先週にUPしました、白い嘘-沖田-の裏側。
土方さんサイドのお話です。
沖田、土方ともに、同じ時間の中で進行しています。
片方だけでも大丈夫ですし、その頃、沖田さんはどうだったのかが気になる方は、沖田の方もご覧下さい。
性表現を含みますので18歳未満の方はご遠慮下さい。
↓↓↓18歳以上ですか?大丈夫ですか?大丈夫な方は、続きをどうぞ。
◆白い嘘-土方-◆(土方×沖田 随想録)
慶応3年11月。
「総司?」
部屋の中の主に声をかける。
一向に返事はなく、ただ、うなされているような声がときおり聞こえ、障子を静かに開けて中をのぞく。
「土方さ・・・」
身を丸めながら総司が寝言で俺の名を呼ぶ。ひくりと自分の眉間が動くのを感じる。
もう、何度聞いたかわからない。こうして、総司がうなされている時、いつも、必ず俺の名を呼ぶ。
何の夢を見ている?問いただしたいが、きっと、総司は口を割らないだろう。
朝晩も寒くなってきたというのに、よほど、その中でもがいたのだろう、肩が半分以上も布団からでてしまっていた。
中に入り、障子を閉めると、その横に膝をつき、布団に手をかける。
「っ!!」
っと、びくりと、身体を震わせ、俺の腕を跳ねのけてはじかれたように総司が起き上る。
「・・あっ・・・」
自分でも何をしたのか分からないといった顔で、同じく驚いて、手を差し出したまま固まっている俺の顔をみた。
「すまねぇ、驚かせたか?声はかけたんだが、返事がなかったから勝手に入った」
戸惑う総司の顔を見て、謝罪をする。
陽光は多少陰ってきてはいたが、まだ夜がくるには少し遠く、羅刹なった身には、響くのだろう、憂鬱そうに、身を震わせた。
抱きしめてやりたい、今すぐに、その身を引き寄せて、その唇に触れたい。。
総司がそこにいる。それだけで、身体が啼いた。
労咳になったと知ってから、総司は、俺が近づくのを嫌がる。
労咳は、人にうつるから、うつしてはいけないのだと、かたくなに拒否をする。。
俺だって、もしうつったらと考えないわけじゃない。
ただ、総司が俺をもとめるなら構わないと思う。
新選組を率いる副長としては、そんな考えじゃいけないとは思うが、総司が求めてくれたなら、俺の全部、くれてやってもかまわないのに。
変若水を飲み、羅刹になっても病は消えず、結局何もかわりはしなかった。
ただ、時に、死ぬほど喉が渇き、衝動にゆさぶらるのだろう、苦しげに悶える総司の声を何度も、部屋の外で耳にした。
変わったのは、羅刹の力を使うことで、剣が握れる。それだけだ。
いつ、狂ってしまうのかも分からない恐怖とひきかえに、得たものは、それだけ。
それすら、病におかされた身体ではままならず、結局、何一つ変わらない。
当たり前のようにそばに来て、当たり前のように、絡みつき、悪態ついて、不平を言いあい、笑っていたあの頃は二度と戻ってはこないのだろう。
『その苦しさを俺はよく、知っている。』
避けていても、本当は、この手に抱かれたいと願う。
でも、そうすれば、俺にロウガイをうつしてしまうかもしれない。
求めたい気持ちと、なくしたくない気持ちでどれだけその胸を痛めているのか。
「大丈夫か?」
心配そうに覗き込んで総司の顔をみる。
「大丈夫ですよ」
まがいものの笑みが悲しく揺れている。
「そうか」
何も言えず、何もできず、ひきつる口角を必死で上げて、そう答えた。
嘘をつく。心と違う嘘をつく。
叫んでしまいたい。
『大丈夫なんかじゃないだろう!』と。『思うままに求めろ』と・・・。
俺はここにいるのに、いつでも抱きしめてやれるのに。
総司に見えないように隠した拳をギリギリと、握り締めて、その衝動を必死で抑える。
思いを振り切って立ち上がる。
「書かなきゃならねぇ書類があるから、もう行く。」
「はい」
その張り詰めた空気から解放されるという安堵と、行かないで欲しいという欲望の狭間で、総司が俺の背を凝視する。
障子に手をかけ立ち止まり、未練がましく振り返る。必死に笑みを浮かべたその口が俺をもとめることはない。眼を閉じて障子の外に出る。
スーッと閉じた障子を挟んで見えない相手を互いにみつめる。
こんなに、互いに求めているのに・・・。
自室に戻り、障子を閉めて座り込む。
「総司・・」
総司への思いから逃げていたあの頃よりも、ずっと・・・心が痛い。
覚えている感触よりも、総司の身体は随分と痩せた。
「・・・・・」
脳裏に浮かぶその肌は、まだ元気でいたあの時のまま。自分を求めて空をさまよう。
その身体の感触を一つ一つ、確かめるように、鍛錬された身体に這わせる。
もう長く触れていないその感触が今も刻まれて思い出される。
緊張し少し震える唇が、ゆっくりと触れた唇の感触に溶かされ、やがて熱っぽく俺の舌を誘う。薄く開けてと息をもらすその中に割って入りこみ、舌をからませる。
『土方・・・さ・・・ん・・』
唇が解放されるたびに、熱っぽく名前をよび、溺れゆく目が宙をさまよう。
その唇をはなれ、耳をはみ、首筋を流れて胸元を吸い上げる。
紅い跡がほんのりと華を咲かせ、なおいっそう俺を誘う。
指先で胸元の突起にふれ、柔らかな果実をつかむようにそっとそれをつまみ上げ、その形を確かめるように、何度も、抑揚をつけて転がす。
『いっ・・・や・・・ぁ』
時に強く力をいれて摘み、それが離れた瞬間に、それを追い求めるように、総司の胸が震えて、その手を追う。
その反応を楽しんで、敏感になったそこにねっとりと唾を含んだ舌を絡め吸い上げる。
『あぁぁっ』
びくりと反応し、ひときわ高い声をあげる。
「う・・・ん・・」
記憶に反応する、身体が熱い。
受けてくれる、その温もりは今、この手の中にはないというのに、下半身が反応を示す。
袴の隙間から手をいれて、中心をつかむ。
けだるげに立ち上がるそれに触れ、指を動かす。
総司の手をつかみ、そこに触れさせた感触を思い浮かべ息をあげた。
恥ずかしそうにつかむその手は、いつも逃げごしに、迷い、頬は一段と紅くそまる。
そのすべてが愛おしく、感触を味わいながら、指をぬらして総司のすぼまりへと手をのばす。
いつまでも慣れないそこは、触れただけで収縮し、指の侵入を緊張して受け止める。
それでも、多少なりとも慣れた身体は、すぐにそれを受け入れて、一本、二本と、自ら求め、離すまいと締め付けた。
腰を浮かせ、自分自身を、ゆっくりと腰を進める。
『・・・・っん。。』
苦しげに唇をかみしめながら、眼に涙をためて進むその大きさに耐える。
「総司・・・」
収縮をくりかえすとそれと同じように、手を動かして、自らをしごく。
『土方・・・さ・・・ぁ』
総司が名を呼び、腰をうかせ無意識に自分を誘い込む。
「・・・・・っう」
欲望を押さえ続けた身体は、想像以上に早く果て、自分の手をよごした。
着物を汚さないように、とらえた白い糸が手のひらを流れる。
何一つ満たされず、むなしさとやるせなさだけが激しく募る。
「総司・・・・」
汚れた手の感触に恥じ、膝をかかえてうなだれた。
あとどれだけ、我慢すればいい?
いつになったらぬけだせる?
わかっているのだ。
きっとこれから先、どれだけ心が焦がれても、総司から俺を求めることはない。
ひとつ決めたら、貫くのが総司だからだ。
簡単な事だ。
総司が欲しいなら、自分で手にすればいい。
嫌がられても、拒まれても、そうすれば、少なくとも、触れることはできるのだ。
けれどできない。想うからできない。
できない・・・・。
自分をだまして嘘をつく。
そばにいるだけでいい・・・・そう、嘘をつく。
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