以前紹介した医療現場の話は、保育の現場にもいえる。
最近全国的に、保育事業を民営化することが進められている。そのことによってより安く、質の高いサービスが受けられるようになるから、と。
だが、そうした民営化の結果行なわれているのは、それまで正規で雇われていた保育士をパートや派遣で置き換えることだ。つまり、働く人の賃金を切り下げることによって、サービスを安くしているに過ぎない。しかもその安くなった部分には、消費者に還元されるだけでなく、当然投資する株主が得る分の利益も担保されている。
昨年、週間東洋経済誌(2005.12.17)で、「保育園が危ない」と題する特集があった。それによれば、民営化によって保育士が非正規雇用に置き換えられ、それまでのように子供をケアできなくなっているという。有期雇用で雇われる彼らは、園内の危険な箇所や配慮すべき事柄、子供の性格や特性が把握できない。
そのために、子供が保育園に行きたがらないという事態を引き起こしただけでなく、簡単なミスで子供が怪我をしたり、子供のアレルギーを引き起こしたりすることが多発しているというのだ。さらに、驚いたことに民営化された保育園はコストを下げるために子供の給食を減らし、子供が空腹で帰ってくることさえあるようだ。
働く人も、サービスを受ける人も、もっと豊かに暮らす方法はいくらでもある。
医療や介護、保育といった人間にとって最も重要なサービスの分野で、むき出しの金儲けの論理がまかり通るようになってしまっていることが、私たちの生活事態を貧しく、危険なものにしているのではないだろうか。
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KGR
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