文部科学省が8月27日に2012年度の学校基本調査速報を公表した。それによると、今春の大学卒業者のうち、週30時間以上働く派遣社員や契約社員は2万2千人、アルバイトなど一時的な仕事と合わせて、非正規で働く新卒者は4万2千人に上ることがわかった。23歳の女性は、希望していた接客や営業の正社員になれず、首都圏のテーマパークの接客担当の派遣社員として就職した。給料は勤務日数で変わり、時期によって差が大きく安定しない。産休や育休制度は対象外で、1か月以上休むと解雇される。「結婚や育児のことを考えると安定した正社員になりたい」と話す。
また、同調査で、内定を得られないまま今春卒業し、就職活動を続けている人は少なくても4万9千人に上る。(新卒者全体の9%弱)国や大学はこうした卒業生の支援を始めた。大学の支援の例としては、龍谷大の卒業生向け求人紹介やセミナー、東海大による卒業生向け求人コーナーや専門相談員の設置、などが挙げられる。国(厚生労働省)の支援の例としては、全国200か所のハローワークにフリーターなどの就職支援拠点を設置して個別支援を行うこと、一部地域で若者専門のハローワークを開設すること、が挙げられる。
POSSEの川村遼平事務局長の話。 正社員と思って就職したのに、実際は非正規社員だったとの相談が多い。新卒就職者に占める非正規社員はもっと多い可能性がある。非正規社員を選ぶことが一概に悪いわけではないが、日本の転職市場では前職として評価されにくい。今の若者の不安定な雇用状況が続いて固定化されれば、社会的に大きな問題になる。
8/28、日経新聞朝刊
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この記事を見て、新卒者の非正規労働者がこんなに多いことに、衝撃を受けた。現在大学二年の自分も、来年には就職活動に取り組まなければならない。このような就職状況を見ると、自分や同期の就活がより一層不安になる。
また、自分達の世代は、収入や待遇の面から非正規よりも正社員を促す教育を受けてきた。それに加えて、派遣切り問題や「派遣村」が与えた影響は大きい。不況になればクビを切られ、路頭に迷う非正規雇用の不安定さと、そうした状況に置かれるこれほど多くの非正規労働者が日本にいたことを知った。そのため、「正社員になれなければ人生終わり」と思い、必死に正社員を目指す若者も少なくない。そんな中、非正規の道を選ばざるを得ず、その不安定さから、精神的に追い詰められる若者も多い。
さらに、大きな視点でこの問題を見るならば、「不安定な非正規雇用しか就くことができない→結婚・出産を諦める→日本の少子高齢化がさらに深刻化する→日本の生産力自体が落ちる」ということにもなりかねない。これ以上深刻化しないよう、いち早くこの問題は解決すべきものであると感じた。
(大学2年 ボランティア6ヶ月)
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