<陽だまり>
「総司、なんでこの部屋にいやがるんだ。おとなしく、部屋で寝てろっていったろうが」
池田屋での一件で、負傷した総司に、大事をとって自室で休んでおくよう、いいわたしたはずだった。
そのはずなのに、帰ってみてみれば、俺の部屋に総司が転がっている。
ご丁寧に、布団までひいて、寝転がり、ほおづえをつきながら、冊子をめくっている。
楽しそうに足をまげて、ぱたつかし、着物から生肌がはだけてみえた。
「はい、だから、部屋でおとなしくしてるんじゃないですか。」
体制はそのままに、にんまりと笑顔をかえす。
「自分の部屋でって言ったろう」
「そうですか?聞こえなかったなぁ。まぁ、いいじゃないですか。ここも僕の部屋みたいなもんだし。」
しれっと、いい加減なことをいいながら、本のページをめくり、また楽しげに足をぱたぱたと動かす。
「なに言ってやがる。人の部屋で、人の布団までひろげやがって」
明けた障子を後ろ手でしめて、総司の側へと足を進める。
総司は、相変わらず、人を食ったように、へ理屈を並べた。
「布団敷かないと休めないじゃないですか。良かったでしょ、土方さん。今日の夜は、僕のにおいがして、よく眠れますよ」
「バカか、てめぇは」
中腰にしゃがんで、総司の頭をこついてやる。すぐさま総司が『もうっ!!」という顔をする。
「なんですか、僕の匂いじゃ嫌だっていうんですか?」
唇をつきだし、すねた顔が可愛い。無自覚に俺の琴線をくすぐる困ったやつだと激しく想う。
嘆息すると、総司のいる床に腰をおろし、勢い良く、背中から総司の上にのしかかってやった。
「・・・匂いよりも、本物のほうがいい」
もちろん、総司の傷に触らないように、極力、差し障りのない、下半身を狙ってやっている。
「ちょっと、土方さん。そういうことけが人にします?」
顔をすこし傾けて勝ち誇った笑みを返してやると、
苦情を言いつつも、顔がほんのり紅くそまった。
「うるせぇ、自室でおとなしくしてないお前が悪い。」
体制をかえて、横に転がる総司を追いかけるように抱きついてさらにいたづらっぽく笑ってやる。
こんな顔、他の隊士が見たらひっくり返るに違いない。
真っ正面、近い位置にきた顔を直視して、なおいっそう、総司が照れた顔をした。
軽く総司に唇を重ね、そのままごろりと、横に転がって、総司が読んでいた本を取り上げて、上にかざして見た。
「なんだあ、めずらしいもん読んでやがるな」
この間、俺が貸本屋から借りてきた、兵法の書だった。
「土方さんの、実にすばらしい、笑えるくらいへたくそな句集でも読んでた方が良かったですか?」
総司が気を取り直したのか、仕返しとばかりに悪態つきながら、またコロリと転がって、俺の懐に入ってくる。
「よくねぇよ。だいたい、全部空で覚えてやがるくせになんであればっかり読もうとするんだ」
本に目を向けたまま、懐の総司を抱き寄せる。
「そこに句集があるからです」
ふふんという顔をして、わけのわからない答えを返してくる。
「なんだそりゃぁ」
くしゃくしゃと総司の髪を、かき回し、眉をよせる俺に、教えてなんてあげませんよと舌をだしてみせる。
「それより、土方さん。今日はもう、出かけないんですか?」
腕をのばして、俺が持っていた兵法の書をとりあげながら、見上げる。
「でかけねぇよ。でも、やらなきゃならねぇ仕事は山積みだがな」
それを見返す為に、顎をひく。近藤さんとお揃いの、結い上げた髪先が、鼻先をくすぐる。
「じゃぁ、こんなところで寝転がってていいんですか?」
「いいんだよ、代筆請負人が、横に転がっていやがるからな」
いっそう強く抱き寄せて、にぃっと、嫌な笑みを浮かべると、総司が心底嫌そうな顔をあげた。
「ええーっ、ちょっと、僕、けが人なんですけど。休めっていったの土方さんじゃないですかっ」
前にも、代筆を頼んだ事がある。しかも山ほどの量だったことを思い出し、全身全霊で拒否してくる。
聞こえネェな。と総司の顔を、自分のほうにむくように転がしてくみ敷く。
「にがさねぇぞ。匂いだけじゃ満足できねぇって言ったろ」
総司を再び抱き寄せて、今度は深い口づけをする。
口を魚みたいにぱくつかせる総司を見下ろしたまま、そして意地悪げに、舌なめずりをしてみせた。
「///ば・・か・・・!!」
まだ平穏だった、元治元年、夏の出来事。
BLですかぁ?バカな者で最近になってこの言葉、知りましたw(笑 遅っw
なんだか、キュンっとしますw
土方さん、かわいい///
総司mo子猫まではいかないんですが、かわいいです///
大丈夫でしたでしょうか。小説の方は、こんな感じに腐った展開しておりますので。いやはや。