パピとママ映画のblog

最新劇場公開映画の鑑賞のレビューを中心に、DVD、WOWOWの映画の感想などネタバレ有りで記録しています。

女が眠る時 ★★★

2016年03月02日 | アクション映画ーア行
『スモーク』などのウェイン・ワン監督がメガホンを取り、スペイン人作家ハビエル・マリアスの短編小説を映画化したミステリー。海辺のホテルを舞台に、偶然出会った男女の私生活をのぞかずにはいられない主人公の異様な心象風景を描写する。ビートたけしを筆頭に西島秀俊、忽那汐里といった豪華キャストが勢ぞろい。次第に狂気を宿していく主人公のカオスのような日々が目に焼き付く。
あらすじ:作家の健二(西島秀俊)は妻の綾(小山田サユリ)を伴い、リゾートホテルで1週間の休暇を取ることに。処女作がヒットしたもののその後スランプに悩まされ、作家の道を断念して就職を決めた彼は妻との仲もぎくしゃくしていた。到着した日、彼はプールサイドにいた初老の男性(ビートたけし)と若く麗しい美樹(忽那汐里)のカップルに惹(ひ)かれる。

<感想>最近よく映画に出ているビートたけしのことが気になって観賞しました。主人公の小説家健二を演じた作家の健二に扮した西島秀俊さんとは、「劇場版MOZUで共演していましたね。本作では、健二が海辺のリゾ-トとホテルで、妻とのんびり滞在していると、プールサイドで初老の男、ビートたけしと若い女、忽那汐里のカップルが仲良くしているのに惹かれて興味を持ってしまう。

最初の小説で賞を取り人気作家となるも、その後、スランプに陥り次の小説が中々書けなくて、その様子を見た妻が海辺のリゾ-トホテルを予約してくれたのだ。小説のネタ探しにでもなるかと軽い気持ちで連れて来たのだろう。

そこへ、親子ほども年の離れた謎あり気な中年の男と、若い女の恋人のような愛人のような、そんなカップルに興味を持ち始める。その二人を観察というよりも“覗く”という方がいいだろう。常に2人の行動に注意しては、夜になるとプールサイド近くの部屋にいる二人の部屋を“覗く“という、これは一種の犯罪ですよね。ですから、その行為が想像だにしない結末を生むことになる分けなんです。

どうやら、友人の娘らしく、幼いころから一緒に旅行先とかで写真に納まっているので、大人になった娘を一人の女性として愛してしまい、しかし娘の身体を奪うこともなく眺めるだけの男。娘の方も何か秘密めいたふうで、ビートたけしが自分の寝姿をビデオカメラで撮っていることを知っていても、黙って知らん顔しているのだ。
だから、健二なら男として愛してしまったのなら、肉体関係を持ってもおかしくないと。何故そうしないのかと、部屋に押し入りビデオテープを探して見つめる健二。そこへ娘、忽那汐里が帰って来て驚きベットの下へ潜り込む健二。娘は服を脱ぎ全裸になってシャワーを浴び、白いワンピースを着てまた出かける。

もう、その密かに彼女を“覗き込む”ということに男としての欲求を抑えられなくなる健二。だが、何かを知りたいと欲求することは、人間の本能でもあるが、しかし、この映画の物語が示す通り、その本能に身を任せ過ぎると、人間は必ず破滅してしまう。
遂には健二の“覗き”を、ビートたけしも知ることとなり、ヤキモチのような娘に対して邪険にふるまうようにもなる。娘も健二の車に乗って来て、何も言わないが、目でいかにもなふうに健二を誘うのだ。
劇中で健二は徐々に狂気に飲み込まれていき、それに追い打ちをかけられるように、健二の妻の小山田サユリもそのことに気づき始めて、仕事の関係の小説家と何やら浮気をしているのではと。それにビートたけしも妻に近づき、怪しい雰囲気になっているのだ。

そのリゾートホテルの街には居酒屋があり、そこの主人にリリー・フランキーが扮しており、壁に貼ってある写真の中に、ビートたけしと忽那汐里の二人で仲良く映っている。
何もかもを知ろうとした男が、もっと近くにいたはずの存在を見失った瞬間に事件が起こり、ホテルで忽那汐里が忽然と姿を消したニュースが報道される。警察が健二のところへも来て、あなたは彼女の部屋を“覗いてましたね”と訊ねる。実は健二の行動も、佐原のビートたけしによって監視されていたとは、警察の人から知らされて驚く。

ウェイン・ワン監督の映画は観た事ありませんが、情感あふれる映像美とでも言うのでしょうか、ミステリアスな物語が絶妙に絡み合い“覗き”をする際の西島秀俊の心理描写が非常に丁寧に描かれており、スクリーンからは艶めかしく映る忽那汐里の寝顔姿と、男が女のうなじの産毛を剃っているシーンが映し出され、彼の高まってくる興奮と罪悪感が、観客にも共犯者としての“覗いている”主観をもたらすのである。
始めはその背徳的な“覗き”の行為に嫌悪感を抱いてしまうのだが、観ている内に彼の視点を通して様々な真実に近づくうち、中年の男ビートたけしの謎とでも言うのでしょうか、娘でもなく愛人のような目で愛おしく忽那汐里の寝姿を見つめ、その姿をビデオカメラに撮り、上書きをして日付を書いてテープに保存して、後で嬉しそうに見つめるビートたけしがいる。
印象的なラストでは、妻のお腹が大きく妊娠をしており、妻の作家夫婦と一緒に食事をするシーンが映しだされる。健二も新作の小説が書けたようでほっと安心。その小説が、海辺リゾートホテルでの“覗き”だと思うのだが。

2016年劇場鑑賞作品・・・46映画(アクション・アドベンチャー) ブログランキング