奥様は海外添乗員〜メモリアル

ナイルの最果てアブシンベル

    

四大河文明のひとつであるエジプト文明、その奥の広さはこの国を訪れてはじめてわかる。5,000年に渡る歴史の中で生み出された遺産の数々には圧倒されるばかり。時代の中で次々現れるファラオと太陽神を頂点とするたくさんの神々、彼らを象り描いた神殿や葬祭殿は数え切れない。そんなものをひとつひとつ観ていくと何日あってもエジプトを去ることはできないだろう。

エジプトと言わず人類の至宝とも呼べる世界遺産が山ほどの国ではあるけど、何度来ても私が個人的に一番感動するのはアブシンベル。エジプト最南、スーダンとの国境にもほど近い場所に時のファラオ、ラムセス二世によって造られた大小ふたつの神殿がここにある。その外観にまず圧倒されるけど、特筆すべきは大神殿内部に設けられた至聖所。年に二回、ラムセス王の誕生日と戴冠式の日に朝日が狭い入口から差し込み、一番奥にある座像のうちまずは最高神ラー神(太陽神)を、次にラムセス王、さらに空の神ハラクティ神を照らすという構造。3,000年も昔に砂漠の民がこれだけの知識と技術を持っていたことは何よりの驚きだし感動的。そしてもちろんこれだけのものを造らせたファラオの権力には唖然とするばかり。

でも実は、この神殿が見る者に感動を与える有名な美談が別にある。エジプト王国なき後20世紀に至るまで砂に埋もれていたこの神殿は、近代エジプトが抱えていた処々の問題を解決すべく浮上したダム建設計画地に存在した。ここで起こったのがユネスコを中心とする全世界的な遺跡救済キャンペーン。各国から集まった資金はもちろん、様々な救済策と技術、これらが駆使され遺跡は元あった場所から形を崩すことなく60m高い位置へと移転された。遺跡のすぐ側に横たわるナセル湖(ダム建設に伴って造られた人造湖)を眺めていると、美しい湖面からファラオたちの笑い声が聞こえてきそうだ。

写真はアブシンベル大神殿(左奥)と小神殿(右手前)


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