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奥様は海外添乗員〜メモリアル

空港での珍事


「あ~、バッグが落ちた~」呑気な声に思わず振り返ると、今まさに私たちのグループのものと思われるスーツケースを載せた貨車がモスクワ行きの飛行機向けて走って行く。日本人特有のハードケースを満載してるから明らかに私たちの荷物だ。他にグループは見当たらなかったし…

が、しか~し、貨車から落ちた荷物がひとつ、駐機場の真ん中にぽつねんと取り残されている。ドライバーも、他の空港職員も全く気づかないとみえ、車は走り去った。

「……!」遠くて判別は着かないけど、確かあんな色形のバッグがあった。今朝ホテルの出発時、そしてつい今しがたカウンターで見た記憶がある。たとえ30個荷物があっても結構覚えてるもんだよ…

この時ほど自分が今こうしてここにいることをうらめしく思ったことはない…ああ、悲しいかな私は添乗員。今この状態を見てみぬフリはできない。ああでもここはロシアの地!゛ひょっとしたらこの私はテロ犯と間違えられて捕まるかも!えぇ~~~~私もう日本に帰れないかも?イタリアやスペインならいいけど?ロシアじゃやだなぁ~!゛

とまあ、色んな思いが一瞬のうちに脳裏を掠めたけど、結局は使命感に燃えた?意を決して、出発直前のバス(サンクトペテルブルグの国内線ターミナルは全て飛行機までバスで移動)を飛び降り、怪訝そうな空港職員に事情を説明した。でも彼女は゛わかった、わかった゛と、空返事。ダメだ…話にならん!

あ~でも、さすがに荷物まで走り寄る勇気はなかったので、今度は飛行機のタラップで最終確認してるアエロフロートの職員に事情説明。ようやく自体を理解したらしい…

そして風吹き荒むタラップの下を頑として動かなかった私の元にあの、取り残された荷物が届いた。やっぱり…私たちのグループの荷札が付いてる。よかった~~~~~

かくして無事機上の人となったこの私。あ~逮捕されなくてよかった♪


オリーブの葉っぱ

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