パピとママ映画のblog

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燃えよ剣★★★

2021年12月26日 | アクション映画ーマ行

             

新選組副長・土方歳三の生涯を描き、過去に映画化、ドラマ化もされてきた司馬遼太郎の歴史小説を、「関ヶ原」の原田眞人監督&岡田准一主演の再タッグで新たに映画化。江戸時代末期。黒船の来航により、外国から日本を守るため幕府の権力を回復させようとする佐幕派と、天皇を中心にした新政権を目指す討幕派の対立が深まりつつあった。武州多摩の農家に生まれた土方歳三は「武士になりたい」という思いで、近藤勇、沖田総司ら同志とともに京都へ向かう。芹沢鴨を局長に、徳川幕府の後ろ盾で新選組を結成し、土方は「鬼の副長」と恐れられながら、討幕派の制圧のため京都の町で活躍を見せるが……。土方歳三役の岡田のほか、土方と生涯愛を貫くお雪役を柴咲コウ、近藤勇役を鈴木亮平、沖田総司役を山田涼介、芹沢鴨役を伊藤英明がそれぞれ演じる。

<感想>これまでに、新選組の土方歳三を演じてきた俳優は数多くいるが、栗塚旭(「燃えよ剣」1966年の映画版と70年のドラマ版)を筆頭に、ビートたけし、山本耕史、渡哲也、地井武男、近藤正臣、中井貴一、役所広司等々。それぞれの作品で多くのファンを唸らせ、楽しませてきたが、今作で土方歳三に息吹を注いだ岡田准一くんは、次元の異なる高みへ到達したと言っていいくらいのハマリ役だった。

だからなのか、岡田准一くん以外の土方歳三の生き様を演じている適任者はいないと感じさせる作品だった。激動の幕末で、たった6年間しか存在しなかった「新選組」がどのような末路をたどったのか、多くの人が知っていると思う。司馬遼太郎の傑作小説を原田眞人監督のメガホンで映画化する「燃えよ剣」は、徳川幕府が大政奉還により朝廷へ政権を移譲する中で、最強の剣客集団を作り上げ、最後まで戦い抜いた新選組副長・土方歳三の生き様を描いているが、一貫しているのはバラガキ(ならず者)と呼ばれていた頃から、「剣に生きる」ことに対してどこまでも誠実であり続けたということである。

武州多摩の農家出身だった土方は、バラガキと呼ばれながら武士になることを夢見て剣の道を追い求め、武士よりも武士らしく筋を通す生き方を貫いた。洗練とはかけ離れた足運び、身の丈に合わない刀を欲して姉夫婦に資金をねだるころから、戦いに疲れ、虚しさを感じながら我が身を奮い立たせ、函館で壮絶な死を遂げるまでを見るにつけ、土方を生き切ることが出来るのは、岡田くん以上の適任者はいないとすら感じさせる。

それほどまでに、剣技の構築と指導も担った岡田くんの役割は大きく、原田監督が求めるものを具現化してみせたと言っていいと感じた。 それもこれも、岡田くんをはじめとするキャスト陣が役を生き切ったからこそだが、なかでも伊藤英明が芹沢鴨を魅惑的に体現している。劇中のセリフ「俺は桜田門外で死ぬはずだった」が印象的で、死にきれなかったからこそ酒と女性に逃げ、ついに訪れた儚さが滲む散り際は見事で、爛々と輝いてさえ見えた。

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