3月11日の東日本大震災から3ヶ月が経ち、これまで問題となっていた震災便乗型の解雇や雇い止めに加え、今度は震災そのものからくる不況によって、労働条件切り下げへの実質的な影響が現れてくるのではないかと思われます。
そこで、通常の労働問題に一層の拍車が掛った形で現れるであろう、賃下げや解雇、内定取り消しなどの会社の行為に対して法的にどのように対処・対抗することができるのかということを、並木陽介弁護士をお招きして伺いました。
並木弁護士が強調されていたことは、労働は労働者と使用者双方の契約関係に基づくものであるということです。つまり、雇用には明確な労働契約が存在しており、使用者の一方的な都合によって変更や取り消しが可能なものではありません。賃金、解雇、内定取り消しのいずれにおいても、「労使の合意があるかどうか」、「社会通念上合理的であるかどうか」、「止むを得ぬ事情によるものか(使用者側に責任がないのか)」などといったハードルが原則として設けられています。これが乗り越えられるようであれば法的に争う余地があると、並木弁護士は多くの事例を出すことで分かりやすく解説して下さいました。
会場には、学生の方や大学の就職課に勤めている方、契約社員の方など様々な方面からお越し下さいました。
来場者の方は、これまで自分や周りの働き方について「おかしいな」と思うことはあっても、周りに愚痴をこぼすばかりでそれより先の進展が無かったと話していました。労働法の知識があえば「法的に問題だ」ということが分かるし、どのような観点から争えるかも分かるため、その後の対処は全く違ってきます。法の「使い方」を知ることによって、企業に対する一方的な服従から、声を挙げる文化へと変えてゆく必要があると仰っている来場者もいました。
ただ、法的観点からの処理に限界があることも、同時に並木弁護士は指摘しています。
まず、裁判で争うためには証拠が無ければならないということです。さらに、具体的な損害が出ている場合や「違法」であると明確に断言できる場合は法的処理が可能ですが、実際には全てがそうであるとは言えず、「グレー」な事例も多く存在します。例えば、今回の震災に関しては労基法20条にあるように、解雇に対する経営側の責任として『「天災地変」により止むを得ない』という判断が適用されるかどうかというのも、個々の事情に照らし合わせながら慎重に判断する必要があります。
以上にように法的基準が明確でない場合や、法律以上の条件を使用者側から引き出すには、交渉によって労働条件を決定してゆくユニオンの活用も有効であると並木弁護士は仰っていました。
自分が問題を抱えた時に相談できる機関として、労基署などの行政、弁護士、ユニオンなど複数の手段を用意しておくことも重要です。まずは、これらの機関やNPO法人POSSE(ポッセ)に気軽に相談に来ていただけたらと思います。
****************************
NPO法人POSSE(ポッセ)は、社会人や学生のボランティアが集まり、年間400件以上の労働相談を受け、解決のアドバイスをしているNPO法人です。また、そうした相談 から見えてきた問題について、例年500人・3000人規模の調査を実施しています。こうした活動を通じて、若者自身が社会のあり方にコミットすることを 目指します。
なお、NPO法人POSSE(ポッセ)では、調査活動や労働相談、セミナーの企画・運営など、キャンペーンを共に推進していくボランティアスタッフを募集しています。自分の興 味に合わせて能力を発揮できます。また、東日本大震災における被災地支援・復興支援ボランティアも募集致します。今回の震災復興に関心を持ち、取り組んで くださる方のご応募をお待ちしています。少しでも興味のある方は、下記の連絡先までご一報下さい。
____________________________________________________
NPO法人POSSE(ポッセ)
代表:今野 晴貴(こんの はるき)
事務局長:川村 遼平(かわむら りょうへい)
所在地:東京都世田谷区北沢4-17-15ローゼンハイム下北沢201号
TEL:03-6699-9359
FAX:03-6699-9374
E-mail:info@npoposse.jp
HP:http://www.npoposse.jp/
最新の画像もっと見る
最近の「活動報告」カテゴリーもっと見る
【寄付のお願い】過労死やハラスメント自死をなくすための取り組みに、ご支援をお願いします。
7/24 アウティング労災認定の記者会見を開催しました!
1/24、家事労働者過労死裁判の控訴審初回期日へ多くの支援者が駆けつけました!
第8回POSSEオンラインアカデミーイベントレポート「難民を「犯罪者」にする「入管法改定案」を廃案に!ー若者が取り組む日本の難民問題ー」
【寄付のお願い】LGBTQの労働問題を解決する活動へご支援お願いします!
[សំណើសុំការបរិច្ចាគ] សូមជួយគាំទ្រសកម្មភាពដើម្បីការពារសិទ្ធិមនុស្សរបស់សិក្ខាកាមបច្ចេកទេសបរទេស។
最近の記事
カテゴリー
バックナンバー
人気記事