今回は、「LAW! DO! ~法律を守らせよう 法律を活用しよう~」キャンペーンの第3弾企画として開催されました。ゲストは斉藤貴男さん(ジャーナリスト)、木下武男さん(労働社会学)、本田由紀さん(教育社会学)です。
シンポジウムに先立ちまして、今年6~8月に既卒の若者500人を対象にアンケート調査を実施し、本シンポジウムではそのアンケート結果を報告しました。昨年実施した「若者の仕事3000人調査アンケート」では、非正規雇用に従事する若者の労働時間が、正社員並みであることや、多くの若者が労働法の知識を知りながらも実際に使えていないという事実が明らかになりました(昨年のアンケート資料集を500円(実費)にて配布しています。ご入用の方はPOSSE事務局まで)。今年のアンケート調査項目には、労働実態に関するものに加えて、仕事のやりがい、結婚についてなど、若者の生活に大きく踏み込む内容を盛り込んでいます。
まずPOSSEスタッフより、アンケート結果の説明をさせていただきました。大まかにその概要をお伝えすると、非正規雇用の若者も、正規雇用の若者と同じくらい、仕事にやりがいを感じているということがわかりました。当初、私たちは非正規雇用の若者は仕事にあまりやりがいを感じていないのではないか、やりがいを見出せないままに働いているのではないかと考えていましたので、この結果は非常に予想外でした。
ただ、非正規雇用の若者と、正規雇用の若者で、何にやりがいを感じているのかという点で大きく変わる結果となっています。正規雇用の若者は、何かプロジェクトを達成したり、自らの意見が会社の中で通るなど、事業の達成・成功についてやりがいを感じている割合が大きいのに対し、非正規の若者、特に接客業の女性に多かったのですが、「客に感謝されること」など、他者からの承認に対してやりがいを感じている人の割合が高かったのです。
結婚については、ほとんどの若者が結婚に前向きであることがわかりました。未婚者に対して、結婚していない理由を聞いたところ、これまた面白い結果が出ました。正規雇用の若者は「出会いがない」が、非正規の若者では「経済的な余裕がない」が最も高い割合となったのです。
さて、次にゲストトークの概要を報告します。
斉藤貴男さんは、自らが取材した経験を元に、今なぜ、非正規雇用労働者が増えているのかということについて経済界の動向を中心にお話されました。また、木下武男さんは、正規・非正規雇用を問わず「3年で辞めてもよい」という質問に対して若者の大半が肯定的な意見をもっていたことに着目、企業に従属するのではなく仕事を軸とした「新しい働き方」が若者の中で浸透しつつあると強調されました。お二方の話を受けて、本田由紀さんは、具体的にアンケート結果にふれて社会学的分析をなされ、さらに教育という観点から職業訓練の問題などを論じられました。
その後のパネルディスカッションでは、司会として代表今野も加わり、POSSEで実施したアンケート結果に絡めながら、今、若者の「働くこと」に何が起きつつあるのかということを議論しました。その後の会場との質疑応答では、「これからの労働運動の展望は?」「小学生や中学生の職業教育について、どう思うか?」などなど、真剣な議論が交わされました。
「脱企業社会」。日本型雇用の崩壊などで変化している、これまでの企業中心社会がどこに向かっていくのか?企業に縛られない自由がありかつ安定した働き方、さらには新しいライフスタイルは、可能なのか?
単に「格差社会」を議論するだけにとどまらず、本シンポジウムで議論された内容も踏まえ、POSSEはこれからも具体的に政策提言やキャンペーンを実施していきます。
(ぜひ下記の現在進行中のプロジェクトもご参照ください。)
style3http://www.npoposse.jp/style3/
LAW!DO!キャンペーンhttp://npoposse.jp/lawdo/
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