パピとママ映画のblog

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5パーセントの奇跡★★★・5

2018年03月20日 | アクション映画ーカ行

 95%の視力を失いながら「5つ星ホテルで働きたい」という夢のために大芝居を打った学生の実話を、「白バラの祈り ゾフィー・ショル、最期の日々」のマルク・ローテムント監督のメガホンにより映画化。先天性の病気により95%の視覚を失ってしまったサリー。

あらすじ:5つ星ホテルで働くという夢を実現させたいサリーは、無謀にも目が見えないことを隠して一流ホテルで見習いをスタートすることに成功する。周囲からの助けも借りながら、持ち前の明るさと機転を利かせ、サリーは次々とホテルの研修課題をクリアしていった。しかし、完璧かに思えた偽装計画は、ある女性との出会いによって、徐々にほころびが出るようになってしまう。主人公サリー役にコスティア・ウルマン。サリーを支える研修生仲間のマックス役のヤコブ・マッチェンツのほか、ヨハン・フォン・ビューロー、アンナ・マリア・ミューエらが脇を固める。

<感想>先天性の病気で視力を失い、ほぼ全盲となってしまった青年。けれども一流ホテルマンになるという夢をあきらめられない彼は、努力をかさねて夢へと突き進む。これって、実話を基にした作品。視力の95%を失った青年が「五つ星ホテルで働きたい」と言う夢を実現しようと頑張る青年の姿を描いている。

ドイツ映画なんですね、とんでもなくハートフルな物語は、なんと実話ベースであり、深刻な障害を描きながらも、決して湿っぽくならず、周囲の温かい愛とサリーの自身の朗らかさが映画の明るいトーンを決定的にしている。

主人公のサリヤを演じたコスティア・ウルマンのイケメンぶりに目を見張る。視覚障害を隠したまま一流ホテルマンを目指す彼の奮闘ぶりが、安易な派手さに流れない確実なタッチで描かれていくのだが、ある意味、最初から展開も結末も見えているわけなのに、思いのほか波乱万丈であり、最後まで観れました。

あくまでも個人の物語であり、障害者を擁護する社会の話ではありません。実在のサリヤ・カハヴァッテは、本作に全面協力して、最後に少しだけ登場します。もちろん綺麗ごとだけで終わるはずがなく、笑えないトラブルも次々に巻き起こり、“もはやこれまで”と何度もハラハラする場面もあります。

じつに15年間、ほぼ盲目であることを隠して接客業や調理をこなしてきたという彼は、サリヤ役のコスティア・ウルマンに多くのアドバイスをし、その想いにコスティア自身も特注のコンタクトレンズと視野の95%を奪う特殊なゴーグルを日々装着するなど、徹底した役作りで応えたそうです。

5%の視力というと全盲にちかいのだろうが、成人してから未だ日の浅い主人公の、座頭市もかくやと思わせる動きには驚かされました。抜群の運動神経と記憶力の持ち主なのだろう。

サリーと一緒に面接を受けたホテルマン候補のマックスには、ヤコブ・マッチェンツが。飲んべえで女好きの放蕩息子だが、サリーの障害を見抜き協力を申し出る。彼を支える友人のマックスのサポートがなくては、とてもじゃないが無理だっただろう。それに同僚の愛情や善意が古き良き時代を彷彿とさせている。ホテル業界やスリランカ系家族の生活の裏話(父親が出て行った)も面白く、一ひねりしたハッピーエンドも余韻を残して悪くなかった。

それに、恋人のラウラのアンナ・マリア・ミューエ。キュートなシングルマザーで、ホテルに野菜を納品している業者の娘として、サリーと知り合うも、彼の目のことには気づかずに交際していた。これも、バレないのが不思議なくらいでしたね。

サリーたち研修生の指導を担当するホテルの鬼教官のクラインシュミットには、ヨハン・フォン・ビューローが演じていて、特にサリーには辛く当たり、ワイングラスを布で拭き取る作業では、居残りさせて何度も陰湿で執拗なしごきを続ける。目で確認できないグラスの曇りを、音で感じる勘の良さには驚いた。

時には自分を見失いながらも、大好きな仕事とキュートな恋人のために奮闘し続けるサリーに元気をもらうこと必至ですから。新しいタイプのサクセス・ストーリーでもある。

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