パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

味園ユニバース ★★★.5

2015年04月07日 | アクション映画ーマ行
関ジャニ∞の渋谷すばるが初めて単独で映画主演を果たした人間ドラマ。渋谷がふんした歌う以外の記憶を喪失した男が、とあるバンドマネージャーの少女と関わりを持ったことで過去と向き合い、自らを見つめ直す姿を描く。彼と行動を共にするうちに自身も変化していくヒロインには、『ヒミズ』などの二階堂ふみ。『苦役列車』などの山下敦弘監督が、大阪のサブカルチャースポットとして知られる味園という土地を舞台にユニークなドラマを作り上げている。
あらすじ:大阪のとある広場でバンドがライブをしている中、記憶を失った若い男(渋谷すばる)が舞台に乱入し歌を披露する。ざわつく会場で鳴り響いた男の歌声は、周囲の人間を圧倒する。彼の才能に興味を抱いたバンドとマネージャーのカスミ(二階堂ふみ)は「ポチ男」とあだ名を付け、スタジオで働いてもらうことにする。やがてバンドのボーカルに迎えられたポチ男は、喪失した過去の記憶をたどっていき……。

<感想>大阪芸大出身の山下敦弘監督が、関ジャニ∞の渋谷すばる君を主演に、全篇大阪で撮った青春映画である。主人公が“記憶喪失”という禁じてを使い、それがどういうわけか主人公の渋谷すばるくんの目つきの悪さ、目の座りっぷりが、忘れられなくなるくらいの痛快さ。監督のラフな演出と菅野友恵のキャラクターを生かした脚本が面白いのでハマってしまった。

とにもかくも、赤犬というバンドもさることながら、真の異物は渋谷すばるくんに違いなかった。この逸材を今まで活かせなかったのが不思議なくらい。画面を震わす声量で歌う「古い日記」と、がらっぱちな迫力に圧倒され惚れこんでしまう。確かにすばる君の歌声に痺れますから。
何よりも魅力的なのは、大阪人気質と大阪の文化風俗に徹していること。しかも軽音楽“赤犬”のバンドの昭和的パフォーマンスにも、実に愛嬌がありスクリーンに向かっておひねりなんて投げたくなってしまう。

後半の記憶を取り戻しはじめた「ポチ男」の自分探しも、マネージャーのカスミ(二階堂ふみ)が、記憶を失っているポチ男のために何かをして上げたい、昔の記憶が戻るならばと日記を付けているのに感心した。二人がスイカを食べながら、種飛ばしっこをしている無邪気な姿がよかったので、この二人は恋愛に発展するのかと考えていたのだが、そんなことはない。

でも、今作では、二階堂ふみの才能がゼロに等しいような、もったいない使い方のような気がした。彼女の「日々ロック」も観たが、あちらの方は二階堂ふみの歌が聴けたのと、アイドルという設定も良かった。

近所の医者役で、鈴木紗理奈が出ているも、気さくな町医者と言う感じ。保険証がないので、そこはなにわの人間の心意気ということなのかも。
しかし、ポチ男が野球のバットや鉄パイプのようなもので、殴られ蹴飛ばされるシーンが何度か出てくるが、昔は悪い仕事につき、自分の恋人も殺されて息子がいるのに、記憶がなく刑務所に入っていた理由もあまりはっきりとしない。

だから、カスミが記憶を辿ってポチ男の姉がいる豆腐屋まで行くも、弟は死んだとけんもほろろで、ポチ男のふしだらな生き方がそこで分かってしまう。どうにも、バットで頭を殴られるのは、人間の脳を破壊し、もしくわ死に至ることもあるので、あまり観ていて嫌な感じがした。
予想外に渋谷すばるくんが突出し過ぎたせいで、監督の当初のもくろみがずれたようにも思えたが、その結果が映画的には魅力的になっているようですね。

大阪は何度か遊びに行ってますが、大国町からなにわにかけての雰囲気がさり気なく描いた大阪映画としても素晴らしいものだと思います。
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