昨年末からの金融危機の影響により、今年に入ってからも国内の雇用状況は悪化し続けています。そんななか、地方自治体などが率先して、臨時雇用などで雇用創出を図っています。しかし、そうした臨時採用への応募は思ったほど伸びず、雇用のミスマッチが生じているとの指摘がなされています。その実態はどのようなものなのでしょうか?
一例として、先日発表されたデータを取り上げると、富山県では、県内自治体が非正規労働者らの緊急雇用対策として取り組む臨時職員の募集の応募倍率が0・69倍にとどまっていることが分かりました。
(http://www.yomiuri.co.jp/e-japan/toyama/news/20090130-OYT8T01150.htm)
もちろん、すべての自治体の臨時募集が効果を発揮していないというわけではありませんが、こうした傾向は他の自治体についても広く見られるものです。
数十万単位の失業者が発生するなか、各地方自治体が率先して雇用創出を図っているにも関わらず、応募が予想より伸びない。このようなミスマッチの原因は、どこにあるのでしょう?
その一つとして、臨時雇用の労働条件が指摘されています。
各地の自治体で行われている募集は、もっぱら時給700~800円台と最低賃金並みで、日給に換算しても5000~7000円程度です。またその雇用期間も短期であり、非常に不安定なものといわざるをえません。
こうした臨時雇用の創設については、定年した人などを雇用する臨時職員の枠を活用しているところも多く、その内容も、公園の清掃や、簡易業務などということになっています。
しかし、ただでさえ不安定な働き方を経験してきて、その末、首を切られた人たちが、再び低賃金で短期間という労働条件を選ぶことは、つなぎとしてはあるかもしれませんが、中長期的な見通しを考えれば、なかなか難しい問題を抱えています。
とある県の例では、1000人分の雇用確保を政策として打ち出しましたが、何とその実態は、1人あたり1日働けば一人分と計算するという、実質的には細切れ雇用と何ら変わらない対策になっているものもあります。
一部では、「仕事を選ばなければ、幾らでもあるのでは?」との声も聞かれますが、あたかも使い捨てるかのように解雇された労働者の立場に立ってみれば、少しでも安定し、生計を立てられる仕事を求めようとするのは、当然の要求とも考えられます。
こうしたミスマッチを解消しようと思えば、臨時職員を採用するにしてもその労働条件の改善が求められるのはもちろん、他に雇用創出が見込まれる分野について公的支援や、しっかりとした職業訓練の仕組みが必要になるでしょう。また、失業期間中にも住居や生活費の補助がなされるなど、生活を安定させることのできる制度も必要です。
POSSEでは、今後も、雇用状況の改善に向けた政策提言を行うなどして、そうした課題に取り組んでいきたいと考えています。
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