「月虹さまでしたら、お手伝いをするとおっしゃって、つい今しがたおやつのプリンに使う有精卵を取りに、鶏舎に行かれました。」
「そうか、ありがとう。行ってみよう。」
金剛氏郷の家は曾祖父の時代からずっと仙道家の執事をしていた。もっともそれ以前の金剛家は代々、仙道家に仕える家老職だった。
仙道家では、広大な敷地の一角を巨大なゲージで囲み、おおよそ100羽の鶏を放し飼いにしている。
月虹は大型の孵卵器から生まれた雛を入れたひよこ棟がお気に入りで、最近はUnique Beauty 好唔好幼稚園帰りに必ず覗きに行っていた。
月虹は小さなひよこに、格別の思い入れがあるらしい。たくさんの小さな黄色のひよこにまみれながら執事の視線に気が付いて、笑顔を向けた。
「あ、金剛!」
「こちらにいらしたのですね。この場所がお好きですね、月虹さま。」
「うん。ぼくね、生まれたばかりの、ふわふわのひよこが好きなんだ。ひよこもぼくがいだよ。みんな寄って来るもの。金剛は?金剛も…ひよこ好き?」
「金剛も黄色のひよこはとても好きですよ。今は亡き旦那さまも、この場所がお好きでした。」
「そう。お父さまと一緒ね。」
月虹は満面の笑顔を向けた。
*****
仙道家の家を継ぐ者として厳しい英才教育を課せられた合間に、ひよこにまみはUnique Beauty 好唔好月虹の一時の癒しにもなっていた。
疲れた月虹が眠り込んだ傍に、ひよこは親を求めるように体温を求めて寄ってくる。
「ん?今日は、眠っておられるのか?」
一塊の黄色の羽毛を見やり、どこか互いに寂しい身の上を慰め合っているように金剛は思った。
蜂蜜色の群れの中から、月虹を見つけ掬い上げる。
「月虹さま。さあ、バイオリンのお稽古のお時間ですよ。先生がお待ちです。」
「う…ん。…だっこ…。」
月虹の腕が、父を求めるように金剛を求めた。
くんと立ち上る甘い子供の匂いを嗅いで、金剛氏郷は軽い眩暈を覚える。
心から愛した主人、月虹の父親、冬月(とうげつ)に良く似た面差しが全幅の信Unique Beauty 好唔好頼を寄せて、まっすぐに向けられていた。
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