夫婦でシネマ

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ママの遺したラヴソング

2007年05月08日 | ま行の映画
Story
フロリダで怠惰な生活を送るパーシー(スカーレット・ヨハンソン)に、長年会っていなかった母の訃報が届く。ニューオーリンズの生家に帰ったパーシーを待っていたのは、見知らぬ二人の男。元文学部教授のボビー・ロング(ジョン・トラヴォルタ)と彼を慕う作家志望の青年ローソン(ゲイブリエル・マック)。古ぼけた一軒家で、嫌々ながらの同居生活が始まる。新しい生活、文学との出会い、初恋、そして初めて聞く亡き母の横顔。ささくれだっていたパーシーの心は、いつか少しづつ癒されていく。そしてある日、母が自分に宛てた一通の手紙を発見する。(goo映画より)
2004年/アメリカ/シェイニー・ゲイベル監督作品





評価 ★★★★

この映画の監督・脚本を手掛けたシェイニー・ゲイベル(女性です)は、本作が初監督作品になります。

透き通るような青空と一面の花畑、ニューオリンズの町並みの映像がとても美しく、まるで絵葉書を見ているような錯覚をおぼえます。そんな美しい映像とは対照的に、人生に疲れ果て、くたびれた感じの主人公たち。美しい町で怠惰な生活を送る主人公たちは、余計物悲しさを感じさせました。

ジョン・トラヴォルタ演じる元文学部教授のボビー・ロングは、過去に傷ついた経験から生きる希望を失い、今では酒に溺れる怠惰な生活を送っています。でも時折、人生を文学作品からの引用でなぞらえたりして、元文学部教授らしい一面をのぞかせたりしていました。「幸福とは長さの不足を高さであがなうもの ーロバート・フロスト」「100年生きるつもりで働き、明日死ぬがごとく祈れ ーベンジャミン・フランクリン」などの台詞にはグッときましたね。有名な文学作品ではなく、ちょっとマニアックな文学作品からの引用が多かったことに、監督の深いこだわりが感じられて良かったです。元教授役というのがジョン・トラヴォルタの雰囲気に合わない気がしたのですが、彼のいつもと違う役柄を精一杯演じている姿には好感が持てました。

ボビーの良き理解者であり、親友でもある作家志望の青年ローソンの描き方も良かった。ボビーを慕う反面、彼の高圧的な態度に少々うんざりしているといった感じのローソンを、ゲイブリエル・マックが好演しています。
そして、スカーレット・ヨハンソンは、生意気で孤独な感じのするパーシーの役柄にぴったりで、彼女以外のキャスティングは考えられないくらい熱演していましたね。それもそのはず、ヨハンソンは、脚本の段階から監督と何度もミーティングを行い、本作の出演を待ち望んだそうです。この映画で、ヨハンソンはゴールデングローブ賞主演女優賞にノミネートされています。

私の一番好きなシーンは、ボビーがギター片手に仲間たちと酒を飲みながら語り合うところです。南部らしい陽気な仲間たちの楽しそうな笑い声。亡くなったパーシーの母ロレーンを偲んでボビーが歌う「Barbara Allen」という音楽(さすがトラヴォルタ!歌めちゃ上手いです。)。美しい夕焼けの空と花々に囲まれながら、皆が集い陽気に語り合う様子は、パーシーでなくとも癒されるような気がします。ボビーは教授として出世する人生は送れなかったけど、彼を本気で心配してくれる家族のような仲間たちがいることの方が、本当は人生にとって大切なことではないかと思いました。

ただ一つ残念だったのが、パーシーの母ロレーンの描き方が少し弱かったですね。形見の品々から生前の亡き母を思わせる演出はとても上手いのですが、肝心のロレーンがどんな女性だったか、そのことについてはあまり触れていない。ロレーンの死がきっかけで、ボビーとローソン、パーシーの3人が出会うことになるので、もう少し彼女についても描いてほしかったような気がします。

ラスト、パーシーが母の形見の手紙から自分の出生の秘密を知ることになりますが、そこはお約束な感じがして、あまり驚きはありませんでした。でも、その後のボビーとパーシーのやり取りは、やはり感動的なシーンで涙を誘います。二人のダンスを踊るシーンは、今までの想いを集約する形となっていて、泣けましたね。エンディング・ロールで流れる「ボビー・ロングに捧げるラヴソング」がまたとても良い曲で(詩がとても良い!)、この映画に味わい深い余韻を残しました。





評価 ★★★☆☆

”カトリックの高校でバロウズなんか教えるかっ!” (トラヴォルタがヨハンソンに言うセリフ)「ラブソングができるまで」はポップスネタ満載でしたが、こっちの映画は文学ネタ満載でした。おなじラブソングでもこの映画はシリアス路線でしたね。
トラヴォルタのくたびれた感じ。小屋の前で皆が集って飲んで語り合うところ。けだるげな町並み。などなど、ニューオーリンズっぽい雰囲気がとても良かった。
この映画のスカーレット・ヨハンソンは不機嫌なシーンが多いけど可愛かったです。最初は、満たされない心をごまかすためか、やたら食べている所が多かったけど、後半になって自分の進む道が明確になってくるとやけ食いをやめるのが面白い。
冒頭でトラヴォルタが街を歩くのを延々と映しますが、最後はヨハンソンが同じ構図で街を歩くシーンで終わります。亡き父と母の想いを引き継いだ彼女が頼もしく感じられるラストでした。


映画『ママの遺したラヴソング』公式サイト


(「ママの遺したラヴソング」2007年4月 名古屋 伏見ミリオン座にて鑑賞)

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