大田区蒲田生活福祉課長宛てに送っていた公開質問状の返答が、8月16日付でありました。
今回の公開質問を送る原因となった大田区の水際作戦については、こちらの記事をご覧下さい。
「大田区での水際作戦、何が起きたのか、何が問題か」
(上)福祉を担うはずの行政による狡猾な手口
http://blog.goo.ne.jp/posse_blog/e/a080f48cd27bb183208be89aa024e8f2
(下)「自立支援」という名の制度的排除
http://blog.goo.ne.jp/posse_blog/e/5ce9b431c2341d06eb017e8f18f559e7
大田区からの回答は、次の通りです。
NPO法人POSSE様
大田区蒲田生活福祉課長
平成25年8月5日付の公開質問状を拝受しました。
生活保護に関する事務は、ご承知のように個別事案を具体的に検討した上で進めていくものであり、個人の情報とも深く関係するものでありますので、公開の場で議論する問題ではありません。従って、本公開質問状に対してはお答えすることができません。
事情ご賢察の上、よろしくお願いいたします。
大田区蒲田生活福祉課
所在:大田区蒲田本町2-1-1
電話:03-5713-1706
このように、大田区の回答は、質問に対して何も答えていません。私たちは、これは大変不誠実であると考えています。大田区に送った質問の内容は、下記の3から明らかなように、今回のケースについての個別的な質問には限りません。一般的な対応として嶋田氏ら担当ケースワーカーが発言した内容についての区の見解を質す以上のものではありません。また、個別の事情について考慮する必要のある質問(3-v)についても、当然ながら本人の同意を得ています。何より、申請権の侵害にも関わる区の対応について「公開の場で議論する問題ではありません」とすることは非常に不誠実です。
今回の回答から、残念ながら現場レベルで適正な保護の運用について協議できるような状況とはとても言えないことが明らかとなりました。POSSEは、区を指導する立場にある東京都や厚生労働省の担当課に対して、改めて質問・要請を行ってまいります。
最後に、都や厚労省への質問内容を紹介します。
1、蒲田生活福祉課が公開質問状に回答しなかったことについて
一般的な見解に対する公開質問状に対して、個人に関わることだからという理由で「公開の場で議論する問題ではありません」と回答を拒否することは、行政として望ましい対応か。見解をうかがいたい。
2、水際作戦の存在を書面の上で抹消したことについて
一度追い返された当事者が同日に再度POSSEのスタッフと訪れて申請した経過があるにもかかわらず、これらの経緯が一枚の面接記録票に記載されているため、あたかも「水際作戦」が無かったかのような記録がつくられている。京都府舞鶴市に対する監査指導の際には、申請の意思を確認したかの記録をつけるべきとされていたが、大田区のような書類の残し方は、その趣旨に反するものではないか。見解をうかがいたい。
3、公開質問状の項目について
大田区に対して質問した以下の6つの項目につき、それぞれ見解をうかがいたい。また、もし大田区の対応や見解が誤ったものであるならば、監査や指導をお願いしたい。
i) 担当ケースワーカーの嶋田氏は、保護課を訪れた当事者に生活保護の申請をさせないまま追い返している。後にPOSSEスタッフが同行した際に、本人からの申請の意思がないことを申請させなかったことの理由として挙げているが、申請の意思を確認しなかった対応の是非について、見解をうかがいたい。
ii) 担当ケースワーカーの嶋田氏は、自立支援センターが生活保護法第4条にある「他法他施策」に当たると発言し、その旨を相談者にも説明している。この見解は正しいものか。
iii) 担当ケースワーカーの嶋田氏は、生活保護法における「急迫保護」に関して、緊急搬送された場合のみが該当すると発言している。この見解は正しいものか。
iv) 蒲田生活福祉課は、住居喪失者が生活保護を受ける場合には無料低額宿泊所へ入所することが生活保護の開始要件であるとしている。この見解は正しいものか。
v) iv.の見解に基づいて当事者が申請を取り下げる事態が発生したが、その際、更に担当者が「受理してしまった申請をどうするか」と暗に取り下げを促している。この対応は正しいものか。また、無料低額宿泊所への入所が保護の要件であると誤信した当事者が申請を取り下げるにあたって、蒲田福祉事務所は本人の真意や取り下げ後の生活状況について十分な検討を加えていない。この対応は正しいものか。
vi) 大田区や東京都におけるこれまでの申請取り下げ件数について示してほしい。
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