Story
19世紀フランス。戦地から故郷に戻った青年、エルヴェ(マイケル・ピット)は、製糸業を営むヴァルダヴュー(アルフレッド・モリーナ)から、蚕卵を入手するためアフリカ行きを依頼される。危険な旅を経て、蚕卵を持ち帰ると、それで得た富で美しい女性、エレーヌ(キーラ・ナイトレイ)と結婚。自らも製糸工場を経営し、結婚生活は順風満帆であった。しかし、アフリカの蚕が病気にやられ、新婚のエルヴェに再び買い付けの依頼が。しかも、行く先はアフリカより遥かに遠い日本だった…。(goo映画より)
2007年/日本=カナダ=イタリア/フランソワ・ジラール監督作品
評価 ★★★★☆
監督は、『レッド・バイオリン』のフランソワ・ジラール。
全編まるでシルクの肌触りのように物語は静かなとらえどころのないタッチで進みます。
19世紀後半にヨーロッパの芸術界で起こったジャポニズムブーム。少女の幻影を追い求める青年の姿に神秘の国、日本への憧憬をだぶらせて描いた映画です。
女性の内面を理解しようとしない男の浅はかさを示すのか、フランスでは百合の花びらで、日本では布で目隠しをされるエルヴェ。実際、フランスで結婚した女性エレーヌは、戦地から帰って来たばかりのエルヴェが訳も分からず恋してしまったみたいです。そして彼が思いを寄せる日本の少女は、一度も言葉を交わすこともなく、まるで幻のように描かれています。自分が幻影を追っているということも、それに気づいた妻が苦悩していることも、目隠しされた男には気づかないんですね、これが。
日本の少女からエルヴェに宛てて、別れの手紙が届きます。ラストで手紙の真相が明らかになり、日本の少女はまるでエレーヌのドッペルゲンガーであったかのように我々に提示されます。
同時に、孵化してしまった蚕の卵が象徴するように、スエズ運河の開通で神秘の国でなくなってしまった日本。
エレーヌの愛という目の前にあるものに気づかない男が彷徨の末に真実に辿り着いたが、すべては幻のように去ってしまっていた。という物語でした。
評価 ★★★☆☆
役所広司、中谷美紀、國村隼、そして、新人の芦名星と、日本人役者が多数参加!
この映画にとても好評価のwancoに対して、正直、私はそこまで面白いとは思えなくて、少し辛口の見方になってしまいました。というのは、主人公エルヴェを演じたマイケル・ピットがいまいち地味で影が薄いせいか、彼に共感することができず、なかなか物語に入り込めなかったです。
原作のイメージにぴったりで、監督からもその演技が絶賛された彼ですが、全編にわたって、表情に感情の起伏が乏しく、主人公の苦悩とか、恋する切なさみたいなものが伝わってこなかった。そのせいか、彼に感情移入するのが難しかったです。
また、物静かなタッチで物語が進むのはいいにしても、見せ場と思われるところでも全然盛り上がらないために、なんだか拍子抜けの印象を受けてしまいました。せっかく映像はとても美しいのに、肝心のドラマの部分が弱かったのは残念でしたね。
一方で、そのエルヴェの妻を演じたキーラ・ナイトレイは良かったです。出番は主人公に比べると圧倒的に少ないのに、とても存在感があって、夫が他の女性に心奪われた妻の苦悩を、物静かな演技のなかで充分に見せてくれました。キーラはたくさんの映画に出演していますが、このような文芸作品からハリウッドのおバカ映画まで、幅広くこなせる貴重な女優さんだと思います。おまけに、大スターなのに脱ぎっぷりが良いのも凄い!演出は控えめでしたが、今作でも惜しみなくヌードを披露してくれました。^^;
また、エルヴェが恋する日本人女性を演じた芦名星さんもなかなか良かった。今作では、まったく内面については描かれず、お人形さんみたいな役どころでしたが、謎めいた神秘的な女性の雰囲気にぴったりでしたね。キーラが「洋」の美しさなら、芦名は「和」の美しさという感じで、両者の対照的な美しさは、女性から見てもうっとりして楽しめました。
この映画のユーザーレビューを見て、面白いなと思ったのは、男性と女性でこの映画の見方が違ったこと。男性は、けっこう好評価なのに対し、女性は辛口な意見が多かったですね。やっぱり、男性は女性よりもロマンチストなので、エルヴェのように幻想を追い求めた男性の気持ちに共感できるのでしょう。女性は現実的なので、いくら映像的には美しく描かれていても、物語が面白くないと辛口の意見になるのでしょうね。
映画『シルク』公式サイト
(「シルク」2008年1月 長野グランドシネマズにて鑑賞)
19世紀フランス。戦地から故郷に戻った青年、エルヴェ(マイケル・ピット)は、製糸業を営むヴァルダヴュー(アルフレッド・モリーナ)から、蚕卵を入手するためアフリカ行きを依頼される。危険な旅を経て、蚕卵を持ち帰ると、それで得た富で美しい女性、エレーヌ(キーラ・ナイトレイ)と結婚。自らも製糸工場を経営し、結婚生活は順風満帆であった。しかし、アフリカの蚕が病気にやられ、新婚のエルヴェに再び買い付けの依頼が。しかも、行く先はアフリカより遥かに遠い日本だった…。(goo映画より)
2007年/日本=カナダ=イタリア/フランソワ・ジラール監督作品
評価 ★★★★☆
監督は、『レッド・バイオリン』のフランソワ・ジラール。
全編まるでシルクの肌触りのように物語は静かなとらえどころのないタッチで進みます。
19世紀後半にヨーロッパの芸術界で起こったジャポニズムブーム。少女の幻影を追い求める青年の姿に神秘の国、日本への憧憬をだぶらせて描いた映画です。
女性の内面を理解しようとしない男の浅はかさを示すのか、フランスでは百合の花びらで、日本では布で目隠しをされるエルヴェ。実際、フランスで結婚した女性エレーヌは、戦地から帰って来たばかりのエルヴェが訳も分からず恋してしまったみたいです。そして彼が思いを寄せる日本の少女は、一度も言葉を交わすこともなく、まるで幻のように描かれています。自分が幻影を追っているということも、それに気づいた妻が苦悩していることも、目隠しされた男には気づかないんですね、これが。
日本の少女からエルヴェに宛てて、別れの手紙が届きます。ラストで手紙の真相が明らかになり、日本の少女はまるでエレーヌのドッペルゲンガーであったかのように我々に提示されます。
同時に、孵化してしまった蚕の卵が象徴するように、スエズ運河の開通で神秘の国でなくなってしまった日本。
エレーヌの愛という目の前にあるものに気づかない男が彷徨の末に真実に辿り着いたが、すべては幻のように去ってしまっていた。という物語でした。
評価 ★★★☆☆
役所広司、中谷美紀、國村隼、そして、新人の芦名星と、日本人役者が多数参加!
この映画にとても好評価のwancoに対して、正直、私はそこまで面白いとは思えなくて、少し辛口の見方になってしまいました。というのは、主人公エルヴェを演じたマイケル・ピットがいまいち地味で影が薄いせいか、彼に共感することができず、なかなか物語に入り込めなかったです。
原作のイメージにぴったりで、監督からもその演技が絶賛された彼ですが、全編にわたって、表情に感情の起伏が乏しく、主人公の苦悩とか、恋する切なさみたいなものが伝わってこなかった。そのせいか、彼に感情移入するのが難しかったです。
また、物静かなタッチで物語が進むのはいいにしても、見せ場と思われるところでも全然盛り上がらないために、なんだか拍子抜けの印象を受けてしまいました。せっかく映像はとても美しいのに、肝心のドラマの部分が弱かったのは残念でしたね。
一方で、そのエルヴェの妻を演じたキーラ・ナイトレイは良かったです。出番は主人公に比べると圧倒的に少ないのに、とても存在感があって、夫が他の女性に心奪われた妻の苦悩を、物静かな演技のなかで充分に見せてくれました。キーラはたくさんの映画に出演していますが、このような文芸作品からハリウッドのおバカ映画まで、幅広くこなせる貴重な女優さんだと思います。おまけに、大スターなのに脱ぎっぷりが良いのも凄い!演出は控えめでしたが、今作でも惜しみなくヌードを披露してくれました。^^;
また、エルヴェが恋する日本人女性を演じた芦名星さんもなかなか良かった。今作では、まったく内面については描かれず、お人形さんみたいな役どころでしたが、謎めいた神秘的な女性の雰囲気にぴったりでしたね。キーラが「洋」の美しさなら、芦名は「和」の美しさという感じで、両者の対照的な美しさは、女性から見てもうっとりして楽しめました。
この映画のユーザーレビューを見て、面白いなと思ったのは、男性と女性でこの映画の見方が違ったこと。男性は、けっこう好評価なのに対し、女性は辛口な意見が多かったですね。やっぱり、男性は女性よりもロマンチストなので、エルヴェのように幻想を追い求めた男性の気持ちに共感できるのでしょう。女性は現実的なので、いくら映像的には美しく描かれていても、物語が面白くないと辛口の意見になるのでしょうね。
映画『シルク』公式サイト
(「シルク」2008年1月 長野グランドシネマズにて鑑賞)
nyancoさんのキーラに関する記載内容が、怖いくらい私の記載内容とかぶってて面白かったです。
なんとなく男性はロマンチストだけど論理的ゆえ、明確なストーリーを好み、女性はリアリストだけど感情的ゆえストーリーより雰囲気を重視するのでは・・・と、おそろしく偏見のかたまりのような考えを持っていましたが(「ゆれる」とか「かもめ食堂」とかそういう偏った目で見るととても女性臭いんだもん)、でもそんな考えを根底から覆す様な意見が面白いですね。
この映画については、男側から男に都合良くそれでいてロマンチックに展開するから男ウケがいいのかもしれません。キーラが脱ぐのも男的にポイント高いです(一部で貧乳とかバカにされてますが、負けるなキーラ)
はい私もwancoさん同様「シルク」肯定派であります。
ではまた
私もしんさんのレビューを早速読ませて頂いたのですが(面白かったです!)なるほど、本当にキーラに関する記述がよく似ていますね~。
同じ意見の方がいて嬉しいです。(^^)
私はこのレビューを書く前に、他のブロガーさんたちがどういう評価をしているのかが気になって色々読んでみたところ、男性がわりと好評価な意見が多いのに対して、女性は圧倒的に辛口な意見の方が多かったんです。
それで面白いなと思って、そのことをレビューに書いてみたのですが、実際に映画を観終わった時の感想も、主人と私で同じく、男性派と女性派の意見に分かれましたね。(面白い、面白くない、でちょっとケンカになったくらいです。。 ^^; )
でも、しんさんの男性と女性に対する映画の見方もとても面白いと思いました!
私の意見に限らず、そういった場合もあると思います。
私も明確なストーリーよりもその映画の雰囲気が好きで、好評価になってしまう場合もあるので。
確かに、この映画は男性側から都合良く展開されているかもしれませんね。
女性は、特に恋愛映画の場合だと、まず主役の男性が格好良くないと物語にハマれないし、それに恋愛の結末も、男性よりもハッキリと白黒つけた展開を好むような気がします。
一つの映画でこれだけ色々な見方が出来るってすごいですね♪
そういう意味では、なんだか「シルク」ってすごい映画のような気がしてきました。
私もnyancoさんと同じような感想を持ちました。
主人公のエルヴェの表情が乏しく、何を考えているのかが伝わり難かったです。
映像と音楽は素晴らしかったので、ちょっと勿体ないなぁ~と思いました。
遅くなりましたが、コメントとTBありがとうございました!
ちょっとエルヴェの表情が乏しかったですよね。。
もう少し恋愛感情の高まりみたいなものを表現してほしかったように思います。。
坂本龍一の音楽や映像は本当に素晴らしかっただけに、ちょっと残念でしたね~。。
男性女性、感じ方の相違についての分析、
興味深く読ませて頂きました。
いやもぉ~これは、気になり出したら てんでダメでした。
どんな素晴らしい映画でも、やはり主役が命。
監督は原作のイメージに近いと絶賛されていた様ですが、
主役のマイケル君の演技からは
残念ながらその心情が伝わってこなかったです。
でもnyancoさんの仰るように、一つの映画で
これだけ沢山の見解があるって、ある意味すごいのかも(笑)
それに日本人俳優が世界の舞台で活躍している姿を観るのは嬉しいですね。
キーラの次回作に期待したいと思います。
こちらにもコメントありがとうございます♪
私もこの映画、期待しすぎてしまったせいか、余計に見方が辛口になってしまいました。。
やっぱり描き方に問題があるのかな?どのシーンもさらっと描きすぎているせいか、感情移入しづらいんですよね。。
特に主役のマイケル・ピットが私もダメでした~。。
他の主役だったら、もう少し見方が変わっていたかもしれません!
本当に主役が命ですよね。。 ^^;
でも、男性陣からこの映画が好評価なのが意外でした~。。
1つの映画でこれだけ意見の相違があると、逆にレビューの書きがいのある作品なのかもしれないですね。
本当に、日本人俳優がたくさん出演していたのは嬉しかったです!
もうすぐキーラの「つぐない」が公開されますよね。
監督は「プライドと偏見」の人なので、この映画けっこう楽しみです♪
男性ですが、奥様に一票!(笑)
nyancoに一票、ありがとうございます。(笑)
意見が分かれるのが、この映画の良い所でもありますね。