■ブログのご紹介
秋田県横手市の浅舞八幡神社で神職をされている本多さんのブログ『惟神の道』で、私のブログを紹介していただきました。有難うございました。私もブックマークに『惟神の道』を登録しました。
神社や神道の話題だけでなく、仏教やキリスト教などの話も交えて興味深い内容となっていますので興味のある方は是非ご訪問ください。
さて、少々遅くなってしまいましたが今日の話題は端午の節句にちなんで、柏餅と粽の話題です。
■柏餅と粽(ちまき)
柏餅は何故、柏の葉で巻かれているのか。まずは柏餅の由来のご紹介からです。
柏の葉は新芽が出ないと古い葉が落ちません。これを「子が生まれるまで親は死なない」つまり「家系が途絶える事なし」という風に縁起をかついだという説があります。端午の節句はもともと男の子の健康と健やかな成長を祈る行事でしたので、男子が絶えない様にという昔の人々の願いが込められているのでしょう。
粽は中国の楚国の屈原(くつげん)の故事にちなみ、「災難を避ける」という意味があるそうです。端午の節句の行事は中国から伝来したもので、粽も中国から伝わってきたとされています。柏餅を食べるようになったのは江戸時代の頃で、これは中国伝来ではなく、日本独特の食べ物のようです。
ちなみに「菖蒲湯」は菖蒲の音が「尚武」や「勝負」に通じるからとされています。もっとも菖蒲の葉は香りも良く、健康に良い成分が含まれていて温浴には最適なんだそうです。
と、ここまでは一般的な説なので、もう少し柏餅と粽について考察をしてみることにいたしましょう。
■柏の葉の霊力
古代、我々の祖先は柏の葉を食器代わりに用いていました。柏の葉には防腐、殺菌作用があり、食物を盛ったり、包むことは非常に理に叶っているのです。古代人は柏の葉の持つ不思議な力を認め、柏の葉を神聖化してたようです。
神社の紋章を「御神紋」といいますが、柏の葉を御神紋とする神社も多く見られます。宗像三女神で知られる福岡の「宗像大社」の御神紋は「柏の葉」であり、境内にある御神木は「柏の木」です。また神社参拝の際に「柏手」(かしわで)を打ちますが、柏の葉が手の形に似ている事と、柏の葉の霊力で邪気を払うといった意味も込められていたのではないでしょうか。
■茅の葉の霊力
一方、粽はもち米粉や葛粉などで作った餅をイネ科の茅(ちがや)や真菰(まこも)でまいたもので、中国で使用した粽の字に和名の「ちまき」を当てたものだと思われます。茅や真菰などの葉には防腐作用があるため古来より餅や飯を包むのに用いられました。ちまきとは「茅巻」であり、これが本来の語源ではないでしょうか。
柏の葉と同様に古代人達は茅や真菰にある不思議な力を神聖化していたようです。その事例としては、神社の神事にある「茅の輪くぐり」(茅草で作られた大きな輪)や、全国2万5千社ある八幡神社の総本宮、大分の宇佐神宮では、八幡神の神幸に御験(御神体)として神輿に菰で作った「菰枕」が乗せられたという記録からも見て取れます。
※「茅の輪くぐり」の由来については「神社と神道」ホームページをご参照ください。
■守り伝えたい祖先の祈り
端午の節句は、本来は中国から伝来した習慣ですが、日本に古来から伝わる知恵を加え、日本独特の習慣を生み出してきた、祖先たちの叡智には驚くばかりです。
私が子どもの頃、菖蒲湯に入りながら、父が菖蒲の葉っぱで鉢巻をしてくれたことを思い出します。私も親になって、菖蒲湯につかりながら、父が私にしてくれたように娘の頭に鉢巻をして、健やかな成長を祈りました。おかげで娘は男の子に負けないほどの元気な中学生に育ちました。(笑)
子ども達の健やかな成長と幸せを願うという、祖先たちが作り上げて来た美しい習慣を、絶やすことなく、永遠に受け継いでいきたいものです。
Copyright:(C) 2006 Mr.photon All Rights Reserved
どうする?子供のお祝い―命名・お宮参り・端午の節句・ひな祭り金園社このアイテムの詳細を見る |