワーズはちょっと離れた席に座っています。官能的なタンゴの動きをみつめるジャン=クロード、そして、フランソワーズ。二人のアップを交互に映し、やがて二人の視線が絡み合う様をカメラは捉えます。このあたりは、この映画のハイライトとも言えるところで、キスなんかしなくても素敵なラブシーンが作れるという良い見本になっています。
そして場面が切り替って、二人が車に乗っているシーン。実はフランソワーズは舞台が始まる前にもう一人のダンス教室の男に食事に誘われていたのですが、二人の車のシーンに切り替ることで、’彼(ジャン=クロード)を選んだ’という印象を強める効果が得られています。
ジャン=クロードは司法執行官という職務に就いていますが、これは裁判所の決定を当事者に伝えて履行させるという、非常に無機質な仕事として描かれています。彼の私生活もそれと同じで、フランソワーズに婚約者がいた事を知った時の行動は、冷酷で機械的なものでした。しかしそんな彼も、自分を愛していたのに素直に表現できずに死んでいった父の姿を見て、自分を顧みる事ができたのですね。終盤で再び訪れた家賃滞納者のアパートでの彼の一言がキーポイントになります。
間違いに気付いた彼がダンス教室に現れるところが微笑ましかったです。
そこかしこにユーモアを交える演出も良く出来ていて、上質なワインを飲んだような気持ちにさせてくれるフランス映画でした。
評価 ★★★★★
この映画は、フランスで半年を超えるロングランを記録した作品です。
久しぶりに大人が楽しめるフランス映画を観たという感じです。この映画、上映時間は93分と短いですが、かえって無駄なシーンがなく、台詞もシンプルで、観ていてとても心地よかったですね。主人の感想と同じで、熟成された上質なワインを飲んだような気持ちになる映画でした。
50歳を過ぎ、人生にどこか疲れているような中年男ジャン=クロード。仕事、家族ともにうまくいかず、どこか孤独な毎日を送っている主人公が、健康のためにはじめたタンゴ教室で、フランソワーズという魅力的な女性と出会い、新しい人生を歩み出すという物語です。
ジャン=クロードとフランソワーズが踊るタンゴのシーンは、とても官能的でラブシーンを観ているような気持ちにさせてくれます。タンゴって情熱的な踊りというのは知っていたけど、あんなに密着して踊るんですね。踊る相手が、お互いに自分の好みのタイプだったりしたら、好きになってしまうのは仕方の無いことだな、なんて思えてしまいます。
ジャン=クロードとフランソワーズは、どちらも優しくて思いやりのある人間で、家族の前では言いたいことを我慢してしまう、自分の気持ちを抑制するようなタイプです。お互い似たような性格だったから、余計に惹かれ合ったのかもしれないですね。
その他にも、ジャン=クロードと父親、そして息子とのやり取りも切なくて、涙を誘います。父の死後、ジャン=クロードは父から愛されていた事実を知り、また職場の同僚からの働きかけによって、もう1度自分の人生を生き直そうと思い(誰かに愛されて、また愛するような人生を送りたいと思うジャン。)、フランソワーズのいるタンゴ教室に彼が姿を現すラストは感動的でした。
フランソワーズを演じたアンヌ・コンシニは、実年齢が40代と聞いてびっくり。キュートでとても魅力的な女性なので実年齢よりずっと若く見えましたね。この映画がきっかけで、映画出演のオファーが増えて、フランス映画界注目の女優の一人になったそうです。私もこの映画で彼女のファンになってしまったので、これまでの彼女の出演作をぜひ観てみたいと思いました。
映画『愛されるために、ここにいる』公式サイト
(「愛されるために、ここにいる」2007年5月 長野 塩尻東座にて鑑賞)
ご夫婦で、映画ブログなんですね。
うちは、映画館には、ほぼ独りで行き、
出不精の妻が好みそうな作品だけ、
誘う形にしてますが、
この作品は、独りで観た次の日に、妻と・・・
2日続けて鑑賞したのですが、
1回目より2回目っていう作品でした。
この映画は珍しく夫と観に行きました。フランス大好き人間の夫ですが、映画は滅多に一緒に行かないですね。途中で寝ちゃってるんじゃないかと気になってましたが、ラスト迄眠らずに観ていたようです。
するどいwancoさんの感想を読んで...
>やがて二人の視線が絡み合う様をカメラは捉えます
なんだか素敵なショットを思い出しました。
nyancoさん、大人な映画は良いですね。
>ジャン=クロードとフランソワーズが踊るタンゴのシーンは、とても官能的でラブシーンを観ているような
同感です!
またまたフランス映画万歳!と叫びたいです。
初めまして!nyancoと申します。
私達は一緒に映画ブログをやっているので、二人一緒に鑑賞することが多いですが、日本映画は主人はあまり好みではなく、私一人で鑑賞することが多いです。^^;
逆にオカルト系などは私がパスして、主人だけが観に行ったりしますネ。。
この作品、MARさんもご夫婦で鑑賞されたのですね。
とても素敵な映画なので、1回目より2回目の方がさらに感想も良くなってくるかもしれませんね。
TBありがとうございました。
早速、遊びに来てくださって嬉しいです!
TB&コメントありがとうございました。
この映画、本当に素敵なフランス映画でした。
ご主人もやっぱり物語に引き込まれたので、ラストまで眠らずに鑑賞されたんでしょうね。(^^)
>するどいwancoさんの感想を読んで...
ありがとうございます♪ margot2005さんのコメントを読んで、主人とても喜んでいました。
レビュー頑張って書いた甲斐があったって言ってますー。^^
>nyancoさん、大人な映画は良いですね
本当に!ジャンとフランソワーズのタンゴのシーンはとても素敵なラブシーンでしたね♪
こういう大人が楽しめる味わい深いフランス映画は大好きです!
どうぞよろしくお願いいたします。
margotさんのところでお見かけして、飛んで来てしまいました。
TBさせていただきました。
>キスなんかしなくても素敵なラブシーンが作れる
>熟成された上質なワインを飲んだような気持ちになる
本当に、おっしゃるとおりですね。
フランスって恋に関して大人なんだなぁ…と、改めてつくづく感心しました。
初めまして!nyancoと申します。
コメント&TBありがとうございました。
私達のレビューに共感して頂いて嬉しいです~。
こちらこそ、どうぞよろしくお願いします。
上質なワインを飲んだような、観終わってとても素敵な余韻にひたれる映画でしたね。
タンゴのシーンがとても官能的で、キスするよりもよっぽどドキドキするラブシーンになっていたと思います。
本当に素晴らしい作品でした♪