ポピータイム 

しあわせへの近道・周り道・散歩道 ー変わらないで欲しい大切なものー Kurara 公式ブログ

とんぼ

2024-09-26 20:31:00 | 
とんぼを追いかけた

小さくて白くて
きれいな糸とんぼ

背の高い雑草をかき分けて
静かに静かに近づいて
つかまえてみる

「放して」と小さな可愛い声
すぐさま空に向けて放してあげる

糸とんぼの声は
糸電話に繋がって
「ありがとう」と聴こえてきた



2012-08-22 09:23:06筆〜雨と星と宇宙と〜より
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湯河原の海

2024-07-28 15:05:45 | Kuraraストーリー
都会育ちの私には田舎がない
夏になると決まって湯河原の海へ行った
そこにはおじいちゃんのお姉さんが住んでいた
山のてっぺんに大きな家を持っていた
そこに泊まって、そこから、毎日、海まで行く
山のてっぺんから途中まで、てくてく歩いて
おじいちゃんの妹が住んでいる途中の家で小休止
そこで、親戚と待ち合わせをして、車で海まで連れてってもらう
それが、お決まりの私の夏の海

湯河原の海の波はいつも高くて
小さい頃、私が沖に行ける事は、一度もなかった
波打ち際で遊んでいるだけ
それでも夏の海は最高で真っ黒に日焼けするまで砂浜で遊んだ

大っきな波が小さな私には怖かった
その波を、いくつも超えて、また超えて、遠くに泳いで行く父を砂浜で見ていた
「波の向こうは波がない。静かなんだよ。」という父の言葉が分からなかった

4年生になった夏だった「沖まで一緒に行ってみるか?」と父が言う
私は、泳ぎが得意ではないから、ためらったけど、波のないところを見てみたかった
浮き輪を付けて、父と一緒に、大きな波をいくつも越えて沖に出た
「もう大丈夫だぞ!」と父の声とともに、ザブーンザブーンの波が無いところに辿り着いた
ただ、足は、つかないから、怖かったけど、本当に静かな海だった
砂浜から見てる海とは、全然違っていて、水も、自分の足が見えるほど、きれいだった

私は、泳いでみたりもしたけど、ほぼ浮き輪の中でぷかぷかしていた
父はというと、仰向けに、まるで普通にお家に居るように、上をを見て「気持ちいいだろう!」と言う
父は、何時間でも、そうして浮いていられるのだと言う
静かな波にゆらゆら揺られながら、目を開ければ、一面、真っ青な空に包まれてる
いつも、2時間は、岸に帰ってこない父は、こうして、空を見て休んでいたのかとわかって
父の秘密を知ったような感覚で、不思議な気持ちになった
その時は、表現の仕方が、わからなかったけど、「男のロマン」を感じた瞬間だった

大きな波の湯河原の海は、ザブーンザブーンと音を立てては、私を驚かしていたけれど
静かな沖での流れた時間は、小さな波に揺られながら、まるで時間が止まったような、
ちょっっぴり、こわさも含み、不思議な感覚になったのを覚えている

沖で見た、空と海は、まさに、スカイブルー!!
いまでも、鮮やかに、心に映る夏の想い出になった


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雨の日の花嫁

2024-07-11 20:18:00 | Kuraraストーリー
小学4年生の頃だった。
表紙に紫陽花が描かれていて「雨の日の花嫁」
というタイトルだったかと思う・・・漫画本だ。

私は、漫画本が苦手で、買うことがほとんどなかった。
ただ、紫陽花がとてもきれいで「雨の日の花嫁」という文字に惹かれて、
その漫画本を手に取り、すぐに買った。

6月は、梅雨で雨が多いけど、なんといっても、ジューンブライド!
小さなわたしは、すぐに憧れた。
その漫画本には、”雨の日にお嫁さんに行った人は、幸せになれる”
という内容が書かれていた。
雨が、好きだったわたしは、納得の満足感!!
絶対に、雨の日にお嫁さんに行こうと思った。

幸せになるために、6月にお嫁さんに行くのか・・
雨が多いから、ジューンブライドが有名になったのか・・・と
いろいろ考えながら、なんだか嬉しくて、ひとりで、にこにこしていた。
ジューンブライドは、違う。。と大人になってから、分かってがっかりしたけど、
6月の花嫁が幸せになれる。というのは、ローマ神話からきているので
大人になっても、本当だ!と思える私だった。

実際、大人になった私の結婚式は、大晴れ、見渡す限り雲ひとつなく・・
「あーぁ、晴れちゃった」と心の中で思った。そして、6月ではなく12月だった。
なぜ、6月にしなかったのかな・・・・

” 次は、6月に!!雨の日に!!ぜったい!!”
なんて、子供にかえったように、弾んで思えて、懐かしい想い出に感謝。


「雨の日の花嫁」その漫画本は、いつの間にか手元からなくなっていた。
きれいな紫陽花と花嫁さんの表紙は、今でもはっきり覚えている。
いくつになっても、強烈な印象が残ってるものは、忘れない。これからも忘れない。
だから、『次は、6月にね。雨の日にね。』と自分にそっと語りかけた。


*日本のジューンブライドは、ブライダル業界が、6月雨季に式をあげる人が少ないため、
 1970年代ごろから始めた物だという。私が購入した「雨の日の花嫁」も1970年代。
 ブライダル業界からの薦めで、作家が書いた物かもしれない。
 
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梅雨空の下の小さなお庭

2024-07-04 20:08:08 | Kuraraストーリー
5歳の時、小さな貸家から、ほんの少し大きな貸家に引っ越しした。
ほんの少しだから、結局は、小さな貸家になる・・・
そこは、幼い私にとって、秘密基地のような、夢いっぱいの家だった。
こんなに大人になって、想い出してみても、ワクワクするほどだ。

まず、玄関が広い!2枚扉でガラガラと引き戸になっている。
一枚ドアの玄関の倍の広さがある!!もちろん横幅だけではあるが・・
そこを入ると、段々と2回、段をのぼり、ガラス戸を開け部屋に入る。
幼いわたしは、段をのぼるのに、一苦労したが、そこがまた、
すごく大きなお家のお嬢様になった気分で、ぴょんぴょん跳ねて大喜びした。

そして、秘密基地だ!!
玄関の脇に、木戸があり、木戸を開くと、細い路地の入り口になっている。
足元の地面は、しっかりとした土だった。
路地の途中に、洗濯機置き場があり、左横に振り向くと小窓。
小さな台所についた小窓で、そこから、こちらを見下ろせるようになっている。
小窓から、洗濯機がグルグル回っているのを眺めるのも好きだった。
段々と2回上がっての部屋だから、だいぶ高く家が建てられている。
お陰で、格好の縁の下もあるのだ!!もちろん、小さな私は簡単に潜れた。

その路地の突き当たりは、左に曲がり、曲がると6畳くらいのお庭・・?
トタン屋根が付いてるから、お庭というより、物置き場だったのだろう。
でも、子供の私には、雨の日も遊べる場所で、しかも土がある。
ちょっとした、泥んこ遊びが、裕にできる絶好のお庭だった。

トタン屋根のお陰で、雨の降り具合が、すぐにわかるのも楽しかった。
ドンピシャドンピシャと賑やかな音の時は、かなり降っている。
でも!でも!
私は、そのお庭で、地面に絵を描いたり、土で、かたいボール球を作ったり、
路地から、6畳ほどの小さなお庭まで、駆け抜けたり、電車ごっこをしたり・・・
雨でも、なんでも出来たお庭だった。そこは、まるで秘密の遊園地のようだった。

8畳と3畳間、2畳程度の台所の小さな家に付いてた物置き場は、
梅雨空の下の小さなお庭となり、たくさんの雨の音を聴かせてくれて、
たくさんの夢を育ててくれたように思う。

私は、いつも、台所の小窓の下に、踏み台を置き、洗濯機置き場を覗いては、
洗濯機がグルグル回る音を聴いていた。
幼い私は、洗濯機が回っている間は、路地に行ってはいけないと言われていたのだ。
だから、台所の小窓から覗いては、ずっと、見ていたのだった・・・そして、、
そこにも、確実に夢が広がっていた。洗濯機のグルグル音が、まるで前奏曲のように。

梅雨空の下の小さなお庭に行けるのは、洗濯が終わってからなのだ!!
私は、洗濯機が止まると、急いで踏み台から降りて、夢いっぱいの路地裏に走ってゆくのだった。
お天気が良い日も、大活躍した梅雨空の下の小さなお庭は、小さな私の秘密基地になっていた。

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セピア色の写真たち

2024-06-29 12:00:08 | Kuraraストーリー
セピア色ではないのに、セピア色に染まってる写真
わたしの小さな頃の写真たちだ
紙に映し出される写真だ
今は、デジタルで加工もできるのだろうが
この本物のセピア色に染まった写真には勝てないと思う

時間と共に映し出される紙の写真
なぜか、湾曲してくるのが不思議だ
そこに、映ってるのは、幼い自分、そして、とても若い父
私は、転げるかのように笑ってる
三脚を立てて、慌てて私の隣に走って来る父の姿が面白かった
そう、記憶してる
「あー失敗だ!!」と何回か繰り返されたのも
幼い私には、とても面白かった

一枚の一場面の写真から色んなことが回想される
全部ではないけれど、いくつになっても、幼い頃のことを
こんなに鮮明に覚えてることがあるのが不思議だ

父が写真機を持ち、お出かけとあって、私は、一張羅のおめかしをしている
わくわくしながら、着替えをして、父の車に乗り込んで
「早く!早く!」と云っていた自分
『さぁ!出発するぞ!!』
エンジンをかける父の声が、すぐそこに聴こえてくるようだ

セピア色の写真たちが、色褪せない想い出を連れて来てくれた



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