
Story
大事な就職の面接を控えた日の朝、大勢の通勤客に混じって満員電車から駅のホームへ吐き出されたところを痴漢に間違われ現行犯逮捕されてしまった金子徹平(加瀬亮)。連行された警察署で容疑を否認すると、そのまま拘留される。その後も一貫して無実を主張するものの、結局は起訴される事に。徹平の無実を信じる母(もたいまさこ)や友人・達雄(山本耕史)の依頼でベテランの荒川(役所広司)、新米の須藤(瀬戸朝香)の二人の弁護士が徹平の弁護を引き受け、いよいよ裁判が始まる…。(goo映画より)
2007年/日本/周防正行監督作品

評価 ★★★★☆
この映画は、周防正行監督の「Shall we ダンス?」以来の11年ぶりの新作です。周防監督によると、この映画は今までの作品と全く違って、この題材なら映画が撮れる、撮りたい、というのではなくて、撮らないわけにはいかない、という使命感があって作られた初めての映画だそうです。
痴漢冤罪事件はニュースや新聞でも多く取り上げられていますが、まさか、日本の裁判制度がこんなにも矛盾だらけで、問題点を抱えているとは、この映画を観て初めて知った方は多いのではないかと思います。
私はこの映画を観る前に、テレビで、実際に痴漢冤罪事件に巻き込まれた夫妻の、無実を勝ち取るまでを描いたドキュメンタリー番組を観ていたので、日本の裁判制度の酷さを知っていました。
予備知識はあったものの、この映画を観て改めて、国家権力の怖さをひしひしと感じましたね。痴漢冤罪事件で逮捕されて、無実を主張し続けても、検察官に起訴されたら最後、99.9%有罪になってしまう。一方、無実でも罪を認めれば、数万程度の罰金を払うだけで、逮捕されたその日のうちに釈放されてしまうのですから、いったい何が正義か?分からなくなります。
加瀬亮は、この本当にツイていない主人公・金子徹平という人物に成りきっていて、まるでドキュメンタリーを観ているように思わせるほど、見事な演技でした。また弁護士、裁判官などの脇を演じる俳優人も、役所広司をはじめ、みなベテラン勢で、こちらも安心して観られましたね。
特に、正名僕蔵演じる大森裁判官(徹平の事件を最初に担当する裁判官です)が印象に残っていて、彼の『十人の真犯人を逃すとも一人の無辜(むこ)を罰するなかれ』といった台詞がとても良かったです。大森裁判官のように、自分の出世のためではなく、きちんと裁判に対して公平に接することは、本当なら当たり前のことなのに、実際はそうでないのが哀しいですね。
女性の立場からいうと、痴漢はあってはならないことですけど、痴漢冤罪もあってはならないことです。もし自分の家族がこのような冤罪事件に巻き込まれたら、この映画のような、ものすごく怖い思いをすることになります。一人でも多くの人がこの映画を観て、日本の裁判制度に疑問を持ってほしいと思いますね。
(「それでもボクはやってない」2007年2月 松本 アイシティシネマにて鑑賞)
大事な就職の面接を控えた日の朝、大勢の通勤客に混じって満員電車から駅のホームへ吐き出されたところを痴漢に間違われ現行犯逮捕されてしまった金子徹平(加瀬亮)。連行された警察署で容疑を否認すると、そのまま拘留される。その後も一貫して無実を主張するものの、結局は起訴される事に。徹平の無実を信じる母(もたいまさこ)や友人・達雄(山本耕史)の依頼でベテランの荒川(役所広司)、新米の須藤(瀬戸朝香)の二人の弁護士が徹平の弁護を引き受け、いよいよ裁判が始まる…。(goo映画より)
2007年/日本/周防正行監督作品

評価 ★★★★☆
この映画は、周防正行監督の「Shall we ダンス?」以来の11年ぶりの新作です。周防監督によると、この映画は今までの作品と全く違って、この題材なら映画が撮れる、撮りたい、というのではなくて、撮らないわけにはいかない、という使命感があって作られた初めての映画だそうです。
痴漢冤罪事件はニュースや新聞でも多く取り上げられていますが、まさか、日本の裁判制度がこんなにも矛盾だらけで、問題点を抱えているとは、この映画を観て初めて知った方は多いのではないかと思います。
私はこの映画を観る前に、テレビで、実際に痴漢冤罪事件に巻き込まれた夫妻の、無実を勝ち取るまでを描いたドキュメンタリー番組を観ていたので、日本の裁判制度の酷さを知っていました。
予備知識はあったものの、この映画を観て改めて、国家権力の怖さをひしひしと感じましたね。痴漢冤罪事件で逮捕されて、無実を主張し続けても、検察官に起訴されたら最後、99.9%有罪になってしまう。一方、無実でも罪を認めれば、数万程度の罰金を払うだけで、逮捕されたその日のうちに釈放されてしまうのですから、いったい何が正義か?分からなくなります。
加瀬亮は、この本当にツイていない主人公・金子徹平という人物に成りきっていて、まるでドキュメンタリーを観ているように思わせるほど、見事な演技でした。また弁護士、裁判官などの脇を演じる俳優人も、役所広司をはじめ、みなベテラン勢で、こちらも安心して観られましたね。
特に、正名僕蔵演じる大森裁判官(徹平の事件を最初に担当する裁判官です)が印象に残っていて、彼の『十人の真犯人を逃すとも一人の無辜(むこ)を罰するなかれ』といった台詞がとても良かったです。大森裁判官のように、自分の出世のためではなく、きちんと裁判に対して公平に接することは、本当なら当たり前のことなのに、実際はそうでないのが哀しいですね。
女性の立場からいうと、痴漢はあってはならないことですけど、痴漢冤罪もあってはならないことです。もし自分の家族がこのような冤罪事件に巻き込まれたら、この映画のような、ものすごく怖い思いをすることになります。一人でも多くの人がこの映画を観て、日本の裁判制度に疑問を持ってほしいと思いますね。
(「それでもボクはやってない」2007年2月 松本 アイシティシネマにて鑑賞)
コメント&TBありがとうございました。
旅行に行っていたのでお返事遅くなりました。。
私も「十人の真犯人を逃すとも・・」の大森裁判官の台詞がとても心に響きました。彼のような裁判官ばかりなら良かったのですが、現実はそうでないのが哀しいです。
本当に周防監督の綿密な取材の結果が、映画なのにとてもリアルな作品に仕上がって、裁判制度について考えさせられるきっかけになりましたね。
それぞれのレビューに二人で感想を書いているということもあって、更新が少し遅いこともありますが、^^; 良かったらまたぜひ遊びにきてくださいね。
こちらこそ、宜しくお願いします。
下手なホラー映画よりもぞっとする映画でした。日本の裁判制度が被疑者の立場ではなく国家権力の立場に立っていることをイヤというほど分からせてくれます。
「十人の真犯人を逃すとも一人の無辜(むこ)を罰するなかれ」という原則を建前だけにしてはいけないと痛感させられました。
2年間かけて綿密に取材してきた結果が素晴らしい作品として結実したことに感激しました。
nyancoさんとwancoさんがそれぞれにレビューを書くという構成がとても素敵ですね。これからもよろしくお願いいたします。
nyancoと申します。
こちらこそTB&コメントありがとうございます。
私たち夫婦どちらも大の映画好きなので、一緒に映画ブログを始めることにしました。^^
よろしかったら、これからもぜひ遊びに来てください。
どうぞ宜しくお願いします。
コメ&トラバ、アリガトです。
夫婦でリレー形式のブログなんて、
素敵ですね。
これからも、宜しくです。