パピとママ映画のblog

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春を背負って ★★★

2014年06月19日 | は行の映画
日本映画界を代表する名カメラマンであり初監督作『劔岳 点の記』が絶賛された木村大作による人間ドラマ。笹本稜平の小説を原作に、これまでの生活を捨て亡き父が遺(のこ)した山小屋を継いだ青年と、それぞれに居場所を求め小屋に集う人々との交流や家族の絆を描く。山での暮らしや父を知る人々と接するうちに成長していく主人公を、松山ケンイチが熱演。共演には蒼井優、小林薫、豊川悦司ら実力派がそろう。立山連峰で長期ロケを行い山々の光景を映し出した映像は圧巻。
あらすじ:立山連峰で暮らしてきた長嶺亨(松山ケンイチ)は、山小屋を経営する厳しい父・勇夫(小林薫)に反発し都会で暮らしていたが、父が亡くなったため帰郷する。そこで気丈に振る舞う母やその姿を見つめる山の仲間、遭難寸前で父に救われ今は山小屋で働く高澤愛(蒼井優)らと接するうち、組織の歯車として働く今の生活を捨て山小屋を継ぐと決める。

<感想>木村大作監督の『劔岳 点の記』は未見ですのでレンタルして鑑賞します。それで、2作目となるのも立山最高峰の大汝山(3150m)での撮影と山頂付近にある山小屋大汝休憩所を、菫小屋と見立ててロケをしている。
物語もさることながら、日本映画界を代表する名キャメラマンである監督なので、何と言っても四季の移り変わりの立山最高峰の、大汝山の美しい風景美であろう。冬の厳しい雪景色と室堂の雪の壁(これは黒部ダム旅行に行ったときに、室堂の雪の壁を見学しました)春には花が咲き、新緑が綺麗。それに秋になると朱色のナナカマドだと思うのですが、山一面に紅葉してそれは見事です。時おり顔を見せる雷鳥も夏毛には茶色で、冬には真っ白になる保護色でこれも名物ですね。

始めに、父親と子供の頃に登る大汝山。まだ雪深く春には遠い。一歩一歩と足を踏みしめて登る幼い亨と父親の勇夫。山小屋に着くと小屋の中は冷凍庫のように凍り付いており、父親にしてみれば好きな山登りと救助も兼ねて山小屋を営むのだろう。それは、目にも輝く朝日のご来光とか、雲海の流れ、夏の間は、山小屋で暮らす父親に対して息子の亨にしてみれば、山に対する感動とかは無いのだろう。

都会で株のトレーダーとして、スーツ姿で働く息子の元に父親の急死の知らせが来る。葬式の後に山小屋をどうするのか聞かれる息子だが、答えがすぐには出てこないのだ。母親にしてみれば無理に山小屋を継ぐことは無いというのだ。檀ふみさんの母親は、優しさに満ちたそんな演技でした。それでも、亡くなった父親と一緒に働いていた山男の吾郎さんと、愛ちゃんにしてみれば、そのまま父親の意志を継いで息子にやって欲しいのだ。

願いが通じたのか、吾郎さんと段ボールに入った食料を菫小屋まで背負って登る二人。ただの山登りとは違って、肩にかかる重量たるや、それに頂上近くには絶壁のような岩山がそびえており、ロッククライミングのような角度を荷物を背負って登る苦労は大変なことですね。

山男の悟朗さんには、豊川悦司さんが演じていて、エベレスト登山の時に頂上まで登れず、そこへ白い鶴が飛んできて軽々と頂上を超えていったという話をする。そして、山岳救助隊の吉田栄作さん、久しぶりに観ました。

亨も山小屋生活に慣れてきて、山小屋に個室を作ろうと計画するも、学生さんの滑落事故とか、悟朗さんが脳溢血で倒れ、3時間以内に病院へ運ばないと後遺症もしくは死の恐れもあるというのだ。

クライマックスの松山が豊川を背負って下山するシーンでは、雪の山を見事に松山が、豊川を背負って歩いているのに驚く。

それに、愛ちゃんを演じる蒼井優の明るい性格に癒され、最後にはプロポーズをするシーンもあり、ほんわかムードで良かった。山を愛する人たち、山岳救助隊のことは、小栗旬さん演じる「岳」で、大変な仕事だと感じて、「山を甘く見てはいけない、山を舐めるなよ」って、自分だけ一人で気楽に山登りしていると思ったら大間違いですから。
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岳―ガク