トニ・コレットとハーヴェイ・カイテルがパリに越してきた裕福なアメリカ人夫婦を演じるコメディ・ドラマ。共演にアルモドバル作品の常連ロッシ・デ・パルマ。監督は本作が長編2作目のフランス人女流監督アマンダ・ステール。
あらすじ:アメリカからパリに移り住んだアンとボブは、セレブな友人たちを招いて豪華なパーティを開くことに。ところが手違いで出席者の数が13人となってしまう。不吉な数字に慌てたアンは、スペイン人メイドのマリアを“ミステリアスなレディ”に仕立て上げて席に座らせる。大人しくしているようにときつく言い聞かせたアンだったが、緊張したマリアはワインを飲み過ぎて下品なジョークを連発。ところが、それが大ウケですっかりマリアはパーティの主役に。あろうことか英国紳士のハートを掴んでしまう。相手は大事な取引相手で、今更正体を明かすわけにもいかず、忠告を無視して恋に突き進むマリアに苛立ちを募らせるアンだったが…。
<感想>パリの上流社会を舞台に繰り広げられるロマンチック・コメディ。原題は「Madame」で、映画の内容はメイドのマリアがマダムになるまでの物語である。使用人のマリアを演じているのが、背が高くて顔がでかい迫力満点の女優さんのロッシ・デ・パルマ。ラストがマリアに希望をもたせる感じでないのが面白くない。
主人公のマダム、アンの満たされない生活を送るセレブのマダムの毎日を映していて、その主人公には、あの「 ヘレディタリー継承 」で、恐ろしい顔芸を披露したトニ・コレットが演じている。彼女には富裕層の婦人には似つかわしくないと思った。
日本に比べて欧米では階級社会を意識する局面が、はるかに多いであろうことは想像に難しくはない。それが歴史でもあるから。ですが、その事実を露骨にに示されるとやはり複雑に感じてしまう。
米欧の金持ちが集まる晩餐会のシーンでは、ドロドロした光景や不倫への誘惑、貴族への憧れや移民への蔑視などが錯綜していて、彼らの浅薄さを笑うためのシーンのように見えた。
メイドのマリアに惚れた英国紳士のデヴィッドから求愛されるハメになるとは驚きものでした。そのロマンスが面白くて、見守っていると、マダムのアンがヤキモチを焼き、結局はマリアの素性をデヴィッドに教えてしまい、格差結婚はお終いになるのだ。
手違いに端を発したドタバタ喜劇のようだが、登場人物が出そろうと、後はお決まりのパターンで展開して、話が見えてしまうのが残念。メイドを始め、主人公夫妻など達者な役者を揃えているだけに、この不発は何だかもったいない。
ストーリーよりもむしろ、夫婦の邸宅になった贋造博物館などのビジュアルが目を楽しませてくれて良かった。
それでも、この富豪のアメリカ人夫婦は、憧れのパリに引っ越してきたという設定なので、富裕さは格段上だが、衣裳からインテリア、骨とう品や古美術品、晩餐会の食器るいなど、金ピカのゴージャスさがいかにもな雰囲気を作っていた点は評価できますね。
ですが、マリアをシンデレラに例えた演出とかも最高だったし、チェスの白黒を対比にプールサイドの人間模様などなど、女流監督アマンダ・ステールのセンスを感じました。
2019年劇場鑑賞作品・・・11 アクション・アドベンチャーランキング
「映画に夢中」
トラックバック専用ブログとして、エキサイトブログ版へ
トラックバックURL : https://koronnmama.exblog.jp/tb/30380021