一 万葉集の歌のなかには、いまだに訓みの定まらない歌がある。訓みが定まらなければ、歌全体の完全な理解には至らない。巻九の高橋虫麻呂歌中から出たとされる龍田山歌群もその一例である。 春...
「万葉の歌びとたち」の第Ⅲ章は山上憶良論が中心であるが、最初の文章は「天平...