
私のPDA履歴書 第9回
過去の連載記事へのリンクはこちら 1 2 3 4 5 6 7 8
前回書いたMK32のクラスアップという形で手に入れたのが、Mobile Gear II MC/R430である。ソフマップの中古販売価格は2万円だったが、15000円で買ったMK32からのクラスアップということで差額の5千円を出すだけでで手に入れることができた。
R430のスペックは次の通り。
CPU: MIPS Vr4121 168MHzまずCPUがMIPSというところが時代を感じさせる。ARM系に統一されたPocketPC2002より前では、HITACHIのSH-3とともにWinCE機でよく使われていたNEC製のCPUだ。カシオのCASSIOPEARやシャープのMebius、ビクターのInterlinkなどが搭載していて、WinCE 2.1時代ではメジャーなCPUだった。
RAM:16MB(プログラム実行領域・データ保存領域共用)+増設RAM 16MB
ディスプレイ:8.1インチ透過型STN液晶 65536色、640×240(Half VGA)
拡張スロット:PCカードスロット、Compact Flash TypeII
OS:Handheld PC Pro 3.0(Windows CE 2.1)
サイズ:245 x 131 x 28.8 mm
重量:約 770g
メモリはもとは16MBだったにだが、前に使っていた人がさしたであろう16MBの増設RAMボードがささっていたので合計32MBが使えた。当然のようにプログラム領域にほとんどを割り振り、データはCFに追いやったのでそこそこ快適に使うことができた。ディスプレイは縦240ピクセルというのも難があったが、それよりも透過型STNなのでJornada525と同様に、屋外では全く見えないという欠点があった。
大学4年の購入からSigmarion3の購入の間およそ1年ほど使ったがその使用頻度は恐ろしく高く、授業のノートやゼミの発表原稿、教育実習の授業案にBLOG記事の下書きなど、Remの生活のいたるところで使われていた。気が付けばメインPDAの座をe550GXから奪っていた。文書作成のお供であり、このBLOGの記事もこのデバイスから生まれたものが多い。「やはりH/PCがいい」にあるように、これ以降私のCE機の使用頻度は完全にH/PCよりになっていった。
またフルキーボードにWindowsライクなGUIを積んでいるため、見なれない人が見ると必ず「ノートパソコンですか?」と聞いてくれるのも使っていていいところ。普通の人間がこいつのデスクトップ画面を見たら絶対にノートパソコンだと勘違いをするに決まっている。二年前ののオフ会でも5分ほど話題を独占した。PDA好きは、こうやって人が持っていないデバイスを使う姿を見せて人の目を引くのが快感なのである。
しかし少々大きいのと800g弱と少々重いことで、持ち歩きが少し面倒でもあった。また、Windows CE 2.1の欠点として、ポケットメモ帳などのテキストエディタで超長文を扱うと処理速度が著しく落ちることがあり(CE2.11+IMEの組み合わせに問題があったらしい)、テキストエディタとしては実はダメダメだった。さらになにもしていないのに勝手にハードリセットを起こすなど、仕事で使うには致命的に不安定な部分も見うけられた。
結局R430は、画面も処理速度もサイズも上であるSigmarion3の購入と共にお蔵入りとなった。しかし今では弟が大学のレポートを書くときに使っていたりもするので、まだまだ現役生活続投中のなかなか息の長いデバイスとなっている。