長澤まさみと高橋一生の共演で贈るラブストーリー。ある日突然、愛していた恋人の素性がすべて偽りだと知ってしまったヒロインが、絶望に打ちひしがれながらも恋人の真実を追い求めていく旅の行方を描く。共演に吉田鋼太郎。監督は短編映画で数々の受賞歴を持つ人気CMディレクターの中江和仁。
あらすじ:食品メーカーでキャリアウーマンとして活躍する川原由加利は、震災のときに運命的に出会った研究医の小出桔平と同棲5年目を迎えていた。ところがある日、突然現われた警察から、桔平がくも膜下出血で倒れたと告げられる。しかも、彼の運転免許証や医師免許証はすべて偽造されたもので、職業はおろか小出桔平という名前すらも嘘だったことが明らかとなる。ショックを受ける由加利だったが、肝心の桔平は意識を失ったまま病院のベッドで眠りつづけていた。彼は何者で、2人が愛し合った日々も嘘だったのか、由加利はその答えを知りたくて私立探偵の海原匠を頼ることに。やがて彼が書き残した未完の小説が見つかり、その内容を手がかりに、彼の秘密を追って瀬戸内海へと向かう由加利だったが…。
<感想>何とこの作品は、2015年に開催された「TSUTAYACREATORS’PROGRAM FILM2015」で初代グランプリに輝いた企画を映画化したそうです。主人公の長澤まさみのキャリアウーマンぶりは、彼女にハマっていて見どころがありましたね。前半の高ピーな川原由加利が、5年間同棲中の彼がくも膜下出血で倒れ意識不明状態。由加利がおろおろしながら病院で彼の手を握り、語り掛けるところとか、アパートへ帰ると郵便受けを開ける若い女がいる。
その女は「AKB48」の元メンバー川栄李奈で、喫茶店で知り合った若い女の心葉(川栄李奈)とは、男女の関係もあったようだ。そのことを知りヤキモチを焼く由加利。
それでいて、警察が来て名前も経歴も嘘と判明する設定自体はいいとして、過去のヒントとなる彼が書き残した小説の出来具合はあまり良くないと言う省略ぶり。ですが、その小説をヒントに探偵の吉田鋼太郎と彼の過去を探し始める珍道中も楽しそうでした。探偵には離婚した妻と娘がいて、妻が浮気をして出来た子供だと誤解していたようで、娘に「お前は俺の子供ではない」と言ってしまい、娘に嫌悪感を抱かれてしまう。娘が自分の本当の子供かどうかをDNA鑑定をする。離婚してから、親子のDNAの結果が分かり、99・999%自分の子供であると証明された。妻にも娘にも自分勝手な態度を詫びて、許しを得ることを望んでいる頑固な探偵。
四国の夕日の灯台の下におもちゃを隠していると、小説に詳しく書かれているのをヒントに、写真を見せては彼の素性を探すのだが、さすがにベテランの探偵だけあってか、彼が仕事をしていたような場所漁業組合とかに行くし、彼女も街の小料理屋で聞き込みをするも、心辺りがあると言えば、その場所へ行ってみる。
その小料理屋のおかみに黒木瞳さんがパーマヘアーのカツラを被って、もったいない役でしたね。それに、探偵事務所の事務員にDAIGOが、ロン毛のカツラを被って違和感がないし、役になり切れていて今後はヅラ俳優として映画に出演するのかもしれません。
ですがね、よく考えると同棲相手の小出桔平が身許を詐称する理由がないと思う。本名は「安田こうへい」で、結婚をしていて外科医であり、妻と息子がいて、奥さんが育児ノイローゼにかかり息子を浴槽で溺れさせて死なせてしまう。そのことを問い詰め、奥さんは外へ飛び出して車に轢かれて死んでしまうという。
それからの彼は、自暴自棄となり自分も死に場所を求めて東京へやってきたというわけ。だから、鬱病ぎみであり、働いてはいないし、川原由加利の誘いに乗り同棲して、好きな小説をPCで書いていたということ。高橋一生が気弱そうな笑みを浮かべ、相手に安心感を与えながらも、何を考えているか分からぬ感じを出している風情も悪くないです。
ヒロインが得たいの知れない男と、暮らしてきたと知った時の生理的な嫌悪感、そのことを受け入れる過程が彼女のあっさりしすぎで、調査中も急ぎ過ぎているようで、感情の揺らぎと言ったら、彼の自宅前で近所の男から「あなたたちは誰?」と聞かれた時、「妻です」と答える由加利の毅然とした態度には、今後のことがハッキリと判ってしまう。
彼が結婚をしていて、仕事が忙しくて妻が育児ノイローゼだったことにも気づかず、二人を死なせてしまったことを後悔し、懺悔している。それなのに自分は、彼に対して生活費を全部負担しているのだからと、威張っていたことを後悔し、思いやりに欠けていたことを悔やんでいる。
彼が入院してからは、自分が騙されていたと思い、あまり病院へは見舞いにいってないのに、彼の素性を知りたいと探偵と調べて行くうちに、彼の全てを知り、愛していると悟る女心が見える、長澤まさみの演技の巧さが映えて美しい。
ラストでは、甲斐甲斐しく彼の介護をする由加利の表情が清々しくて、それがご褒美でもあるかのように奇跡が起きるのも良かったですね。
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