NPO法人POSSE(ポッセ) blog

17日の毎日新聞で、生活保護についての代表・今野のコメントが掲載されました!

17日(日)の毎日新聞朝刊で代表・今野のコメントが掲載されました。ブラック企業で起きるトラブルから貧困・生活保護までを言及しています。

窮乏固定化どう防ぐか

今野 晴貴 NPO法人POSSE(ポッセ)代表


 NPO活動で、私はこれまで1000件を超える若者の労働相談に関わってきた。その中には、生活保護を勧めるしかないケースが数多くあるのが現実だ。
 最近相談に来た非正規雇用の若い男性は、職場のいじめでうつ病を発症し、退職に追い込まれた。雇用保険も適用されず、治療も受けていない。貯金も底をついている。病気のため、労災の申請や会社との交渉も不可能だった。
 このままでは、彼は路上でホームレスになるしかない。こんな時、生活保護を受給してもらうことになる。うつ病を治し、再び働くことができるように私たちが支えていく。もしホームレスに陥り、そのまま時が経過したら、もう一度就労に結び付けるには相当の困難が伴っただろう。

「働ける若者」も危機
 こうしたケースは珍しい話ではない。不安定な非正規雇用が広がり、正社員であっても劣悪な環境や条件で働くことを強いる「ブラック企業」と呼ばれる会社が増えている。「働ける若者」でも、生活がすぐに崩壊してしまうリスクが高まっているのだ。
 会社でいじめやパワハラを受けて「自己都合退職」に追い込まれると、雇用保険も約4カ月間給付されない。働いていた間の賃金が未払いのまま追い払われることもしばしばだ。企業と争って「解雇」扱いにさせたり、未払いの賃金を請求することは非常に困難で、必ずそれが実現できるとも限らない。
 それでも生活保護の受給となると、「甘えている」「仕事なら探せばいくらでもある」と考える方は多いだろう。実は、生活保護以外の対処方法は2通りある。実家に援助を求めるか、アルバイト就労に駆け込むかだ。
 だが、親を頼れば親との関係で疲弊する。大の大人が親の世話になり続けるのには相当のストレスがかかるものだ。一方、親の援助が社会復帰を難しくする側面もある。地方では仕事も少なく、引きこもらざるを得なくなる。

不安定な雇用に固定化
 募集の多いアルバイト就労も、不安定な雇用に固定化される恐れがある。そもそもアルバイトがすぐに見つかる保証はなく、短時間労働で生活費もまかなえない。実家に援助の余力がなければ、いよいよ路上で寝るしかない。
 冒頭の事例は派遣労働者のケースだが、新卒労働者の場合でも、親に援助の余裕がなければ、まったく同じ状態に陥ることになる。
 生活保護を批判する人たちは、給付判断の適正化や水準切り下げを叫び、「本当に必要な人だけ」に給付すべきだとも主張する。しかしこれは、誰が見ても困窮状態だと分かりやすく示さない限り、保護を認めないという論法だ。
 衣食住に事欠き、病気になっても病院に行けない。そんな状態にまで陥らなければ福祉の救済が行われないとすれば、窮乏状態は長引き、社会復帰はより難しくなる。生活保護からの排除は結局、貧困の固定化につながり、社会そのものを疲弊させる。必要な時に生活保護を受給でき、すぐに受給状態から脱却できる社会が望ましいが、そうはなっていない。
 今こそ生活保護の現実的な役割に注目すべきである。感情的なバッシングは何も生み出さない。労働環境が悪化している今、誰もが貧困に陥る危険性がある。その手前で社会が生活を支え、貧困への固定化を防ぐことは、急務となっている。

こんの・はるき
 1983年生まれ。一橋大大学院博士課程在籍。06年に学生を中心にNPOを結成。24時間年中無休の労働相談や被災者支援事業を行なう。


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NPO法人POSSE(ポッセ)は、社会人や学生のボランティアが集まり、年間400件以上の労働相談を受け、解決のアドバイスをしているNPO法人です。また、そうした相談 から見えてきた問題について、例年500人・3000人規模の調査を実施しています。こうした活動を通じて、若者自身が社会のあり方にコミットすることを 目指します。

なお、NPO法人POSSE(ポッセ)では、調査活動や労働相談、セミナーの企画・運営など、キャンペーンを共に推進していくボランティアスタッフを募集しています。自分の興 味に合わせて能力を発揮できます。また、東日本大震災における被災地支援・復興支援ボランティアも募集致します。今回の震災復興に関心を持ち、取り組んで くださる方のご応募をお待ちしています。少しでも興味のある方は、下記の連絡先までご一報下さい。
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NPO法人POSSE(ポッセ)
代表:今野 晴貴(こんの はるき)
事務局長:川村 遼平(かわむら りょうへい)
所在地:東京都世田谷区北沢4-17-15ローゼンハイム下北沢201号
TEL:03-6699-9359
FAX:03-6699-9374
E-mail:info@npoposse.jp
HP:http://www.npoposse.jp/
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