夫婦でシネマ

夫婦で見た映画と、個別に見た映画について感想をかいてます。全て映画館で見た映画で、ミニシアター系の映画をたくさん紹介!

砂時計

2008年05月08日 | さ行の映画
Story
両親が離婚し、母(戸田菜穂)の故郷である島根にやって来た14歳の杏(夏帆)。東京育ちの杏に、田舎の生活は不慣れなものであったが、口では厳しいことを言うが心根は優しい祖母(藤村志保)や近所に住む同級生の大悟(池松壮亮)に支えられ、次第に村に溶け込んでいく。しかし、離婚後、祖母からの叱咤激励の言葉に追い詰められた母は、杏を置いて自殺してしまう。母の死を止められなかった自責の念と孤独に苛まれる杏に大悟は、「俺がずっと一緒におっちゃる」と約束する(goo映画より)
2008年/日本/佐藤信介監督作品





評価 ★★★☆☆

原作は芦原妃名子の同名コミックを映画化。14歳の杏を夏帆ちゃんが好演!

原作のコミックが8巻くらいある内容なので、やはり映画で2時間の尺に収めるのは少々無理があるように思いました。そのせいか、展開がとても早いので、ダイジェスト版を観ているような印象があったかな。私は原作のコミックを読んだのですが、随所で大事なエピソードがかなり削られていましたね。

また、この映画の予告編だけを観ると、原作の内容を知らない方は、男女の青春恋愛ものを描いた映画かと勘違いするのではないかと思います。実際は、主人公の心の闇をメインに描いた作品なので、予告編のイメージとは違う非常に暗い内容の映画になっています。

ただ、主人公の心の闇という主軸があって、物語が進行しても常にそれからブレないで描かれていたため、展開が早くても充分、共感できる内容になっていました。特に、主人公の少女時代を演じた夏帆ちゃんが、一見普通の女子学生なんだけど、どこか不安定で脆さのある杏という役柄を好演していたと思います。

夏帆ちゃんがとても良かっただけに、杏の大人時代を松下奈緒さんが演じていたのは、ちょっと違和感がありました。二人の雰囲気が全然似ていないということもあるんですが、私のなかで松下奈緒さんは芯のしっかりしたイメージがあるので、杏が大人になったら急にキャラが変わって強くなった感じがしたなぁ。。

それにしても、この映画を観て思ったことは、身内が自殺で亡くなった場合、その残された家族は、その後の人生を生きていくのが本当に辛く大変なものだということです。特に、杏のように幼い時に母親を亡くしてしまったら、心にぽっかり穴が空いたような状態で、本当なら楽しいはずの学生時代を過ごさないといけない。これは、想像以上にかなりキツイと思います。でも、杏には幼馴染みの大悟がいつも彼女の側にいてくれたので、杏にとって大悟が自然と心の支えになっていたのが分かるような気がしますね。

この映画のタイトルでもある「砂時計」が、映画のモチーフとして上手く使われていました。主人公は砂時計の砂のように少しずつ時間を重ねて成長していった、という映画の雰囲気にぴったりのモチーフでした。この映画に登場する仁摩サンドスタジアムの巨大な砂時計は、とても美しくて見ていて圧倒されましたね。


映画『砂時計』公式サイト


(「砂時計」2008年5月 松本市 松本エンギザにて鑑賞)

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4 コメント

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TB&コメント、ありがとうございました♪ (テクテク)
2008-05-08 20:02:46
こんにちは
nyancoさんは、原作を読まれたのですね
やはり、長い原作を2時間程度に収めるには、
かなり的を絞らないとキビしいかも…

それでも、原作を知らない私には、
よくまとまった映画に感じられました

実は、私が小学5年生の時、
友達のお母さんが自殺してしまった事がありました
私の友達は、とても優秀な子で、
学級委員を務めたりするような明るい人気者でしたが、
お母さんの死後、中学生になっても、
以前と変わらず明るく優秀な生徒だった彼女は、
中日ブルーバード賞という賞を個人で受賞しました

当時は、彼女の事を「凄いなぁ偉いなぁ」と
単純に尊敬の眼差しで見ていましたが、
今思えば、まだ子供でありながらも、
心の奥底にある深い傷や悲しみを周囲に悟られないよう、
彼女は自分を奮い立たせて頑張っていたのかもしれません

当時の彼女の心の支えが何だったのかは分かりませんが、
やはり現実と向き合い、卑屈にならず明るくあり続けた姿が、
大人たちの心を動かし、彼女自身に賞を与えたのでしょうね

nyancoさんの感想を読んでいたら、
25年以上も前の、こんな事を思い出してしまいました
返信する
こんにちは♪ (nyanco)
2008-05-10 16:24:17
テクテクさん、こんにちは♪
こちらこそ、コメント&TBありがとうございました~。
私はもともと原作のファンだったのですが、この映画も期待を裏切らない、心に訴えかけてくるような作品でした。

テクテクさんの身近で、映画と同じような境遇のお友達がいらっしゃたのですね。。
以前と変わらずに、明るく優秀であり続けたなんて、その彼女は本当にすごいと思います。。
普通だったら、そんな幼い時に哀しい経験をされたのなら、無理に頑張らなくてもいいのではないか、と思ってしまいますが、、おそらく、その彼女は自分を奮い立たせることで、前に進むことが出来たのかもしれないですね。。
でも、その時のお友達の胸中は、察して余りあるものがあります。。
その方が現在、幸せな人生を歩んでらっしゃるといいですね。

せつない映画だけに、色々と考えさせられる映画でした。
ラストがハッピーエンドだったのが、未来に希望が持てる終わり方で良かったと思います。
返信する
TBありがとうございました (シムウナ)
2008-11-11 22:50:29
TB有難うございました。
予告編で流れている、いきものがかり
「帰りたくなったよ」の曲に誘われて劇場に
足を運びました。
今年発売のシングルCDでは一番好きな
曲になりました。
映画も3回鑑賞してしまい・・・
恋愛の最高の形は初恋が成就すること(持論)
この映画を見て、人が人を想うことの
難しさを痛感しました。
松下奈緒さんは非常に美しく、
夏帆ちゃんはかわいい。
二人とも杏の繊細な心理描写を見事に演じていたと思います。
自分の中の恋愛映画ベスト1になりました(笑)
周りの評価は低いのですが・・・
ツイン・エディションを購入しました。
20分追加シーンのエクステンデッド版は
大人の杏のシーンが大幅に追加に
なっています。

今度、訪れた際には、
【評価ポイント】~と
ブログの記事の最後に、☆5つがあり
クリックすることで5段階評価ができます。
もし、見た映画があったらぽちっとお願いします!!
返信する
コメントありがとうございました。 (nyanco)
2008-11-17 21:59:29
シムウナさん、大変遅くなりましたが、コメントとTB、ありがとうございました。
いきものがかりの「帰りたくなったよ」、本当にとても良い曲ですよね。
この映画の雰囲気にぴったりの切なくなるような素敵な曲でした。
松下奈緒さんは、個人的に好きな女優さんなのですが、今作では好演していた夏帆ちゃんに比べると、ちょっと見劣りしてしまった感があり、なんだか残念です。
★3つと作品の評価は低くなってしまいましたが、なかなか考えさせられる奥の深い作品に仕上がっていたと思います。
返信する

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