●第13の議定
彼らに事情を悟らせないために、我々は更にマス・レジャ-を盛んにする。やがて我々の新聞で芸能、スポ-ツがもてはやされ、クイズも現れるだろう。これらの娯楽は、我々と政治闘争をしなければならない人民の関心を、すっかり方向転換させてしまう。こうして人間は次第に独立して自ら思索する能力を失い、全て我々の考える通りにしか考えられないようにする。そのとき表面的に我等と関わりのない様なものによって、彼らに新しい思想を提供する。
我々の権力が確立されれば、自由主義的空想家の役割は終わりを告げる。だがそれまでは彼らは大層我々の役に立つ。我々は彼らが進歩的だと思い込んでいる空想論へ人民の考えを導いてきた。つまり我々は進歩と言う言葉を用い、お粗末な非ユダヤ人の頭脳を狂わせたのである。物質上の発明に当てはまる以外、進歩と言う言葉は真理を覆うものだ、と非ユダヤ人と誰一人として気付いていない。
元々真理は唯一あるだけで、この世に進歩の余地などあろうはずがないのだ。神の選民である我々にしか認められない真理を、この誤った思想の進歩が覆い隠すのに役立っているわけである。我々の時代が来たとき、今まで世界を攪乱に陥れ、遂に神聖な律法に服させた大問題を、我々の雄弁家が説明するだろう。全てのことが幾世紀にも亘って我々の計画で謀られたことを誰も気付かなかったが、そのときこそはっきりするに違いない。
●第14の議定
数世紀にも亘る攪乱の後、ようやく得た平和であってみれば、なおのこと、我々の支配の恩恵が分かろうと言うものである。非ユダヤ人の政治の欠点をあますところなく描き出し、悪政への強い嫌悪の情をそそる。それで人民は名目だけの自由の権利より、安楽に暮らせる奴隷の方がましだと思うようになる。まったく自由の権利は長い年月人民を苦しめ、生活の道を奪い、自らの罪を知らぬペテン師どもの搾取を欲しいままにさせた。
我々が非ユダヤ人の国家を覆すために、幾度となく彼らをそそのかして起こした無意味な革命に、彼らはもううんざりしているので、彼らはなんでも我慢する。そこで我々にどんなに奴隷のように扱われても、闘争や暴動の残虐さだけは真っ平だと考えるわけだ。我々はいわゆる先進諸国において、不道徳な、劣悪な偽文字を創っておいたがね我々の世界支配後も、しばらくこれを放っておくだろう。それは我々の崇高な理想と、この醜悪のコントラストを際だたせるためだ。非ユダヤ人の指導のために教育しておいた我々の賢者たちは、演説、計画、回想録などを書く。それで民心に勢力を扶植し、我々の学問と思想の方向へ導くのである。
●第15の議定
我々が世界各国に革命を同時に勃発させ、現在の政府の無力さが決定的になったときから、我々の時代が始まる。だがこれにはまだ相当の歳月、おそらく一世紀を要するだろう。しかし我々の権力が確立した暁には、我々に対して、反逆が起こらぬよう警戒しなければならない。武装蜂起するものどもは容赦なく皆殺しにしてしまう。新しく秘密結社を設ける者も同様に死刑にする。政府が基礎を固めるには、権力の威光を強めなければならない。
ところが神秘的で揺るぎない権力の自覚が最も高まるのは、例えば「神の選民」と言うように、その源泉が神から発している場合だけである。ロ-マ法王庁を除いては、最近までこうした威力を持っていたのは帝政ロシアであり、だからツア-はロ-マ法王と共に我々の最大の敵であった。我々が公然と世界の支配権を確立した時には、その成果をふまえ我々の恩恵を示すためにも、一切の法律を変革するだろう。
我々の法律は簡潔明瞭、それに確定的であり、あれこれ迷うこともない。だから誰でもこの法律を正確に理解出来るのである。我々の法律の最もはっきりした特徴は、わが権力への絶対服従だ。やさしいという徳性は家庭生活にふさわしいものだが、公的生活に持ち込まれてはならない。
●第16の議定
大学は我々以外の力を結集する第一の場所だからこれを廃止する。その上で新しい綱領に基づく新大学を創設しよう。学長や教授は精密な秘密計画によって養成し、この計画の枠から一歩もはみ出せないようにしておく、彼らの任命には特別注意を払い、我々の政府に完全に従属させるだろう。
政治や国法の問題は、全て教育課程から除かれる。これらの科目は優秀な人物の中から選りすぐったごく少数にだけ教える。大学は悲劇や喜劇の文学でも書くつもりで、憲法草案をこねまわしたり、彼らの父親さえ分からなかった政治問題にクチバシを入れるような青二才を、その門から出さないようにしなければならない。愚かな民衆が、浅薄に政治問題を研究するから、空想家や不逞の人民が生まれるのである。もっとも過去においては体制を崩すため、我々自身が彼らの教育に革命の種子を植え付けたのであった。だが我々が権力を握ったからには、破壊活動の要因を作るような教課科目は悉く外してしまう。
我々は青少年を当局に対し従順に育て、支配者を敬愛し、平和と安らぎを支柱として信頼させるようにする。我々は古典と歴史の研究を廃し、未来社会の研究に目を開かせる。我々は人類の記憶から我々に都合の悪い歴史事実を抹殺し、非ユダヤ人政府の欠点を目立つように描いたものだけを歴史にとどめておく。彼らの思索力を隷属化させることは、既に「視覚教育」と称する方法で始められている。この視覚教育の主な狙いは、非ユダヤ人全てを、脳を働かせただけでは物が考えられず、絵を見なければ何も理解出来ない従順な動物にすることである。
●第17の議定
我々の同胞は、現在もユダヤ人の信仰や道徳の掟に背いた者を、全て長老会議に申告する義務をもっているが、未来の我々の世界王国でも、これと同じ様に全人類に犯人告発の名誉ある義務を負わせるのだ。こうした方法で我々が意識的に非ユダヤ人社会に広めておいた職権濫用、贈収賄と言った諸悪を絶滅する。
そんな弊害を自ら普及しておきながら、と言うかも知れないが、それ以外に彼らの政治、社会を混乱させる。どんな有効な手段があったろうか。混乱助長の最も重要なポイントは、秩序維持を果たさなければならない高級官僚たちを、彼らの悪癖、つまり偏狭性と権力の濫用、特に収賄を盛んにさせたことである。
●第18の議定
わがユダヤの王は目に見えない護衛だけで守られる。我々の王が陰謀を怖がって身を隠すのだと言った考えさえ人民どもに起こさせてはならない。それでは非ユダヤ人支配者と同じことで、王又はその後裔に対し、近い将来の死刑宣告になってしまうだろう。王を外面的に警備力で防衛するのは、その権威の弱さを露呈したものだ。我々の王が人民の中を巡察するときは、我々は偶然そこにいた物好きな群衆を装ってさり気なく王の周辺を取り巻き、いわゆる群衆はあまり接近させないようにする。
こうした模範を示すと人民もやがい静かに慎み深い態度をとるようになる。もっとも誰かが人垣を掻き分けて王に請願書を差しだそうとしたら、前列のものがそれを受け取り、皆んなが見ている前で王に取り次がなければならない。そうすることによって人民は請願書が王に披見され、王自ら国務に関心を寄せられることを知る。権力の威信は人民が「王はご存知なのか」とか「王が分かって下さるにちがいない」と確かに言える時にだけ保たれるものなのである。
続く
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