野ブタ。をプロデュースが面白い。
コロナ禍で新作ドラマが作れない中、ピンチヒッターとして登板したこの作品、
実は初めて見たのだけど、これがとてつもなく刺さるし、深い。
「見たかったのはこんなドラマだよ」と思わず叫びたくなるほど、驚くほど面白い。
なんで、15年も前の作品がこれほどまでに新鮮で面白いのだろうか?
日々ネットサーフィンしつつ、木皿泉さんの著書を読みふけり、
その理由に思いをはせるうちに、ふと気づいた。
「そうか、コロナだからだ!」
放送当時はジャニーズ2人が主役のアイドルドラマかな?くらいに思った記憶がかすかにあるくらい。
その頃の自分は、1年をかけてきた大仕事が大詰めを迎える中、妊娠が発覚、
さらに気の緩みが招いた怪我で、人生の宝物のように感じていたクライミング生命を絶たれるか、という
崖っぷちのトリプルパンチみたいな状況にもがいていた。
そんな時に「学校という小さな世界」で全力でたたかう若者の物語に共感できたかどうかは分からない。
いや、人生の転換点にたった一人で立ち向かっているつもりになっていた視野の狭い自分は、
「もうとっくに通りすぎたつまらない世界の話」と決めつけて、見ようとすらしなかったのだろう。
でもこのドラマが描いていたのは、もっと広くて、普遍的な世界だった。
「小さな学校という世界の、いじめとかスクールカーストとかの問題」を仕掛けとして使ってはいるものの、
その裏にあるのは
「いつ終わるともしれない儚い日常の中に、確かな希望をすくいとろうとする物語」だった。
木皿泉さん夫妻は神戸の人だ。
この作品を書いたのは阪神・淡路大震災を経て10年。
多くの人の運命を変えた大災害から見かけ上は復興しても、心はまだ復興しきれていない・・・
そんなタイミングで書かれたこの作品に、無常観が漂うのは自然なことではないか。
一方、私を始め関東に住む人間にとっては、阪神・淡路大震災は、どこかふわふわとした
実感を伴わない出来事だった。
しかし、その後の東日本大震災、そして今真っただ中にあるコロナ禍。
「全てはうつりゆくもので、確かなものは数少ない」という現実を、もはや嫌というほど突きつけられている中、
この作品は、とてつもなく日本人の琴線に触れる作品に昇華してしまった気がする。
何気ない日常の中に浮き上がってくる刹那のきらめきのような感情。
決して美しいものや楽しいものだけではないから、気づかないふりをしたり、蓋をしたりして、封じ込めてきた感情。
そんなものを、このドラマはとてつもなく、精度の高い台詞でぐさぐさとこじ開けてくる。
結構残酷だし、辛いし、切ない。
でも、だからこそ自分ではない誰かのありがたさが胸にしみる。
ソーシャルディスタンスが常識となり、誰もが人とのコミュニケーションに戸惑いや制約を覚える中、
野ブタ。が描いた世界は、かつてないほどのリアリティを持って、
「人生にとって大切なもの」を問いかけてくるように感じている。
コロナ禍で新作ドラマが作れない中、ピンチヒッターとして登板したこの作品、
実は初めて見たのだけど、これがとてつもなく刺さるし、深い。
「見たかったのはこんなドラマだよ」と思わず叫びたくなるほど、驚くほど面白い。
なんで、15年も前の作品がこれほどまでに新鮮で面白いのだろうか?
日々ネットサーフィンしつつ、木皿泉さんの著書を読みふけり、
その理由に思いをはせるうちに、ふと気づいた。
「そうか、コロナだからだ!」
放送当時はジャニーズ2人が主役のアイドルドラマかな?くらいに思った記憶がかすかにあるくらい。
その頃の自分は、1年をかけてきた大仕事が大詰めを迎える中、妊娠が発覚、
さらに気の緩みが招いた怪我で、人生の宝物のように感じていたクライミング生命を絶たれるか、という
崖っぷちのトリプルパンチみたいな状況にもがいていた。
そんな時に「学校という小さな世界」で全力でたたかう若者の物語に共感できたかどうかは分からない。
いや、人生の転換点にたった一人で立ち向かっているつもりになっていた視野の狭い自分は、
「もうとっくに通りすぎたつまらない世界の話」と決めつけて、見ようとすらしなかったのだろう。
でもこのドラマが描いていたのは、もっと広くて、普遍的な世界だった。
「小さな学校という世界の、いじめとかスクールカーストとかの問題」を仕掛けとして使ってはいるものの、
その裏にあるのは
「いつ終わるともしれない儚い日常の中に、確かな希望をすくいとろうとする物語」だった。
木皿泉さん夫妻は神戸の人だ。
この作品を書いたのは阪神・淡路大震災を経て10年。
多くの人の運命を変えた大災害から見かけ上は復興しても、心はまだ復興しきれていない・・・
そんなタイミングで書かれたこの作品に、無常観が漂うのは自然なことではないか。
一方、私を始め関東に住む人間にとっては、阪神・淡路大震災は、どこかふわふわとした
実感を伴わない出来事だった。
しかし、その後の東日本大震災、そして今真っただ中にあるコロナ禍。
「全てはうつりゆくもので、確かなものは数少ない」という現実を、もはや嫌というほど突きつけられている中、
この作品は、とてつもなく日本人の琴線に触れる作品に昇華してしまった気がする。
何気ない日常の中に浮き上がってくる刹那のきらめきのような感情。
決して美しいものや楽しいものだけではないから、気づかないふりをしたり、蓋をしたりして、封じ込めてきた感情。
そんなものを、このドラマはとてつもなく、精度の高い台詞でぐさぐさとこじ開けてくる。
結構残酷だし、辛いし、切ない。
でも、だからこそ自分ではない誰かのありがたさが胸にしみる。
ソーシャルディスタンスが常識となり、誰もが人とのコミュニケーションに戸惑いや制約を覚える中、
野ブタ。が描いた世界は、かつてないほどのリアリティを持って、
「人生にとって大切なもの」を問いかけてくるように感じている。