9年で9度死にかけた不思議な少年の物語を描いたベストセラー小説を映画化。「イングリッシュ・ペイシェント」の故アンソニー・ミンゲラ監督が映画化を望んでいた企画で、ミンゲラ監督の死後、息子で俳優のマックス・ミンゲラが、プロデューサー兼脚本家として映画化を実現した。少年ルイを演じるのはオーディションで選出されたカナダの子役エイダン・ロングワース。担当医パスカルに「フィフティ・シェイズ・オブ・グレイ」のジェレミー・ドーナン。監督は「ホーンズ 容疑者と告白の角」のアレクサンドル・アジャ。
あらすじ:少年ルイ・ドラックスは、大変な難産の末にこの世に生を受けてから、ルイは0歳で全身骨折、5歳で感電、8歳で食中毒など、毎年命を危険にさらす大きな事故や病気に見舞われており、こん睡状態に陥ったルイを助けようとする医師パスカル(ドーナン)の周りでも次々に不可解な事件が発生。そして9歳の誕生日に崖から転落したルイは、ついに意識不明の重体になってしまう。担当医のパスカルは必死にルイを救おうとするが、両親やパスカルなど周辺の人々の身に、不可解な出来事が次々と起こり……。ルイの父親ピーター(ポール)は行方不明となり、母親ナタリー(ガドン)のもとには差出人不明の警告文が届く。ルイは何者なのか? 不可解な事件はなぜ起こるのか? 秘密を解き明かそうとするパスカルは、予想だにしなかった真実へとたどり着く。
<感想>病院のベッドで眠る続ける少年の数奇な人生と、そこに隠された衝撃的な真実をスリリングに描き出している。9歳の誕生日を迎え、両親と共に海辺のピクニックへ出かけたルイが、断崖絶壁から転落して意識不明の重体になる。しかも、ルイは過去に8回も生死の境をさまよう事故や病気を経験していた。あまりにも不運なルイの命を救おうとする精神科医Dr.ペレーズ(オリバー・プラット)は、彼の秘密を探るのだが、・・・。
ルイの担当医パスカル、美しい母親ナタリー、失踪中の父親ピーター、精神カウンセラーらが織りなす人間模様に加えて、巧みな心理病描写や神秘的なビジュアルにも魅了されます。
何も知らずに予備知識なしで見始めたもので、どういうジャンルの作品なのか段々と分からなくなっていく。かなり変てこりんな映画だと思ったのだが、ツボにはまってしまい最後まで目が離せなくなってしまう。
ルイを演じた少年が可愛いらしくて、口が達者で頭がいいので、母親のこれからするであろう出来事を感じ取ってしまい、自分からおのずと崖下へと落ちて行ったのだから、まかり間違えれば死んでしまっても不思議じゃない。
見る者を惑わす名演技をしている子役エイダン・ロングワースくん。果たしてこの驚くべき子役が体現したルイは、天使なのか、それとも悪魔なのか。昏睡状態のルイの頭の中や心の闇を映像化した“水”や“怪物”をモチーフにした幻想的なイメージが神秘的。
息子のルイは昏睡状態のまま、義父のピーターを慕い、それは海の中でルイが泳いで洞窟の中へと、そして怪物となった父親と出会う。ピーターを嫌ってなどいないし、父親もルイに対して虐待などはしていなかった。
つまりは、母親が若い頃に乱暴をされて妊娠をし、その子供がルイで、本当は産みたくなかったのだろう。それからは、自分の子供を虐待をして、死に至らしめる行為を繰り返すも、ルイは死ななかった。
義父のピーターは行方不明というが、妻に追い詰められて自分で足を滑らせて落ちたらしい。その後、骨折をして生きていたが、崖の穴に入り命が何日かあったらしいのだ。警察が発見をして、解剖してからそう分かったらしい。父親が、息子を先に崖から落としたとなっていたが、それは間違いであったことも。
映像では、ルイの看病のため病院に泊まっていた母親ナタリーを、医師パスカルが訪れるのだが、彼女はバスタオル1枚でシャワーを浴びたばかりのナタリーの姿に心を奪われるパスカルの姿があり、どうみても誘惑をしているかのように見える。「男では散々な目に」と語るナタリーに、パスカルは「男が全員、悪人なわけじゃない」と情熱的に語りかけ、燃え上がった2人は互いを激しく求め合う。これがミステリアスな物語を加速させる重要なシーンとなる。実は義父のピーターにも妻がいたのに、美しいナタリーに強引に誘惑され、妻と別れてナタリーと結婚をしたのだった。
ラストが凄い、美しい母親のサラ・ガドンが綺麗で、精神病院に入った母親に面会をするパスカルの前に、お腹の大きなナタリーが微笑んでいる。
ゆえに、人間はいかにビジュアル的な要素に左右されている生き物なのか、肌で痛感させる説得力が半端じゃなかった。
確かにミステリアスな展開だが、語り口がファンタジックになっているので、シリアスな心理劇のようだと思っていたら、何だか「怪物はささやく」みたいな感じのする映像が出てきたので、これはと思いましたね。
どんでん返しというか、オチがしっかりとしているだけに、そこに辿り着くための表現として、物語の手法が弱く感じました。ミステリーとファンタジーの融合を狙ったのだろうが、その意図は裏目に出てしまったようですね。
ミステリーの倫理を積み重ねた緊迫感も、ファンタジーの奔放なイマージネーションも共に希薄になっているし、何だかミステリアスな感じが伝わってこなかった。台詞の説明が多く映像的な面白さが少ないのも残念ですね。
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