巨匠リドリー・スコット監督が、アカデミー脚本賞受賞作「グッド・ウィル・ハンティング 旅立ち」以来のタッグとなるマット・デイモンとベン・アフレックによる脚本を映画化した歴史ミステリー。
あらすじ:1386年、百年戦争さなかの中世フランスを舞台に、実際に執り行われたフランス史上最後の「決闘裁判」を基にした物語を描く。騎士カルージュの妻マルグリットが、夫の旧友ル・グリに乱暴されたと訴えるが、目撃者もおらず、ル・グリは無実を主張。真実の行方は、カルージュとル・グリによる生死を懸けた「決闘裁判」に委ねられる。人々はカルージュとル・グリ、どちらが裁かれるべきかをめぐり真っ二つに分かれる。「キリング・イヴ Killing Eve」でエミー主演女優賞を受賞したジョディ・カマーが、女性が声を上げることのできなかった時代に立ち上がり、裁判で闘うことを決意する女性マルグリットに扮したほか、カルージュをマット・デイモン、ル・グリをアダム・ドライバー、カルージュとル・グリの運命を揺さぶる主君ピエール伯をベン・アフレックがそれぞれ演じた。
<感想>だいぶ前に鑑賞し感動を受けた作品。その後、中々記事を投稿できずにミニシアターで、再度鑑賞した。豪華キャストで、リドリー・スコット監督による衝撃の実話だという。舞台は中世14世紀後半のフランス、騎士カルージュの妻マルグリットが、夫の旧友ル・グリに強姦(レイプ)されたと訴えるが、目撃者もおらず、ル・グリは無実を主張。真実の行方は、カルージュとル・グリによる生死を懸けた「決闘裁判」に委ねられる。
真実の行方は、カルージュとル・グリによる生死を賭けた”決闘裁判”に委ねられた。それはフランス国王が正式に認めた、神による絶対的な裁き。勝者は正義と栄光を手に入れ、敗者はたとえ決闘で命拾いをしても罪人として死罪となる。そして、もし夫が決闘で負ければ、妻のマルグリットまでもが偽証の罪で火あぶりの刑を受けるのだった。
実際に現代でのレイプ事件はたくさん報道されている。しかも、犯人は捕まっても死刑にはならない。泣き寝入りするしかない。それが、14世紀のフランスで、レイプの被害者でありながらも、泣き寝入りせずに自身の立場を主張するヒロインの意志の強さと、知性。妻のマルグリットを演じるジョディ・カマーのキリリとした美しさがスクリーンに映えて良かった。
国王が仲裁に入り、妻の夫と、そのレイプ魔との決闘で決着をつけるという。何とも素晴らしい、女性の地位低い時代で、強姦された妻の友達は、「そんなことは女性の泣き寝入りで、黙っていればいいのよ」なんて言うのだ。
決闘裁判とは、解決しない争いごとを命懸けの決闘によって解決するという制度のことで、当時のフランスでは、真実を知るのは神のみという理屈から、判決を神に委ねる究極の裁判として、国王から正式に認められていたそうです。
本作で描かれる二人の騎士、ジャン・ド・カルージュと、ジャック・ル・グリによる決闘裁判は、歴史上、最後の決闘裁判だったという。被害者である妻を前に、家名や妻の名誉のために決闘場に臨む夫。それを見世物にして楽しむ国王や群衆。
見どころは、男たちの決闘シーンである。妻のマルグリットは、火の見やぐらのような塔にくくりつけられ、その一部始終を見なければならない。決着がついたときに、何が起きるかの象徴でもある。もし夫が敗れたなら、彼女は翌朝生きたままで火あぶりにされてしまうのだから。
中世の騎士は、ばかでかい錫の鎧とヘルムという兜で頭部を覆っていたが、それでは前がほとんど見えないのではないか。なので、兜の半分を切り取り、誰が入っているかは判断できるようになっている。それでも凄まじい乗馬による決闘にシーンには、迫力があり当時の残虐さをリアルに表現していた。
どちらかが倒れるまで、死に物狂いで対峙するシーンには、本当に圧倒されました。一人の女を巡って、二人の男が命を懸けて戦う。だが、その実どちらの男も、女性の真実を見ようとはしていない。男性社会に対する痛烈な皮肉を込めた今日的ともいえる作品でした。
絶対に夫のマット・デイモンが勝て欲しいと願いつつ、決闘の後、マルグリットが勝者の夫と抱き合うシーンは感動ものでした。夫は何度か不利な立場になって、傷を負っても最後には勝ったのだ。
その後は、夫のカルージュは戦場へと旅立ち、妻のマルグリットは男子を出産。その子供の父親はもしかして、レイプ魔のジャック・ル・グリの子供かもしれない。だが、妻は子供を育て国を守ることで、自分の地位を見せつける。本作は、真実を追求するミステリーではありません。
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