千葉県の監理団体「東葉ワークス事業協同組合」(千葉県柏市)が10月17日、実習先の農家で暴力やハラスメントを受けているスリランカ人技能実習生を、加害者である実習先に連行しようとしました。これに対し、10月18日、POSSEが連携する労働組合「総合サポートユニオン」が、監理団体に対して団体交渉申し入れと緊急の抗議行動を行いました。POSSEの学生メンバーも10人以上支援に訪れました。本来実習生を守る立場にある監理団体による人権侵害への加担は、断じて許されない行為です。
東葉ワークスの伊橋昌行代表理事は、組合の団体交渉の申し入れに対し不誠実な対応を続けました。伊橋氏は団体交渉の申入書を受け取らずに組合担当者に突き返しただけでなく、組合側の質問ははぐらかしたばかりか、事務所に籠り1時間近く呼びかけを無視しました。もし彼に自身や会社の誤りを認め、改善する気が少しでもあったなら、そんな対応はできないはずだと感じました。
本件は実習生の身の危険にかかわる緊急性の高い問題です。暴力やハラスメントに苦しんできた実習生の人権がこれ以上侵されないために、ぜひ皆さんも一緒に声を上げてほしいと思います。
問題の背景
スリランカ人女性は10月16日に群馬県庁で記者会見を開き、受入先である群馬県の農家による日常的な暴言や暴力を告発しました。彼女は2018年12月に来日し、翌年2月から農業に従事しています。半年ほど経った頃には、寮で上司に暴力を振るわれたり、暴言を吐かれたりすることが常態化していたといいます。「嫌だったらスリランカに帰れ」「いらねえよ、てめえなんか」などと男性が怒鳴る音声も残っています。
参考:10月17日上毛新聞「スリランカの技能実習生が前橋の農業法人告発日常的に暴言や暴力
監理団体が実習生を会社に連行しようとしたのは、記者会見の翌日のことでした。本人によれば、東葉ワークスの社長を含む男性3人が本人を車に乗せ、会社に連れて行こうとしたとのことです。その際、「労働組合には言うな」と口止めをしたり、「(労働組合が女性にとって)利害に反する団体である」として組合を辞めるよう促してきたと本人は話しています。これらの行為は労働者としての権利を不当に侵害する違法行為にあたります。
行動に参加して
私は今回初めて団体交渉の申し入れに参加しました。その中で印象的だったのは、抗議において数の力が非常に重要だということでした。
現場では10人以上の組合員がかわるがわる「団体交渉に応じてください」などと声を上げたほか、代表理事が事務所に籠ってしまった後はシュプレヒコールで抗議しました。その迫力はかなりのもので、参加者の「問題をうやむやにさせない」という強い意思を示すものでした。また、事務所の前に多くの人が抗議に集っていること自体が、会社ににとって大きなプレッシャーになったはずです。
多くの人が声を上げることで、こうした被害を問題化することができ、それが社会を変える力になると私は思います。人権侵害がまかり通る社会を変えるため、今後も私たちは活動を続けていきます。本件のような技能実習生への人権侵害は「おかしい」と思った方、私たちと一緒に行動を起こしてみたい方は、ぜひ以下からご連絡ください。
ボランティア募集HP:https://possevolunteer.tumblr.com/
(POSSE学生ボランティア 岩﨑真夕)