パピとママ映画のblog

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イット・カムズ・アット・ナイト★★

2019年03月27日 | アクション映画ーア行

長編デビュー作「Krisha」が高い評価を受けた新鋭トレイ・エドワード・シュルツ監督による注目のデビュー2作目となる衝撃の心理スリラー。謎の感染症の脅威から逃れるため、人里離れた場所で隔離生活を送る2組の家族の運命を緊張感溢れる筆致で描き出す。主演は製作総指揮も務める「ザ・ギフト」「ラビング 愛という名前のふたり」のジョエル・エドガートン。共演にクリストファー・アボット、カーメン・イジョゴ、ライリー・キーオ。

あらすじ:とある森の奥深くでは、ポールと妻のサラ、17歳の息子トラヴィスが未知の感染症に怯えながら暮らしていた。もはや人類は絶滅の寸前と思われ、ポールにとっては、そうした世界の脅威から家族を守ることだけが全てだった。やがて、そんな彼らのもとに、もう一組の家族が合流する。最初は警戒するポールだったが、ウィルと名乗る男の頼みを聞き入れ、“夜は入り口の赤いドアを常にロックする”というルールを必ず守ることを条件に、彼とその妻キム、幼子のアンドリューを受け入れる。こうして始まった2家族の共同生活は、互いに徐々に打ち解けていき、いつしか軌道に乗り始めたかに思われたが…。

<感想>森の中の一軒家でひっそりと暮らす一家を襲う正体不明の“それ”の恐怖を描いているサスペンス映画。“それ”とは謎のウィルス感染のことであり、荒廃した地球全体に感染者が蔓延しており、つまりゾンビ映画とは違って、人間がその感染により全滅してしまうという恐ろしい脅威でもあります。

ホラー映画とも思われそうですが、どちらかというとサバイバル・スリラーの雰囲気が漂っている。設定からすると誰もが連想するであろう「クワイエット・プレイス」の作品の世界が、どれほど入念に作り込まれていたか、本作を観るとよく解ります。

あちらと比べると舞台装置も設定も、ものすごく抽象的にさえ見えてくるのだが、もちろんそれは欠点ではない。

しかし、この作品で描かれる真のウィルスは主人公一家の屋敷に入り込んで来る家族のことでもある。彼らの存在が不安や、疑心暗鬼、恐怖を生み出しており、取り返しのつかない悲劇と破滅を招き寄せるのだから。

特筆すべきは、監督が光を丁寧に扱いつつ、人物の心理を粘り強く描写しようとしていることだろう。カンヌ映画祭の批評家週間に出品されたという前作もあるから、その作品を観たいですよね。

得体の知れない何かが追ってくる恐怖を低予算で描いた「イット・フォローズ」の制作陣によるスリラーであり、その続編といっていいくらいの感触が似ている。私小説的な人間関係がドラマのポイントで、自分の家族が生き延びようとさせるため、銃を構えて他人を寄せ付けまいとする一家の主であるジョエル・エドガートンには、共感よりも哀れさを感じた。

死体が重なり合うブリューゲルの絵が家の壁に掛けられており、外敵から防ぐ扉が血の色に塗られているところなど、随所に新人監督らしい意欲が見られました。

夜中になると一家の長男が懐中電灯を持ち徘徊して歩く姿は、もはや爺さんがウィルス感染をして亡くなり、その死体を森の中で燃やしている夫婦の姿が映し出される。その爺さんの部屋に、夜な夜な息子が入り込んでいるし、突然やって来た家族の幼い息子も、その爺さんの部屋で寝たりしている。

つまりは、爺さんのウィルス菌が部屋やベッドの敷物に残っており、それで感染してしまったのか、夜な夜な森へ徘徊する長男と幼い息子の2人が、森の中で感染したと思われる。

だから、突然やってきた夫婦もすでにウィルスに感染しており、セックスをしている映像でも妻が口の中から黒い液体を出しているのが見える。

最後はその家族を追い出してしまうのだが、すでに息子がウィルスに感染しており、この家族も感染していると思われる。

私にしてみれば、そういう暗喩的なタッチを繰り返し出すことよりも、ストレートに感染者や暴徒などを相手に戦うタイプの映画の方が好みです。ですが、結構な緊張感に飲み込まれて、最後まで観てしまうのは確かですね。

これと一緒に「A GHOST STORY/ア・ゴースト・ストリー」も鑑賞したのですが、ヒロインのルーニー・マーラーが、自動車事故で亡くなったケイシー・アフレックの遺体に白いシーツを被せて立ち去った瞬間、シーツが突然立ち上がり、開けられた穴から目を覗かせて動き出し、ゴーストは妻と一緒に住んだ家に戻って行く。音楽も素晴らしいですが、途中でまるで予想もしない想像力の飛躍があって、思いがけない境地にまで連れて行かれる。同じ場所から離れられずに数百年も佇み続ける切なさに、幽霊のような感じもするが、あまり怖くなくファンタジー映画のようでした。

 

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