パピとママ映画のblog

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英国総督 最後の家★★★

2018年10月06日 | アクション映画ーア行

第二次世界大戦後、イギリスの植民地だったインドが、インドとパキスタンという2つの国に分離して独立するまでの激動の日々を、最後の総督となったマウントバッテン卿とその家族の視点から描いた歴史ヒューマン・ドラマ。主演は「パディントン」、TV「ダウントン・アビー」のヒュー・ボネヴィル。共演にジリアン・アンダーソン、マニーシュ・ダヤール、フーマ・クレシー、マイケル・ガンボン。監督は「ベッカムに恋して」「ジョージアの日記/ゆーうつでキラキラな毎日」のグリンダ・チャーダ。

あらすじ:1947年、植民地インドの統治権の返還を決めたイギリスは、主権委譲の任に当たる最後の総督としてマウントバッテン卿を送り込む。こうして妻エドウィナと娘パメラを連れ立って、首都デリーの総督官邸へとやって来たマウントバッテン卿。そこは500人もの使用人が仕える想像を絶する大邸宅だった。さっそく関係者を招いて独立へ向けた話し合いが行われるが、統一インドとしての独立を望む多数派のヒンドゥー教徒と、分離してパキスタンの建国を目指すイスラム教徒のムスリム連盟との対立は激しさを増していく。そんな中、新総督のもとで働くヒンドゥー教徒の青年ジートはイスラム教徒の娘アーリアとの愛を育んでいくのだったが…。

<感想>二つの国が生まれる時――英国領インド最後の6か月、真実の物語。英国から赴任そうそう、人種や宗教の壁を越えて統一国家を樹立したいネルー率いる国民会議派と、インドから分離してイスラム国家を樹立したいジンナー率いるムスリムとが激しい論戦を交わしており、マウントバッテン卿は意見の違いの仲裁に追われる日々。当初は統一インド案を指示していたが、分離はやむを得ずと判断し、問題は分断をした場合の境界線の線引きであります。

そんな時、チャーチル政権の首席補佐官であるヘイスティングスが持ってきた文書を提示する。それには、英国がソ連に対する利権である重要な港、カラチをパキスタン側に線引きするというもの。それは既に2年前にチャーチル自ら承認していた分割案だった。英国とムスリム連盟との密約を知ったマウントバッテン卿は衝撃を受ける。

ついに、インドと新国家パキスタンは分離し、独立を果たします。しかし、宮殿にいる500人もの使用人たちは、インドに残るのか、パキスタンへ戻るのかの二択の選択を迫られます。そこに、使用人たちの中にアーリアとシードの恋愛中の2人は、アーリアはパキスタンへと婚約中の彼がいるところへ戻ることになるわけ。ジードは宗教の違いもあり、叶わぬ恋とあきらめなければならなかった。

ところが、アーリアの乗った列車が暴徒に襲撃され、乗客全員が虐殺されたという報告を受けたジードは、失意のうえに打ちのめされ官邸の使用人を辞めてしまう。

そのころ、インドの中心地であるデリーは難民であふれかえり、マウントバッテン卿は混乱の責任を取り、独立後も家族と共にインドに残り支援をおこなうことに決めました。難民支援のボランティアに参加していたジードは、重傷を負いながらも生存していたアーリアを見つけ、2人は再会を果たします。

独立前夜のインドで何が起きていたのか、新たな発見を加えて描く、極めて誠実な歴史映画でもありました。基本としては、分離独立をめぐる話し合いを延々と見せる映画なのだが、主要人物の一人であるインド人青年が重要な局面に、必ず居合わせざるを得ない設定になっているのが、良かった。

さまざまな社会層、さまざまな場所を横断しながら語りが展開していき、出番の少ない端役まで人間味が感じられ、いつしか作品世界に引き込まれていく。若者たちの不運な恋の行方も、無駄なく描いておりバランスが絶妙であった。

歴史の中で一応知ってはいたものの、映画の中で詳しく知るということはとても勉強になることでもあり、意外と知られていない気がするインド独立と、それに伴うパキスタン建立のあらましが、しっかりと学べる点では良かった。

分離独立によって生じる宗派対立と内紛を、その状況に置かれたインド人男女の恋を重ねて描こうとするのも良かったけれど、それはそれで別個に完結してしまう。

中でもガンディーやネルーを中心に、インドの英国からの独立をみてきたものには、最後のマウントバッテン総督の視点で描いた作品は新鮮であった。

総督の居住する大邸宅の豪華さにあきれながらも、総督一家を中心に制服を身に着けた使用人たち500人の人間が、記念写真を撮るシーンにも、大英帝国の挽歌を告げる映像として感銘を受けてしまった。ですが、500人もの使用人を束ねる頂点にいるのは妻であるエドウィナであり、それに娘もよく手伝っていた。普通だったら、全部使用人に任せて、客が来れば登場するという役割だと思ったのに、全然違っていたので驚きました。

それに、宗教にまつわるインドとパキスタンの境界の線引きがあまりにも強引であり、多くの難民を作った歴史的事業も、パキスタンからの難民を受け入れる官邸の中庭で、食料を振舞う妻と娘には感心しました。こんなに詳しく描かれているので、映画を通してよく理解できましたね。

インドに骨を埋める覚悟のマウントバッテン総督と、一緒に寄り添う妻と娘が紛争に巻き込まれていくのは耐え難かった。

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