アフリカの貧しい国の少年が、独学で発電の仕組みを学び、風車で電気をおこして干ばつから村を救った奇跡の実話を綴った世界的ベストセラー・ノンフィクションを、「それでも夜は明ける」のキウェテル・イジョフォーが自ら長編初監督を務めて映画化した感動ドラマ。主演はマクスウェル・シンバ、その両親役でキウェテル・イジョフォーとアイサ・マイガ。
あらすじ:2001年、アフリカの最貧国のひとつであるマラウイを大干ばつが襲う。中学校に通う14歳のウィリアムは、飢饉のせいで両親が学費を払えず、退学を余儀なくされる。それでも何とか学校の図書館は利用できることになり、ウィリアムはそこで『エネルギーの利用』という本と出会う。風車で発電できれば地下水をくみ上げ、畑に水を送ることができると考えたウィリアムは、懸命に本を読み、発電する風車をつくるための研究に没頭していくのだったが…。
<感想>14歳の僕がどうやって風力発電で、未来を手に入れたのか。舞台はアフリカ南部のなかでもで貧しい国マラウイ。農村部における不作。飢餓、政治の問題や、主人公の少年の家庭における貧困や学問を掘り下げる物語である。
冒頭から登場するボロ布をまとった精霊信仰の神々が気になるし、族長を囲んだ大人たちの集会、必ず混乱に終わる政治集会など、TVや映画で観たアフリカと同じで頷いてしまう。
発明の陰に感動的なエピソードはつきものだが、学者でも研究者でもない、この映画の主人公の村を救った奇跡の実話は、少年の切実な願いがすべてであります。雨季と大干ばつが農作物を襲い、収入が途絶える。日々の食糧にも事欠くとなれば、子供たちは学校に行くことは出来なくなるのだ。
21世紀の世の中で餓死という人間がいることを知らねばならない。干し乾びた地面に、無駄と知りつつそれでも黙々と鍬を入れ続けるお父さん。その原因が、政府の腐敗、企業の森林伐採、はるか遠いアメリカで起きた9.11事件とは、何故に見も知らぬ大国同士の災いで、彼らが苦しまなければならないのか?
その強烈なメッセージと、そこで立ち上がった少年の勇気を。そういった物語に胸を締め付けられながらも、一方ではとても心躍らされたのは、この映画を描いているアフリカの大地の美しさだ。
ここまでは予想の範囲内のこと。素晴らしいのはここから先なのだ。図書館の本から独力で風力発電機で、畑に水を引くことを学び実現したのだから。現地のマラウイでの撮影が効果絶大に光っていた。感動と共に、教育の大切さを胸に刻まなければならない。
観ていて、風車と映画は相性がいい。とにかく絵になるのだ。しかも社会的にフックのある実話ベースであり、ドキュメンタリーのラインナップも充実しているネットフリックス作品ならではの、フラグは何本も立っている。
廃材を組み立てた装置は、DIY感あふれる見てくれだが、學校にも通えない中で、独学で風力発電を完成させたウィリアム少年は、いわば天才少年であります。ただし、親子ドラマに焦点が当たっているせいか、そのすごさが伝わりづらいのだ。
しかしながら、ゼロから始めた風車作りの過程を、もう少しじっくりと観たかったのも事実でありますが、ラスト、父親を超えてゆく息子の姿を眩しそうに見つめるキウェテル・イジョフォーの表情が、優しさと誇らしさに満ちていて、彼がこの映画で何を描きたかったのかが、分かったような気がしました。
それにしても、この作品を通して、どんな状況の中でも自力で解決策を見つける大切さを、改めて考えさせられました。
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