人生で着物を着たのは自分の成人式と姉の結婚式で着た振袖、そして親戚の結婚式で着た留袖のみ。
婚家は国籍が違うので着物はノータッチ。でも結婚する時に一式ちゃんと持たされてはいる。
これが私の状況でした。
母が亡くなり、どうやら箪笥に大量に着物があるようだぞ、どうしようと姉と顔を見合わせて「ちょっとしばらく置いておくか」と見ないようにしていたのが3年前。
そんな最中、私はこの夏見てしまったのです。
ショッピングセンターに入っている着物屋さんの「着物相談会」的な広告を。
そこでふと足を止めると店員さんがニコニコしながら出てこられて目が合ったのが運命でした。
「ちょっと相談していいですか…?」
と現状説明と今後の質問をしたわけです。
そこからが怒涛の着物ロードの始まりでした。
直して着られそうなら着付けを習う、と宣言して、とりあえず持って来てみます、と日にちを相談し、お盆に実家に帰ったときに箪笥から全て引っ張り出し。
たまげるほどあってちょっとドン引きでしたね。
そして父は「そんなにあった⁈」と驚愕です。
いつの時代も着物は夫には全貌を見せないのが妻のやりくちなんでしょうね。
…今の私がそうなので。
母は自分が和裁をやっていて自分で仕立てていたので余計に好きなほど作っていたのかもしれません。
ほとんどが仕付糸ついたままだったし。
「作る」という行為が大好きだった母らしいな、と思いました。
引っ張り出した中には子供用の着物もありました。
七五三で私と姉が着たのだろうと思います。
大事に取っていてくれたんだなぁとしみじみ。
大量の着物を数時間かけて「これは手直ししてでも取っておいた方がよい良いもの」と「これは…もう無理かな」と「これとこれ組み合わせてリメイクしたらいいかもー」に分けて貰って、驚愕の直し金額に青ざめて夫に「一生のお願い」を発動したりしながら、私の着物ロードは始まったのです。