パピとママ映画のblog

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ブラック・クランズマン★★★・8

2019年03月31日 | アクション映画ーハ行

「ドゥ・ザ・ライト・シング」「マルコムX」のスパイク・リー監督が贈る社会派実録コメディ。1970年代にあった驚きの実話を基に、コロラドスプリングス警察署初の黒人刑事となったロン・ストールワースと相棒のユダヤ人刑事が、白人至上主義団体“KKK(クー・クラックス・クラン)”に対して行った大胆不敵な潜入捜査の行方を軽妙なタッチで描き出す。主演はデンゼル・ワシントンの息子ジョン・デヴィッド・ワシントンと「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」「パターソン」のアダム・ドライヴァー。

あらすじ:1970年代前半のアメリカ。コロラド州のコロラドスプリングス警察署初の黒人刑事となったロン・ストールワースは、過激な白人至上主義の秘密結社KKKのメンバー募集の新聞広告を見つけるや自ら電話を掛け、支部代表相手にまんまと黒人差別主義者の白人男性と思い込ませることに成功する。そしていざ面接の段になると、ロンは同僚の白人刑事フリップ・ジマーマンに白羽の矢を立てる。こうして黒人のロンと白人のフリップがコンビを組み、前代未聞の潜入捜査が開始されるのだったが…。

<感想>本作の基となったのは、実際にKKK(クー・クラックス・クラン)に潜入捜査をした黒人刑事の回顧録である。それ自体で十分に突飛で興味を引く話だけれど、脚色にあたり監督は二つの捻りを加えたそうです。一つは物語にユーモアをこめること。もう一つが、主人公を取り巻く70年代の人種間の緊張を、今の状況と結びつけること。

印象的なのがラストシーンで、KKKに一泡吹かせる主人公が、痛烈なメッセージを発する監督と重なって見えて来るのだ。その先に見えてくるのは、トランプ政権下の「今のアメリカ」の姿、ひいては今の世界の有り様など、これぞスパイク・リーの真骨頂と、唸るしかない。

何と、主人公ロンを名優デンゼル・ワシントンの実子ジョン・デビッド・ワシントンが演じており、顔はあまり父親には似ていません。演技の方はこれからでしょうね。

相棒フリップを「スター・ウォーズ」シリーズのアダム・ドライバーが演じていた。コメディタッチに作られているため、喜劇と間違うような部分もあるが、決してコメディ映画では無くて、反人種差別の真面目な作品であります。

KKKは、名作小説「シャーロック・ホームズ」や「ジョジョの奇妙な冒険」などの漫画、「アメリカン・ヒストリーX」など数々の映画にも登場した「今なお、実在する」秘密結社であります。

その中に“差別対象”である黒人が飛び込めば、どうなるのかは火を見るより明らか。びくびくもので潜入捜査に入るアダム・ドライバーは、どこか飄々としていてあまり深刻な感じはありませんでしたね。ですが、ちょっと考えれば、どれだけ“無謀”、いや不可能かが分かるだろう。ですが、命を懸けてその不可能な任務に取り組んだ男たちがいたのですよ。彼らはどのようにして、あり得ないミッションを実現させたのか?・・・ そこには、驚くべき真実が隠されていたのですね。

果たして「黒人がどうやってKKKに潜入するのか?」って誰もが不思議に思うよね。つまりは、電話で黒人刑事のロンが、潜入捜査を計画し、潜入するのは白人の刑事であるアダム・ドライバーなのだ。

バレたら大変なことになると思うのに、結構図太い性格のロンが、電話で相手を翻弄させて、白人至上主義団体KKKの会員証も手に入れて、潜入するアダム・ドライバーに持たせて、それに白人刑事フリップも余り嫌だとは言わずに、話を合わせているのだから恐れ入る。

特殊なのは、KKKのメンバーであり議員のデビッド・デュークを演じたトファー・グレイスの名演技ですね。それに、もう1人強烈なインパクトがあったのが、KKKメンバーの妻を演じたアシュリー・アトキンソンですかね。それに、KKKの支部長を演じていたライアン・エッゴールドがイケメンなんだけど不気味でしたね。

興味深いのが怪しい儀式のシーンなど、KKK内部の様子も映し出され、映画では多少コミカルに描いていて、彼らはいたって真面目に活動していることを考えると何とも恐ろしいですね。そして、現在もそういう人たちがいて、決して過去の話ではないと最後に強烈に示してくるあたりが、監督の変わらない姿勢なのだと考えさせられました。

KKKにとっては、黒人もユダヤ人も差別対象内。ふとしたことから本名がバレたロンも、KKKメンバーと顔を合わせるフリップも、とにかく命がけでダマさなければならないのだ。ヤツらに気に入られて懐に入り込み、情報をつかんでブッ潰すためにも、死ぬも生きるも一蓮托生、文字通り“二人で一つ”の運命共同体となったロンとフリップの異色コンビぶりが痛快であります。

だが、潜入先のKKKのメンバーは、本気でヤバかったのです。暴力衝動に取りつかれた者とか、フリップが潜入捜査官でないかと疑う者や、危険思想に身も心も染まったメンバーの妻とか、どう見てもアブなすぎる奴らに囲まれ、ロンとフリップは無事に任務を遂行できるのだろうか?。次々に巻き起こる試練と衝撃の連続に、興奮必至!

それだけじゃ終わらせない黒人カルチャー史への並外れた知識と、切れ味抜群のブラックユーモアと、挑発的な映像と音楽のセンスを自在に操ることで、監督は白人至上主義の大元にまで鋭く切り込んでいくわけです。この作品の成功理由の一つは、重い題材ながらも、ツッコミポイントが満載なところではないかと思いました。

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