１２月２１日「しごとのトラブル、解決しよう」報告

■「しごとのトラブル、解決しよう。～メモする習慣があなたを救う～」開催！！

　去る１２月２１日、代田区民センターにてイベントを行いました。今回のイベントは労働法分野に詳しい笹山尚人弁護士、労働相談に長年取り組んでいるＮＰＯ法人の労働相談センター、高校生・大学生など多くの若者が主体的に活動に取り組んでいる日本マクドナルドユニオンとたくさんの方をゲストにお招きしました。２００８年は内定取り消し問題、名ばかり管理職問題、派遣切り問題など、多くの労働問題が社会的に認知された１年でした。こうした課題に最前線で取り組んでいる様々な団体が集まり、これらの問題がどのようなもので、それに対して私たちはどのように立ち向かっていくことができるのかを具体的に議論でき、非常に生産的なイベントとなったと自負しています。


■第一部　ワークショップ

　第一部は９０分のワークショップを開催しました。テーマは、①過労死・過労うつ、②内定取り消し、③派遣切りと設定し、参加者の興味に合わせて選んでもらいました。中でも過労死・過労うつには主催者の予想を超えて３０人ほどが集まり、ワークショップというには少々人数が多すぎるという悩ましくも嬉しい事態となりました。一人一人が話せる時間が短くなってしまい、参加者の皆さまにはたいへん申し訳ありませんでした。この場を借りてお詫び申し上げます。
　第一部では労働相談センターのスタッフで社労士でもある矢部さんをお招きし、法律アドバイザーとして各ワークショップに参加していただきました。過労死・過労うつワークショップでは昨今話題の「名ばかり管理職（＊）」の働き過ぎの事例をご紹介いただき、月に３００時間以上働いている店長の話などをご紹介いただきました。他のワークショップでも、内定取り消しや派遣切りの実態や、それらに備えて私たちは何を知って、何をしておくべきなのか、ということについて参加者で議論しました。

＊　「名ばかり管理職」とは、実態とはかけ離れているにもかかわらず労働時間規制のない「管理監督者」扱いにされてしまった店長などを指します。詳しくは『ＰＯＳＳＥ　vol.2』の特集「名ばかり管理職／労働組合」をご覧下さい。（http://npoposse.jp/magazine/）


■第二部　笹山弁護士・日本マクドナルドユニオンの講演

　第二部では各ワークショップでの議論を全体で共有し、矢部さんに全体の講評をいただいた後、笹山弁護士・日本マクドナルドユニオンのみなさんに講演していただきました。
　笹山弁護士には、毎日メモするだけで法的証拠になる手帳『しごとダイアリー（＊＊）』の実践的な使い方や毎日メモをつけることの意義についてたいへんわかりやすくご説明いただきました。残業代未払いや名ばかり管理職問題など、黙っていても企業は助けてくれない時代に、自分自身できちんと身を守る術を身につけることの意義についてお話しいただきました。中でも、ものすごく「ざっくり」したメモが裁判で証拠として採用され、残業代が支払われたという事例の紹介が印象に残っています。どんなに適当なメモでも毎日つけ続けることがいざというときに身を守る上で強力な効果を発揮する、というお話でした。
　日本マクドナルドユニオンの皆さんには、職場の仲間同士で協力して身を守ることの意義についてご講演いただきました。彼らは『しごとダイアリー』を使って、職場のみんなで互いの労働時間を管理し、残業代を請求する活動を行っています。自分一人の身だけでなく、職場で働く同僚の身もお互いに守っていく方法について組合員のみなさんからそれぞれお話しいただきました。１０代の学生から主婦の方までが会場にいらしていました。とても仲の良い感じが伝わってきて、互いに身を守ることが職場だけでなく生活全般の部分で人間関係を豊かなものにしていくという好例を見ることができました。

＊＊　『しごとダイアリー』紹介ＵＲＬはこちら


■イベントを終えて

　本イベント全体を通して、最近話題の労働問題がどのようにして起きているのか、また私たちが様々なトラブルに備えて記録をつけておくことが重要だということが共有できました。会社が身を守ってはくれないということが露骨に明らかになっている時代だからこそ、自分自身で、また仲間同士で互いに身を守っていくことが大切になっている。これがゲストの皆さんに共通したメッセージだったように思います。
　また、今回のイベントでは労働問題に取り組むＮＰＯやユニオン、弁護士が互いの活動や展望について意見交換・情報交換でき、社会的なキャンペーン全体についてもたいへん意味のあるイベントとなりました。来年、多忙のために参加できなかったゲストの方を改めて招聘し、より多様な団体の結節点となるようなイベントを開催しようと画策しています。労働問題にどうやって立ち向かっていくことができるのか、具体的に展望を示すことのできるイベントにする予定です。どうぞお楽しみに！！


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