パピとママ映画のblog

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グリーンブック★★★★★

2019年03月03日 | アクション映画ーカ行

1960年代を舞台に、差別が残る南部での演奏ツアーに向かった天才黒人ジャズピアニストと、彼に運転手兼用心棒として雇われたガサツなイタリア系アメリカ人の凸凹コンビが、旅を通して深い友情で結ばれていく感動の実話を映画化。主演は「イースタン・プロミス」のヴィゴ・モーテンセンと「ムーンライト」のマハーシャラ・アリ。監督は本作が単独監督デビューとなる「メリーに首ったけ」「愛しのローズマリー」のピーター・ファレリー。

あらすじ:1962年、アメリカ。ニューヨークの一流ナイトクラブで用心棒を務めるトニー・リップは、ガサツで無教養だが家族思いのイタリア系男。店の改修で仕事がなくなり、バイトを探していた彼のもとに運転手の仕事が舞い込む。雇い主はカーネギーホールに住む天才黒人ピアニスト、ドクター・シャーリー。黒人差別が色濃く残る南部での演奏ツアーを計画していて、腕っぷしの強い運転手兼ボディガードを求めていた。こうして2人は、黒人が利用できる施設を記した旅行ガイドブック“グリーンブック”を手に、どんな厄介事が待ち受けているか分からない南部へ向けて旅立つのだったが…。

<感想>実話であり、黒人天才ピアニストとイタリア系用心棒の実話に基づき、何もかも正反対の二人の奇跡の旅と友情を描いたロードムービー。用心棒の息子だったニック・バレロンガが父親から聞いた話を基に脚本家し製作も手がけた。「メリーに首ったけ」のピーター・ファレリー監督であり、2018年のトロント国際映画祭で観客賞を受賞し、本年度の作品賞と天才黒人ピアニスト、ドクター・シャーリーを演じたマハーシャラ・アリが2度目の助演男優賞を受賞した。カーネギーホールの最上階に住んでいるドクター・シャーリーは、博士号を持った黒人ピアニスト。高貴で思慮深く、そして黒人であることに誇りに思いながらも悩む男を演じていた。

しかし、やはり相棒のトムを演じたヴィゴ・モーテンセンのハマリ役に圧倒されます。ヴィゴ・モーテンセンの茶目っ気ぶりや、刺さるセリフの数々、トニーと妻のドロレスの夫婦愛も味わい深いですね。

体重を20キロも増やして、イタリア系の用心棒役を演じたのだが、ホットドックの大食い競争に勝ち賞金50ドルをもらい、それを妻に渡し、「これで今月の家賃が払えるわ」と感謝されるのだ。

その頃の南部は黒人というだけで殺される可能性があり、真面目で喧嘩慣れしていないドン・シャーリーには、トニーのような凄腕の用心棒が必要だった。以前は黒人が使ったグラスを嫌悪感でゴミ箱へ捨てたりしたのに、実際にドン・シャーリーへの不当な扱いに接して行く内、徐々に心を入れ替えていくのだった。

 

それまではトニーが抱いていた黒人のイメージとは全く違っていたからだ。トニーの視点から描いたからこそ、人は変われることを示している。そして白人が運転手で雇い主が黒人という、まるで「ドライビングMissディジー」の逆バージョンなのが興味深かった。

タイトルの「グリーンブック」とは、人種隔離政策時代の黒人ドライバー用に作られたガイドブックのことであり、まだまだ人種差別の濃い時代。当時は南部の多くの地域では、人種隔離政策が適用され、黒人は宿泊所や食堂、使用トイレなども制限されていた。そのため、黒人が利用可能な施設を記したこのガイドブックは、旅の必携アイテムだったのだった。

演奏会場のレストランで夕食をとるトニーと、ロシア人のベースとチェロ奏者は、そこのレストランで食事をすませることができるが、東部ではVIP扱いのドン・シャーリーが南部では白人と同じレストランでは食事が出来なかった。それに、トイレを借りたいと申し出るドンに対して、野外にある粗末な木のボロトイレを使用するように言う支配人。その扱いに腹を立てるトニーだが、仕方なく、黒人専用のレストランを探しに車に乗せて行くのだった。途中でトイレをしたいというドンに、「車を止めるので道端で用をたしな」と言うトニーに、「そんな不作法なことは出来ない」と険しい言葉で返事される。探してレストランへ着くも、スーツ姿のドンに対し、黒人の客は嫌悪感を表して、仕事は何をしているのかと聞く。「ピアノ奏者」だと言うと、ステージにあるピアノを弾いてみなと命じられる。ドンが素直にステージへ上がり、始めはクラシックを弾くのだが、ジャズを引き出すと大いに盛り上がって拍手喝さいを浴びてしまうのだった。

いろいろとあった旅の最終地のアラバマ州バーミンガムで思いがけない出来事が起こってしまう。トニーとドンは別々のホテルに宿泊しているので、ドンに何かが起これば助けに行かなければならない。警察に裸で手錠を掛けられ辱めを受けているドン。頭にきたトニーは直ぐに釈放を願うもダメだというのだ。仕方なくドンに毛布を掛けて、ドンが電話を掛けたのは、司法長官のロバ―ト・ケネディだった。ホワイトハウスに呼ばれてピアノコンサートをするドンは、司法長官とも仲良しだったのだ。

直ぐに釈放されてNYへと帰ることになるが、帰りは吹雪きで夜になり視界が悪い。明日はクリスマスだというのに、これでは間に合わない。睡眠不足で途中でタイヤのパンク修理をしたりと、トニーが運転を続けるのに眠くて仕方がなかった。それで、ドンが代わりに運転を引き受けて、クリスマスの夜遅くにNYへ着き、家族との晩餐に間に合ったというわけ。雇い主のドンの温かい配慮に感謝しながら、トニーはクリスマスを一緒に祝おうと誘うのだが、断るドン・シャーリ―。

家へ帰っても誰もいるわけでもなく、兄貴とも疎遠になっていて、いつも一人寂しくクリスマスを過ごしていた。一緒に南部の危険なツアーに同行した二人は、互いに家族のような関係になっていくのが手に取るようにわかる。トニーが熱心に妻のドロシー宛に手紙を書いているのを見て、ドンがそっけない文章に対して、ドンが女性に対する優しい言葉や扱いが上手なので、その言葉を文章に書き綴るトニー。妻はその手紙を読み、これは夫の文章じゃない、きっとドンがアレンジしてくれたのだと理解する。

行く先々で二人は何度も差別の壁にぶつかる。でもその先にはささやかな奇跡が待っているのだ。壁のない美しさがそこにはある。水と油の如き二人が衝突を繰り返しながら互いの才能や魅力を認め合い、心を寄り添わせていく。交わるはずのなかった凸凹コンビの珍道中なので、ユーモラスなエピソードと、シリアスなドラマのバランスが絶妙な、胸に染み入る物語でした。

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