『ほとりの朔子』などの深田晃司監督と、『私の男』などの浅野忠信がタッグを組んだ衝撃のヒューマンドラマ。ごく平凡な夫婦の前に突然ある男が現れたことにより、平穏だった日常に不協和音が響き始める様子を描き出す。『かぐらめ』などの筒井真理子と『下衆の愛』などの古舘寛治が夫婦を熱演。不可解で深淵なテーマに切り込んだストーリーに心揺さぶられる。
あらすじ:鈴岡家は郊外で小さな金属加工工場を営み、夫の利雄(古舘寛治)と妻の章江(筒井真理子)、10歳の娘・蛍(篠川桃音)は穏やかに暮らしていた。ある日、利雄の古い知り合いで、最近出所したばかりの草太郎(浅野忠信)がやってくる。利雄は妻に何の相談もなく彼に職を与え、自宅の空室を提供する。
<感想>静かに暮らすどこにでもいるような夫婦。そこへある日ふらりと、謎めいた男が一家を訪れる。主人の旧友である男は、殺人を犯して刑務所から出てきたばかり。何故に夫のところへ尋ねて来たのか、妻は訳が分からないまま日にちが過ぎてゆく。
それでも、八坂は真っ白いワイシャツを着て、作業衣も真っ白で家業を手伝い、彼の無口で清潔な性格が妻の章江には好感が持てた。それに、娘の蛍に懐いてオルガンを教えるところも、章江には好印象を与える。
八坂が刑務所に入った理由は、殺人罪だが夫も共犯だったということを知らされ唖然とする妻。それでも、娘のオルガンの発表会のために、真っ赤なドレスを自分で裁縫して夜なべをして作った。それを嬉しそうに八坂に見せにいく妻の章江。
そして、みんなで川遊びに出掛けるのだが、そこでも夫と娘が昼寝をしている間に、抜け出して隠れてキスをする2人。まるで恋人みたいに。周りには真っ赤な花が咲いていた。帰ってから、4人で川の字になり寝そべって写真を撮るのだが、これもまるで家族のように映る。
一緒に寝起きして、朝ごはんを食べ夕ご飯を食べる同じ家の中で、自然と家族に溶け込んでいく八坂。しかし、だんだんと判ってくる八坂の本性というか、女の隙を狙って唇を奪い、体をも奪って来る。妻にしてみれば、夫婦生活が無いも同然だったに違いない仲で、夫の友人という男らしい八坂に好意を持ち始めていただけに、つい魔がさしたようでもある。
後半からは、オルガンの発表会に来ていく真っ赤なドレスを、近所の友達に見せびらかしにいくと出ていく娘。そして、夫もたばこを買いに出かけた後、八坂は真っ赤なTシャツを着て、台所にいる妻の章江を襲う。まるで野獣のように。寸でのところで、章江が八坂を押し倒して拒絶する。八坂が家を出ていくのだが、娘の蛍が帰ってこない。夫に近所まで探しに行かせると、公園で娘が頭を打ち倒れていた。それを境に八坂も姿を消すのだ。
その8年後は、興信所を使って八坂を探すも見つからず、知り合いのツテで若い山上孝司という男が、金属加工工場を手伝う。その孝司が、18歳になり全身麻痺となった娘の蛍に興味を持つ。
その若い山上孝司の素性を知り、あの八坂の息子だったとは。夫と友達の八坂が犯した昔の罪が、八坂だけが一人で罪を被って刑務所へ入り、夫は家業を継いで結婚もして、子供までもうけて幸せに暮らしていることに、八坂は腹が立ったらしいいのだ。
しかし、この映画の中でも真っ赤な色が人間の欲情を表していて、八坂の来ている真っ赤なTシャツに川遊びでの真っ赤な花。それに、仕返しのつもりなのか、幸せな家族に水を刺すように、真っ赤なドレスを着た娘に悪戯でもしたかのようにもとれる。最後の妻と娘が川に飛び込むシーンでも、八坂が真っ赤なTシャツを着て立っていた。
因果応報、ここでも昔の自分の罪が、後で返ってくるということなのか。だが、自分だけなら仕方がないのかもしれないが、二人の子供にも罰のように返ってくるのはどうかと思う。妻の章江も夫に対しての腹いせなのか、女としての欲情なのか知らないが、ラストが余りにも悲惨で子供たちが可愛そうである。
妻の章江役の筒井真理子さん、前半部分と後半では長い髪を切り、撮影の3週間で13キロ体重を増減してぽっちゃり姿で登場している。それに、18歳になった娘の蛍を演じた篠川桃音さんは、難しい障がい者の役を演じて良かったです。もちろん、八坂草太郎の浅野忠信さんは、インパクトのある冒頓として男から野獣のような男に変わる演技も。
それでも、全編を通して夫の利雄役を演じた古舘寛治さんの、無口で卑怯な男を演じて何事も反省してないような。タイトルの「淵に立つ」というのは、もしかして妻と娘ではなく、夫だったのではなかったのか。ラストの出来事に、一番に自分が死ななければならなかったはずなのに、家族が壊れてしまい、八坂の息子までもが巻き添えをくってしまったような感じに、観ていて苛立ちを覚えてしまいました。
2016年劇場鑑賞作品・・・220映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング
あらすじ:鈴岡家は郊外で小さな金属加工工場を営み、夫の利雄(古舘寛治)と妻の章江(筒井真理子)、10歳の娘・蛍(篠川桃音)は穏やかに暮らしていた。ある日、利雄の古い知り合いで、最近出所したばかりの草太郎(浅野忠信)がやってくる。利雄は妻に何の相談もなく彼に職を与え、自宅の空室を提供する。
<感想>静かに暮らすどこにでもいるような夫婦。そこへある日ふらりと、謎めいた男が一家を訪れる。主人の旧友である男は、殺人を犯して刑務所から出てきたばかり。何故に夫のところへ尋ねて来たのか、妻は訳が分からないまま日にちが過ぎてゆく。
それでも、八坂は真っ白いワイシャツを着て、作業衣も真っ白で家業を手伝い、彼の無口で清潔な性格が妻の章江には好感が持てた。それに、娘の蛍に懐いてオルガンを教えるところも、章江には好印象を与える。
八坂が刑務所に入った理由は、殺人罪だが夫も共犯だったということを知らされ唖然とする妻。それでも、娘のオルガンの発表会のために、真っ赤なドレスを自分で裁縫して夜なべをして作った。それを嬉しそうに八坂に見せにいく妻の章江。
そして、みんなで川遊びに出掛けるのだが、そこでも夫と娘が昼寝をしている間に、抜け出して隠れてキスをする2人。まるで恋人みたいに。周りには真っ赤な花が咲いていた。帰ってから、4人で川の字になり寝そべって写真を撮るのだが、これもまるで家族のように映る。
一緒に寝起きして、朝ごはんを食べ夕ご飯を食べる同じ家の中で、自然と家族に溶け込んでいく八坂。しかし、だんだんと判ってくる八坂の本性というか、女の隙を狙って唇を奪い、体をも奪って来る。妻にしてみれば、夫婦生活が無いも同然だったに違いない仲で、夫の友人という男らしい八坂に好意を持ち始めていただけに、つい魔がさしたようでもある。
後半からは、オルガンの発表会に来ていく真っ赤なドレスを、近所の友達に見せびらかしにいくと出ていく娘。そして、夫もたばこを買いに出かけた後、八坂は真っ赤なTシャツを着て、台所にいる妻の章江を襲う。まるで野獣のように。寸でのところで、章江が八坂を押し倒して拒絶する。八坂が家を出ていくのだが、娘の蛍が帰ってこない。夫に近所まで探しに行かせると、公園で娘が頭を打ち倒れていた。それを境に八坂も姿を消すのだ。
その8年後は、興信所を使って八坂を探すも見つからず、知り合いのツテで若い山上孝司という男が、金属加工工場を手伝う。その孝司が、18歳になり全身麻痺となった娘の蛍に興味を持つ。
その若い山上孝司の素性を知り、あの八坂の息子だったとは。夫と友達の八坂が犯した昔の罪が、八坂だけが一人で罪を被って刑務所へ入り、夫は家業を継いで結婚もして、子供までもうけて幸せに暮らしていることに、八坂は腹が立ったらしいいのだ。
しかし、この映画の中でも真っ赤な色が人間の欲情を表していて、八坂の来ている真っ赤なTシャツに川遊びでの真っ赤な花。それに、仕返しのつもりなのか、幸せな家族に水を刺すように、真っ赤なドレスを着た娘に悪戯でもしたかのようにもとれる。最後の妻と娘が川に飛び込むシーンでも、八坂が真っ赤なTシャツを着て立っていた。
因果応報、ここでも昔の自分の罪が、後で返ってくるということなのか。だが、自分だけなら仕方がないのかもしれないが、二人の子供にも罰のように返ってくるのはどうかと思う。妻の章江も夫に対しての腹いせなのか、女としての欲情なのか知らないが、ラストが余りにも悲惨で子供たちが可愛そうである。
妻の章江役の筒井真理子さん、前半部分と後半では長い髪を切り、撮影の3週間で13キロ体重を増減してぽっちゃり姿で登場している。それに、18歳になった娘の蛍を演じた篠川桃音さんは、難しい障がい者の役を演じて良かったです。もちろん、八坂草太郎の浅野忠信さんは、インパクトのある冒頓として男から野獣のような男に変わる演技も。
それでも、全編を通して夫の利雄役を演じた古舘寛治さんの、無口で卑怯な男を演じて何事も反省してないような。タイトルの「淵に立つ」というのは、もしかして妻と娘ではなく、夫だったのではなかったのか。ラストの出来事に、一番に自分が死ななければならなかったはずなのに、家族が壊れてしまい、八坂の息子までもが巻き添えをくってしまったような感じに、観ていて苛立ちを覚えてしまいました。
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